木造建築物の新築時における構造計画のまとめ

耐震改修時の構造計画の変容と現在の考え方を前回ブログではまとめて記載しましたが、今回は、新築時における令和5年の構造計画のまとめを記載したいと思います。

軸組み工法の変容

1995年1月に阪神淡路大震災が発生しました。それまでは、軸組み工法の開発のポイントは、どちらかといえば、構造性能よりも生産性の向上に置かれていました。それ以前の地震で、建物が振動で倒壊した事例はすくなかったのであります。

この地震が発生したのちに、木造住宅の構造性能が注目されることとなりました。この地震を契機として、木造建築の構造面の研究は一気に進みました。それらの研究の成果をもとに、2000年に建築基準法が改正され、住宅の品質確保に関する法律(品確法)が成立しました。現在も使用されている木質構造の設計法、耐力評価の多くは この時期に基本的な考え方がまとめられました。

 

新しい構法

・躯体は、プレカット加工、金物工法

・柱は構造用集成材

・基礎はべた基礎

・基礎の立ち上がり幅は150mmで組み立て鉄筋

・基礎と土台の間にパッキン

・床は根太レス構法

・耐力壁は構造用合板などの面材系で、筋交いは用いない。

・壁はパネル化の充填断熱

・外壁は胴縁を設けた通期構法

 

これらは、急速に普及したものであります。

 

・小屋組み屋根構法

現在は、和小屋などは一般の住宅ではほぼ見られない。屋根が着色セメント瓦などを用いて、軽量化したものも多く、小屋組みの部材は小さくて済むようになってきています。個室化がすすんだことにより、壁量が増えて、壁通りにたてた小屋束だけで大半の母屋を支えることができるようになっています。そのため、小屋束の支持点として必要だった小屋梁があまり用いられなくなってきています。また、様々な方式の小屋組みが採用されています。和小屋以外に母屋や小屋束を設けずに垂木のみを敷きならべる垂木方式や、登り梁を桁から棟木に架けて垂木を省略する登り梁方式といったものです。

・床組み 剛床化と厚板の利用(新築と改修共)

厚板とよばれる厚24-28mmの構造用合板を使用して、根太や火打ちを省略する方法が増えています。材料のコストアップを差し引いても省力化と構造面で有利です。

・水平剛性の強化と小屋裏空間の活用

床構面と同じように小屋組みの剛性も向上してきました。構造用合板などの面材で面剛性を確保して、水平力に抵抗します。そのほか、主屋の2階床組みから下屋の小屋梁構面に部材を貫通させてかけ渡し、下屋と主屋を一体化する工夫も行われています。小屋裏を収納や居室として活用するものが増えています。梁桁の水平構面につながるため、構造的には望ましい傾向です。

 

・メーターモジュール

柱の芯々距離をメーターモジュールの採用が増えています。体格の向上やバリアフリーなど使用者側の都合と、大工職人にメートル法に対する抵抗感がなくなったこと、メータモジュール対応製品が流通するようになったためであります。

 

・耐力要素の直下配置

耐力要素の位置を上下階でそろえる方法が行われています。たすき掛けに筋交いをいれた高倍率のパネルの直下には必ず耐力壁があるようにしています。

 

・全通し柱方式

構造的には管柱を設けずにすべてを通し柱とするものです。全通し柱方式では、部材や接合個所の種類が管柱を混在させた場合の1/2から1/3程度に抑えることができるといわれています。比較的大きな断面の部材、構造用集成材を使って行われることが多いです。また明解なグリッドによる構造計画とまかせて採用されることが多いです。

 

・全管柱方式

すべての構造柱を管柱にする方法もあります。メリットは、通し柱がないことで上下階の柱や壁の配置に制約が少なく、様々な間取りや敷地形状に対応しやすいこと、通し柱を混在させた場合よりも接合部や部材の種類が整理されること、床を先行床としやすいことなどがあげられます。

 

・横架材の継手位置

一般的な製材長さである3,4mの材をついでいくと構造とは無関係に継手が現れる。そこで、すべての継手を柱の側面位置で揃えるようにします。そのほか横架材を柱の芯上で継ぐようにしたものもあります。

 

・基礎工事の現場施工の省力化

手間の削減や工期短縮を目的とした現場施工の省力化が行われています。まず、割栗石を廃止して、砕石や砂利を使うことが行われています。型枠工事では、鋼製型枠が一般化し、断熱材を捨て型枠とするものも増えています。鉄筋の配筋もユニット鉄筋の利用が増えています。束石、根がらみ材なども使わずに鋼製や樹脂製の床束が普及しています。

・垂木方式

垂木方式の小屋組みは、垂木を棟木から軒先にかけ渡して平行にならべる形式で、和小屋と登り梁方式の中間的なものです。使われる垂木は通常よりもせいの大きいものが多いです。

 

・登り梁方式

登り梁は軒桁から棟木にかけ渡す大き目の部材で、基本的に柱と同じ間隔で配置します。母屋、垂木、小屋束を使わずに小屋組みを構築できるため、勾配天井の吹き抜けや小屋裏空間を確保するのに適しています。

 

・床下換気と換気スペーサー

コンクリートを欠きこんだ従来の換気口方式は構造的な弱点になっていたのに対し、換気スペーサーによる基礎換気は断面欠損がないうえ、基礎を分断しないため、構造的に有利であり、施工も省力化されます。土台が基礎から20mm前後浮かせ基礎全周から均一な換気量が確保されます。

 

 

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