吹抜けのある家の構造計画のポイント(許容応力度計算 耐震等級3 耐風等級1)

吹抜けのある家の構造計画のポイントを記載していきます。計算は、許容応力度計算 耐震等級3 耐風等級1となっています。

 

 

南東側から見た外観です。

南西側からみた外観です。

北側からみた外観です。

 

ちょうど南側の真ん中部分が吹抜けになっていることがわかると思います。

1階平面図です。南北方向の壁量を検討するときは、吹き抜けの中央で建物を左右にブロック分けをして、それぞれで必要壁量とバランスを確保する手法も用いられます。

2階平面図です。緑部分は、小屋裏が存在しており、ロフトがあります。2階の階段は、床がないため吹抜けと同じ扱いです。

階段と吹き抜け部分がボイドとなるため、ホール部分の床の水平剛性がとりずらく、しっかりと剛性をとる構造計画が必要になります。

吹抜けが存在しているため、X3通Y1-5 X6通Y1-5は、下部に耐力壁が欲しいところですが、設けると開放性がなくなります。

今回の設計では、X6Y4-5に耐力壁を設置しています。そして、2階のホール部分の床の剛性を高めるというのがポイントになってきます。

 

架構図です。 赤丸部分の下に耐力壁は存在しないため、梁せいが240必要になっていますが、ピンク部分の下には耐力壁が存在するため、梁せいは、180でよいようです。全体的には、梁せいが300以上のものは存在せず、吹抜けがあるにもかかわらず、架構としては、バランスのとれたものになっています。

北側からみた架構です。南側の 吹き抜け廻りとリビング部分が開放的になっているため、梁せいも大きなものが必要ですが、それ以外は、梁せい200以下に納まる架構となっています。

吹抜け廻りの柱と梁は、2階の荷重を大きく受けていることがわかると思います。

リビング側の柱です。

耐震等級3での鉛直構面の状態です。南側が窓が多く開放的なため、耐力は少し弱いですが、問題ない範囲です。

 

 

水平構面も、階段と吹抜けは0ですが、その周りを、剛床にしてあげることで、強いものとなります。

母屋伏図です。

登り梁を1820で検討しています。

 

小屋伏せ図です。

吹抜け廻りの梁でX3通り(Y1-Y5)とX6通り(Y1-Y5)の梁ですが、特にX3通りの梁は、1階に柱が存在していないため、小屋梁スパンは3650で検討します。この間には継手を設けません。

 

 

 

X3の梁の荷重範囲ですが、このように考えてしまうと、2階のX3の荷重を多く受けることになります。

上部に柱がないと考えるとX3通りの梁は、せいが180になり負担が軽くなります。

 

さて、2階の床の伏図にはパターンが3つ考えられます。

①パターンA(2階床伏せ図)

X3通りの床梁の負担過重を軽減するため、X1からX4の小梁をY方向に架けました。この場合は、Y5通りのX0-3の負担過重が増えるため、Y6通りの梁をX0-4まで通してY5通りの梁の負担を減らします。しかし、Y6通りの梁はX4通りの梁にかかるため、Y5通りの梁にも負担がかかることになり、あまり良い架け方とはなりません。

②パターンB(2階梁伏図)

 

 

梁を基本的に南北方向に架けます。これだと吹抜け廻りの梁の負担は減りますが、Y5とおりの梁の負担は多いものとなります。

ただし、1階に柱が存在しているため、梁の負担は軽くなるともいえます。こちらの梁の架け方は、それなりに正解と考えることもできます。吹抜け廻りの梁の負担は軽くなります。

③パターンC(2階梁伏せ図)

東西方向に梁をかける場合は、吹抜け廻りの梁とY5通りの梁にもそれなりに負担がかかります。

よって、できればNGとしたいところです。

吹抜けのある家の 2階の梁の架け方を3パターン 紹介しました。

どれを選択すべきのか、1階の柱の位置と 梁の負担を考えながら決める必要がありますが、

吹抜け廻りの梁にできるだけ負担をかけたくないという方向での構造計画をすすめるのであれば、

この場合、パターン②の南北方向に梁をかけるというのが正解でしょう。

 

以上

吹抜けのある家の 構造計画をご紹介しました。

 

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