兵庫県神戸市 住宅診断/耐震リフォーム/新築注文住宅

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木構造講座

2018/09/23

耐震診断と補強方法のポイント(木構造講座⑨)

 耐震診断 耐震補強のポイント

耐震診断の種類と特徴
 既存建物の耐震性を検証することを耐震診断という。耐震診断の目的は,大地震時における建物の倒壊を防ぐことである。3種類にわけられる。
①簡易診断
建築技術者でなくてもできるように作成された一般向けの診断法
②一般診断
建築技者が行う最も汎用性のある診断法。部材の老朽度を加味して壁量計算と同等の検証を行い 地盤や基礎の状況も把握する。
③精密診断
壁量計算 許容応力度計算に相当する検討を行うものと保有水平耐力計算 限界耐力計算 時刻歴応答解析に相当する検討を行うものがあり,高度な構造的知識を必要とする。

一般的にS造やRC造では,1981年の新耐震設計法以降であれば問題ないとされる。しかし、木造に関しては,必要壁量については1981年に現行法の規定量となったものの,耐力壁の配置や引き抜き接合など 耐力壁が有効に働くための条件が規定されたのは2000年である。従って 木造は2000年以降でなければ 耐震性があるとはいえない。

現地調査におけるチェックポイント
①耐力壁が有効に働くような状況か
②鉛直加重をしっかりと支えているか。
建物形状や 軸組み 耐力壁 水平構面 基礎 接合部の各要素がどのように構成されているかなど建物全体の特徴を把握しておく。継ぎ手の位置と上下階の連続性を確認する。
具合的には、図面をしっかりととり、壁の位置と材質を確認し,床下と小屋裏の状況を確認し、建物の劣化状況を確認しなければならない。

耐震補強の方法
耐震性向上のための改修を耐震補強という。耐震改修は構造面だけでなく,居住性やデザイン,施工性,コストなどを総合的に考える必要性がある。
 耐震性を向上させるには
①強度の増大を図る →耐力壁を増設するのが最も一般的
②大変形の追随を確保する。→既存の耐力壁や柱の接合部を補強したり、腐朽部材を交換法があげられる。このうち、接合部の補強は耐力壁の性能を発揮させるために重要なのだが、箇所数が多いので、仕上げ材を剥がして施工しなければならないなど、工事範囲が広範囲にわたる点に注意が必要である。
③地震力を低減する。
瓦屋根の土を取り除いたり、金属板ふきにしたり、外壁のモルタル塗りを乾式工法の仕上げに変更するなど,屋根や外壁の仕上げを軽量化することで地震力を低減する方法である。

具体的な補強例
(1) 軸組みの補強
腐朽部材を交換する。添え柱を設置する。梁端部や継ぎ手を引っ張り金物で補強する。腰壁 垂れ壁も含めて面材で軸組を固める。

(2) 耐力壁の補強
耐力壁を増設する。壁倍率の高い仕様に変更する。既存の筋交い端部に金物を取り付ける。天井裏に小屋筋交いを設ける。床下に根がらみを設ける。耐力壁が取りつく柱の仕口に金物をとりつける。

(3) 水平構面の補強
火打ちを増設する。床板や野地板を構造用合板で固める。床板や野地板を斜めに張る。外周梁の接合部を金物補強する。

(4) 接合部の補強
梁端部に羽子板ボルトを取り付ける。継ぎ手を金物で補強する。筋交い金物を取り付ける。柱脚の引き抜き金物を設置する。アンカーボルトを設置する。
(5) 基礎の補強
無筋基礎に鉄筋入りの基礎を増設する。内部あるいは建物外周部に土間コンクリートを打設する。ひび割れ補修を行う。

補強の優先順位
(1) 鉛直荷重を支える
現地調査を行うと乾燥収縮により接合部が外れかかっているものや,足元が腐って柱が宙つり状態になっているものがしばしば存在する。これらは耐震性以前の問題で軸組が鉛直荷重を支えていない。補強を行う際には,鉛直荷重を支えるという構造体にとって最も基本的な役割を果たせるようにすること。具体的には,腐朽部材を交換するほか、梁をしっかり支え、抜けないようにつないでおくことが重要。

(2) ねじれを防ぐ
耐力壁の量が少し不足する程度であれば、地震による被害は、倒壊を免れることもある。しかし、耐力壁が偏って配置されていると、たとえ壁量が十分であってもねじれて倒壊する危険性が高い。耐力壁の量を確保するよりもねじれを防ぐことを優先的に考えた方がよい。

(3) 建物外周部の接合部の抜出を防ぐ
水平力がかかると、建物の外周部には大きな引っ張り力と圧縮力が働く。この時引っ張り力に対して接合部が抜けてしまうと鉛直荷重を支えることができなくなり、倒壊に至る。したがって、鉛直荷重の支持能力を確保するためには、最低限でも建物の外形を保持するように、外周部の接合を補強することが有効である。

2018/09/10

 構造計画の最重要ポイント(木構造講座⑧)

構造計画上の最重要ポイントをまとめる。

①耐震設計の基本理念
1981年の新耐震設計法導入に伴い設計手法は以下のもので成り立っている。
A 震度5以下の中小の地震に対して建物は損傷しない。
B 震度6強のごくまれに起こる大地震に対しては,ある程度の損傷はあっても倒壊せ
  ず、地震を守る。

これに基づき材料の許容応力度や必要壁量が定められている。

②地盤災害
 建物の地震被害は,地盤と密接な関係にある。関東大震災で統計的に実証された。木造家屋の被害が,山の手よりも下町で顕著であった。下町は,軟弱層が30m以上も堆積しているため,地盤の周期が長く,揺れが増幅される。しかも、当時の木造家屋は耐震要素が少なく柔らかい構造で固有周期が長い為,一種の共振現象で変形し倒壊した。
また、液状化の現象が多く関係し,水を多く含んだ緩い砂地盤で発生し、このような地盤が日本全国に多く存在することが知られている。したがって,建物を計画するときには,まず、敷地の地盤性状をよく把握することが重要になる。
 軟弱地盤の上に建物を建てるには、べた基礎にする他、耐力壁を割り増しして計画する必要がある。

③基礎は 連続性をもたせる。
伝統工法の基礎形状は,束石基礎が一般的であった。しかし、束石基礎は基礎に連続性がない為,柱が不同沈下を起こす原因となる。また、床束と束石がはずれやすい。このように足元がバラバラになりやすい状況では,いくら上部構造をしっかり組んでも意味がなくなる。
 ゆえに、基礎は地震力が作用しても平面形状を崩さず,一体化して動くことが重要で、現在はべた基礎か布基礎にして一体性を持たせることが重要である。基礎の計画は,上部構造と連動させて考え,格子状に基礎を設け,基礎の剛性を高めるように計画する。

④耐力壁が耐震性の向上に影響
現在の木造住宅の耐震設計は,耐力壁によって地震に抵抗することを基本としている。壁量計算は確認申請のために行うのではなく、耐震設計を行うためにあると認識すべきである。

⑤バランスの良い壁配置
壁量を確保していても大きな被害を受けることがある。建物の地震被害例をみると木造に限らず建物がねじられて破壊するケースがよくある。たとえ建物全体で必要な壁量を確保していても平面配置が偏っていると建物はねじれる。耐力壁をバランスよく配置することが重要である。

⑥水平構面はかくれた耐震要素
地震被害の中で,主屋からはねだした下屋先端が大きく変形して傾いたり,柱がバラバラの方向に傾いたりする例は多くみられる。
これらの被害は,水平構面,すなわち床面や屋根面の水平方向の強さや変形性能が原因となっていることが多い。
 木造住宅では,土台の隅や2階の床組及び小屋組内に火打ち梁を設ける。これは、床面が平面的に歪まないようにするための処置である。水平構面の強さは耐力壁の量や配置と密接な関係があり重要な要素である。

⑦接合部の仕様
柱 梁の抜き出しや筋違のはずれが、多く見受けられたため、2000年に改正建築基準法が制定された。接合部をしっかりと金物補強することで、耐力壁の利き具合が変化する。梁端部の仕口,継ぎ手も重要であるのでしっかりと計画したい。

⑧防腐 防蟻を行う。木造建物が老朽化する大きな要因は,木材の腐朽と蟻害である。屋上や屋根の雨仕舞が悪く、雨水侵入が生じ,木材が普及した場合や、湿気による木材の湿りを蟻が食すことにより生じる。事務所の改修実績から考えても,ユニットバスでない在来の浴室は、結露による被害で,木材が腐朽している例が6割近くにのぼっている。床下や小屋裏等の痛風をしっかりと確保して,雨水侵入のない家をつくり、丁寧に保全していくことで家が守られていく。

建物形状と構造計画
木造住宅の構造計画で最も重要なことは,「床剛性を考慮して耐力壁を配置すること」である。その為には構面をなるべく一定間隔で配置し,主構面に耐力壁を配置するように意識すると,架構が整理され,構造的にも施工的にも無駄の少ない計画となる。
①耐力壁の偏在
重心と剛心の位置ができるだけ一致するような耐力壁の配置としなければならない。
  剛心とは、建物の剛さの中心である。たとえば、南も北も同じ壁量であれば剛心は建物の中心であるが,壁が北側に偏っていれば剛心は北側寄りになる。重心と剛心にずれが生じていることを偏心というが ずれの長さが大きければ大きいほど水平力が作用したときのねじれは大きくなる。たとえ、偏心が小さかったとしても,外周部に壁がなく中心部に偏在しているようなプランは外周部が大きく振られやすい。特に木造の周辺構面は柔らかい為耐力壁は極力外周部に設けるようにしたい。
 

②セットバック 
部分的に2階がのる建物をセットバックという。構造的にみると建物から突出した部分は水平力が作用したときに振られやすい。
 プラン上,2階の外壁面には耐力壁があるが,その直下には耐力壁がない場合,2階の耐力壁が負担した水平力を下屋の外壁面までどのように伝達するのかを考えなければならない。対策としては、下屋の屋根面、天井面を固めるほか、2階耐力壁→下屋屋根面→下屋の耐力壁の各面が連続するように計画する。

③小屋裏 中間床
2階の耐力壁は屋根面を伝わってくる水平力に抵抗する。その為2階の耐力壁は2階の床面から屋根面まで連続していなければならない。
 しかし、木造では小屋梁から上の部分を2階の構造と切り離して考える人が多く,二階の耐力壁が小屋梁まで,あるいは天井まででとまり、小屋裏にはまったく壁がないということが少なくない。鉛直荷重の支持方向だけでなく,水平力に対する支持方法も考え,その下に耐力壁をもうけるようにする。

木構造 各部材の構造的役割(木構造講座⑦)

木構造は,軸組,鉛直構面,水平構面の3要素から構成され,それぞれが接合部によってつながる。それを基礎が支持する。
 軸組は,鉛直荷重を支持するだけでなく,耐力壁,及び水平構面の外周に作用する圧縮力や引張り力に抵抗する役割も担う。また,外壁面では風圧力にも抵抗する。鉛直構面とは耐力壁のことで,これは建物に作用する水平力に抵抗する。但し、耐力壁が有効に作用するためには,水平構面が耐力壁より先に破壊しないことが前提条件となる。
 水平構面とは,床組及び小屋組みのことで,鉛直荷重を支持する他に,建物に作用する水平力を耐力壁に伝達する役割も果たす。一般に木造の水平構面は柔らかい為、耐力壁と水平構面に剛性のバランスを図ることが重要である。
 接合部には力の伝達を行う重要な役割があり、建物全体の構造性能に大きく影響する。

基礎の役割
 基礎は地盤と建物をつなぐ重要な接点で,建物重量の鉛直荷重や水平力を地盤に伝達し,不同沈下を防ぐ役割を果たす。地盤の地耐力は,ボーリング等の地盤調査の結果から推定できる。木造住宅の場合は,重量が軽い為,基本的にべた基礎か布基礎を採用する場合が多い。
基礎立ち上がりや根入れ部分は,構造的にはどちらも地中梁と考える。地中梁は,建物の足元がバラバラに動くことを防ぎ,特にべた基礎においては基礎の剛性を高める。従って、梁は連続していることが大原則で,通気口などであまり切らないようにする。

土台とアンカーボルト

アンカーボルトは建物と基礎をつなぐ重要なパイプ役である。主に水平力がかかった時に,建物のズレや浮き上がりを防止する。このアンカーを,耐震補強時も取り替え時に、忘れずに打設することが重要である。

柱の役割
①鉛直荷重を支持する②水平力に抵抗する③耐力壁の外周に作用する圧縮力や引っ張り力に抵抗する④風圧力を受ける外壁面では外壁面の変形を防ぐ

梁 横架材の役割
①床などから伝わってきた鉛直荷重を柱に伝達する②耐力壁及び水平構面の外周枠材として水平荷重時に生じる引張り力や圧縮力に抵抗する。③外壁に面した吹き抜けがある場合に風圧力に抵抗する。

耐力壁の役割
 耐力壁は,建物が水平力に抵抗するために最も重要となる構造要素である。場合によっては鉛直荷重も支持するが一般的には考えない。建物の水平抵抗力を確認する方法としては壁量計算がある。これは、耐力壁の水平抵抗力を壁倍率で表し,地震力と風圧力に求められる必要壁量を満足することで建物の耐震性を確保するものである。

壁量の考え方

耐力壁の抵抗メカニズム

耐力壁の種類

水平構面(床組 小屋組み)の役割
①人や家具などの鉛直荷重を伝える②水平力を耐力壁に伝達する。
床組は、実際には火打ち梁を設けたり,構造用合板をはることで性能を確保するが,厳密に言えば床板を留める釘の径と打ち込み間隔,及び根太の梁へのかけ方も関係する。
また、柱と横架材の仕口も性能に影響を及ぼす要因となる。

小屋組みも,基本的には床組と同様の役割を担うが,勾配があるため特に水平力に対しては小屋梁や桁梁を含めた小屋組み全体で考える必要性がある。特に屋根面にかかる水平力は,2階の耐力壁で抵抗するので,2階の耐力壁は屋根面まで連続している必要性がある。

接合部の役割

 接合部には、異方向部材をつなぐ仕口と,同一方向部材をつなぐ継ぎ手がある。役割としては,①鉛直荷重を確実に伝達する②引っ張り力に対して部材が抜けないようにする。という二つがある。部材間の力の伝達をスムーズに行えるように接合することが,木造において最も重要な事である。

地震発生のメカニズム(木構造講座⑥)

  地震発生のメカニズム

地震発生のメカニズムには 大きく分けてプレート境界型と活断層型と二つ存在する。

 プレート境界型
地球の表面は,20枚ほどのプレート(地殻)により構成されている。プレート内部で対流しているマントルが地表付近で冷やされて固化したものがプレートである。プレートはマントルの対流に追随して移動するため,プレートの境界では歪が蓄積される。このひずみが解放されたときに地震が生じる。
 日本列島で地震が多いのは,北米プレート,ユーラシアプレート,フィリピン海プレート,太平洋プレートの4つのプレートの境界上にあるためである。

 活断層型
 活断層とは,200万年まえから活動し,今後も活動する可能性のある断層をいう。およそ500-3000年に1回の割合で動くとされ岩盤に切れ目が生じ,それに沿って両側の岩盤が急激にズレ動くことで地震を発生させる。
 断層のずれ方によって垂直ずれ断層,水平ずれ断層,複合ずれ断層の3つに分類される。
活断層は,大小含めて非常に多く存在し,日本では近畿 中部 伊豆に集中している。また、まだ発見されていない断層が多く存在するといわれている。

2018/09/06

木造住宅が受けやすい被害(木構造講座⑤)

災害の種類 建物に被害をもたらすのは,主に地震 台風 大雪である。
特に日本は地震大国であり,被害をうけた反省から基準や設計法をたびたび見直してきた。
木造に関しての転機は①1950年建築基準法の制定②1981年新耐震設計法導入③2000年建築基準法改正である。①で、壁量が初めて規定され,少しずつ強化されたのち,②で現行の必要壁量となった。さらに③では、耐力壁の配置方法と接合方法が規定された。従って、耐震診断を行うときも建物の建設年代が大きな指標となっている。2000年以降ともなれば,壁量 接合共に問題ないが,2000年より以前であれば,接合に問題がある。1981年よりも前に建設されたものであれば,接合に問題があるのはもちろん壁量も不足している。

木造住宅の被害パターン
① 地震による被害
最も多いのが,地盤基礎に関するもので,基礎が束石程度や無筋コンクリートであったり,アンカーボルトの施工に不備があったために足元をすくわれて大被害になった事例が多い。従って,基礎はRC造として,アンカーボルトの打設前に柱から150-200mm以内の位置にセットするようにしたい。
 次に多いのが,耐震要素の不足,及び偏在や接合不良である。耐力壁が偏って存在する場合は倒壊する被害が多くみられる。このような被害を防ぐには,耐力壁の量を確保するとともにバランスよく配置することが重要となる。
また、接合部が引っ張り力に対して無抵抗な接合だったため,建物が変形した際に部材がバラバラに離れ,倒壊につながったケースも多くみられる。さらに、腐朽蟻害による断面欠損が重なれば大被害は免れえない。この事から引っ張りが生じる耐力壁廻りや外周部の梁は抜けないように接合することと,躯体に湿気がこもらないように構法の工夫をすることが重要である。
 床面の水平剛性不足が原因となる被害もある。2007年新潟中越沖地震では、細長い平面形で耐力壁の構面間距離が長いうえ,屋根面の水平剛性も不足していたため,水平耐力要素のない中間部が大変形して崩壊した。従って、耐力壁の構面間隔が長くなる時には,それに応じて水平構面の剛性を高める必要がある。
② 台風による被害
台風は毎年来襲するにもかかわらず,被害は繰り返し生じている。軒先が吹き上げられて屋根が吹き飛ばされる,屋根材が剥がれる,看板が飛ばされるなどいずれも接合不良が原因で起きる。納屋が転倒するという被害もアンカーボルトの不備が原因である。
 風に対しては、特に軒先の垂木や小屋束を留めておくことが重要である。また、転倒を防ぐには,耐力壁を確保し,アンカーボルトで基礎に緊結することが有効となる。
③ 積雪による被害
大雪による被害は2年に1回は生じている。
 普段積雪の少ない地域では,雪下ろしの習慣がなかったり,できなかったりする建物がある。雪下ろしに頼る設計はできるだけ避けたほうがよいだろう。

2018/08/28

木造住宅にかかる横方向の力の流れ(木構造講座④)

 一般的な構造設計では,水平荷重として地震力と風圧力を検討する。地震力は地面が揺れるのだから本来は下から上に力が流れるのだが、便宜的に地面の移動を0として,上部構造に水平力が作用しているものとして検討する。
 水平力は,おおまかにいえば床面から耐力壁へ伝達される。そのため、床面が柔らかく歪んだりしていては,耐力壁までスムーズに力が流れない。よって、床面はしっかり固めておく必要性がある。

①小屋廻りの力の流れ

屋根面に作用する水平力は,野地板→垂木 母屋 棟木 桁梁→小屋筋違→2階耐力壁

小屋廻りに作用する水平力に関しては,2階の耐力壁が抵抗する。小屋組みの内部には小屋筋違などの耐力壁を設けておき,屋根面に生じた水平力を2階の耐力壁に伝達できるようにしておく。

②2階床 1階床廻りの力の流れ

2階の床面に生じた水平力に抵抗するのは,1階の耐力壁である。よって,2階の床に作用する水平力は,床板→根太→小梁 →1階耐力壁へと流れていく。
1階の耐力壁が負担した力は,土台を伝わって基礎 地盤へと流れる。その他,1階の耐力壁には2階の耐力壁が負担した水平力も伝達される。この時、1階と2階の耐力壁の位置がずれていると,二階の耐力壁は負担した力は、いったん2階の床面を介して1階の耐力壁に移動することになる。従って、2階の床面は,大きな水平力を伝達できるように固めておく必要性がある。
 1階の床面に生じた水平力は,床面→根太→大引き→土台→基礎→地盤へと流れていく。

木造住宅にかかる縦方向の力の流れ(木構造講座③)

鉛直荷重の流れ方

 力の流れを把握することは,構造設計の第一歩である。当たり前のことであるが、この基本事実をきちんと確認しておけば、複雑な形態でも応用が利くこととなる。建物にかかる力は,それぞれの部材を支える部材に流れていく。基本的には、上から下へ鉛直荷重として重力方向に働く。

①小屋廻りの力の流れ
一般的な和小屋は屋根面の荷重を小屋梁で受けて柱に伝達する。この時,屋根葺き材や雪の重量は,まず,野地板にかかる。それ以降は,垂木→棟木 母屋 軒桁 →小屋束→小屋梁→桁 梁 柱の順で力が流れていく。

②2階床廻りの力の流れ
床材や人 家具などの重量は,まず床板にかかる。その次に根太→小梁→大梁→柱の順で流れる。

③1階床廻りの力の流れ
2階から流れてきた力は柱を伝って土台→基礎→地盤へと伝達する。
1階床の重量は,床板→根太→大引→床束→土台 

建物に作用する荷重(木構造講座②)

建物に作用する荷重

 建物には、人や家具などの重量だけでなく,雪 台風 地震などの荷重も作用する。構造設計とは,これらの荷重について条件を設定し,建物を構成する材料の特性をよく把握したうえで,要求される空間に適した架構形式を選択することである。建物に作用する荷重は,常に作用する建物自体の重量(固定荷重),移動する可能性のある人,家具などの積載荷重の他に,雪,風圧力,地震力,土圧,水圧などもある。これらは荷重の方向と作用時間により分類される。
 荷重が作用する方向は,鉛直方向と(重力方向)と水平方向に大きく分けられる。
鉛直方向の荷重には,建物の自重,積載荷重,雪などがある。風圧力と地震力は,鉛直方向にも作用するが、建物への影響は水平力のほうが大きい為,構造設計上は主に水平力として扱う。

 荷重が作用する時間
 自重 積載荷重 土圧 水圧は常時作用する荷重といえる。雪 風圧 地震力は,稀にかかる荷重として短期荷重と呼び、それに応じて構造部材の許容値を決めている。

木構造とRC造,鉄骨造の違い(木構造講座①)

建物の構造体を形成する材料は様々だが,代表的なものは,木,コンクリート,鉄の3つであり、構造としては、木造、鉄骨造、RC造にわけられる。

 木造は、長さ4m程度の木材どうしを噛み合わせて骨組みを作る。個々の部材は脆いが,接合部を有することで非常に粘り強い構造体となる。建物重量は軽い。構造体の剛性が低いので、ゆっくり揺れて、柔らかい構造となる。坪単価 約60万~。
 鉄骨造は、H形やロ形の鋼材を組み合わせて骨組みを作る。接合部は溶接かボルト接合で、どちらも構造体としての一体性は高い。建物重量はやや軽い。構造体は剛性,靱性ともに高い為,やや揺れやすい。最近は,間仕切りの遮音性や,気密性等の性能が以前に比べだいぶ上がってきており,また、壁の移動が容易であり,将来の用途変更もRCに比べ融通が利くため鉄骨造が更なる注目を集めている。坪単価70万~。

 RC造は、コンクリートの中に補強鉄筋を入れて骨組みを作る。鉄筋を組み立てた後に型枠を組み,その中に液体状のコンクリートを流し込んで固めることで骨組みが一体化する。重量は重い。構造体の剛性が高いので,揺れにくく硬い建物となる。坪単価80万~

スタッフ紹介

高橋 利郎
2005年 東京大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程卒業
  • 神戸市住まいの耐震診断員
  • 既存住宅現況調査技術者
  • 国土交通大臣登録 RC 木造 鉄骨造 耐震技術者講習修了者
高橋 眞治
人間は文明とともに進化するが、一方伝統、環境、文化を守り続けていくこと抜きでは生きていけない。古いものを守り、現実をつぶさに見据え常に自己の感性に挑戦し続ける自分でありたい。
  • 兵庫県ヘリテージマネージャー
  • 兵庫県景観アドバイザー
  • 神戸市住まいの耐震診断員
  • 既存住宅現況調査技術者
  • 国土交通大臣登録RC木造耐震技術者講習修了者

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・耐震診断無料(S56年以前建築の住宅)
・図面作成無料

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E-mail:toshiro@arch-takahashi.com


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