耐震の基準について

自然災害が頻繁に発生する日本。その中でも地震は、いつどこで発生してもおかしくない、とても恐ろしい災害です。2011年の東日本大震災以降も、日本では大きな地震がたてつづけに起きています。首都直下型地震、東南海・南海地震など、近い将来、高い確率で起こるといわれる大地震もあります。そんな中、私たちができることは「備えること」以外にありません。その備えることの中でも、住宅やビルの耐震リフォームは、とても有効だと考えられています。ここ30年以内に 東南海 南海地震が起こる確率は70-80%といわれています。2021年2月14日も福島県沖を震源とする強い地震が発生し、宮城県と福島県で震度6強を観測しました。この記事では、その理由も含めて、耐震工事や耐震リフォームをおこなうメリットについてご紹介していきます。

■耐震基準

繰り返し大地震の被害を受けている日本では、建物の強度を保つために耐震基準が定められています。耐震基準は、建築基準法に含まれるものであり、現在の基準は1981年に改正がおこなわれた「新耐震基準」です。すなわち、この1981年よりも前に建てられた建物の多くが「旧耐震基準」に基づいて建てられていることを意味しています。
新耐震基準に改正されたきっかけとなったのが、1978年の宮城県沖地震です。この地震では、当時のスケールで震度5の揺れが仙台を襲いました。建物は7000戸以上が倒壊し、28人が死亡しています。

■旧耐震基準

戦後間もない1950年に制定された旧耐震基準では、現在のスケールで震度5強よりも強い揺れに対する規定がありません。震度5の揺れが、しかも10年に1回程度発生するという想定の下で作られた耐震基準だったのです。

■新耐震基準

一方、新耐震基準では、震度6よりもさらに強い地震でも建物が倒壊しないよう求める基準になっています。1981年の改正後も、2000年には「2000年基準」と呼ばれる建築基準法の大きな改正がおこなわれており、ここで更に建築確認申請の厳格化が求められるようになりました。この2000年基準には、1995年の阪神淡路大震災による被害の検証結果が反映されています。2000年の改正においては「基礎の設計」「基礎と柱の接合法」「耐力壁の配置」などにより建物を強固に設計するよう、変更が加えられました。2000年以降、新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震など、最大で震度7を記録した地震が度々発生しております。これらの地震では、建物の倒壊も数多く発生しておりますが、特に熊本地震においては、旧耐震基準で建てられた建物と、新耐震基準で建てられた建物との間で、倒壊した割合に大きな差があったことがわかっています。旧耐震基準の建物は約3割が倒壊したのに対し、新耐震基準の建物では、ほとんど倒壊しませんでした。
旧耐震基準で建てられた建物への対応方法
21世紀に入り、すでに20年以上が経過しておりますが、現在も旧耐震基準で建てられた建物は現存しています。ご自宅、もしくは中古住宅やマンションの購入を検討している場合に耐震基準がわからないことがあるかもしれません。どのように新旧耐震基準を見分ければよいのでしょうか。

■建築確認証で見分けが可能

新旧耐震基準は、建築確認証で見分けることが可能です。1981年6月1日から有効になっている新耐震基準ですが、はっきりとその日を境に新旧の区別はつきません。建築申請がいつおこなわれたのかが重要です。この日付以前に建築確認がおこなわれている場合は、旧耐震基準に基づいたものだと考えられます。検査済証にある建築確認申請日の日付でも見分けられます。
耐震基準だけでは判断できない
耐震基準はあくまで基準であり、建物の現在の状況を判断できるものではありません。ご紹介したように、2000年にも大きな改正がありましたし、外壁や屋根塗装などのお手入れがしっかりおこなわれていなければ、劣化により建物が傷み、同時に建物の強度も下がると考えられ、安心して住める建物とは言えません。

■耐震診断

耐震基準だけでは建物の状況を完全には判断できないとなると、別の方法を考える必要があります。それが耐震診断です。耐震診断は、かんたんに言えば「建物の強さ」をチェックする方法で、これにより地震で倒壊するリスクを推測できます。縦揺れ、横揺れとよく表現しますが、地震の揺れには異なる衝撃波があります。建物を倒壊させやすい衝撃波は横揺れのほうです。耐震診断では、建物が新耐震基準に準じた横揺れへの強さを持っているかどうかについてチェックがおこなわれます。現時点で建物の老朽化を感じている方や、中古の戸建て住宅を購入する場合は、建築士に耐震診断を依頼するとよいでしょう。住宅の耐震強度に不安をお感じの方は、ぜひ高橋建築事務所までお気軽にご相談ください。

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