働き方改革時代の オフィスデザインと コロナ禍のオフィスデザイン(事例研究)

最近のオフィスデザイン動向の研究をしておりました。

■オフィスデザイン概要

 

コロナ以前のオフィスデザインの流れと コロナ禍のオフィスデザインがどのような動きの中で進展しているのかを記載していきます。トップダウンによる仕事の流れとオフィスデザインよりもボトムアップによる仕事の流れとオフィスデザインがさらに加速すると思われます。

・コロナ化禍において、テレワークが加速したため、ワークプレイスが縮小しました。よって、オフィススペースに余った空間ができました。それを単に面積を縮小するのではなく、余った空間で何ができるのか その空間で新しいチャレンジをしたいという日本企業が増えてきています。

 

以下、実例をあげながら どのようなオフィスデザインが存在しているのか順を追って説明していきます。

■事例紹介1(USEN-NEXT GROUPのオフィス)

①働き方改革の時代のオフィス設計の流れ

社員の働きやすさを最優先!USEN-NEXT HOLDINGSの新オフィス | 広報会議デジタル版 (sendenkaigi.com)

 

執務スペースは デスクワークに集中するため、人が出入りする入り口近くより奥まったエリアのほうが良い。集中するスペースとコミュニケーションするスペースを上手にゾーニングしていく作業が重要。コピー機などがあるユーティリティースペースは、偶然の出会いを誘発する場合もあるため ハイテーブルや休憩スペースがあるとよい。

②ABWに応じた多様な設え 場を提供する。Activity Based Working )

ABWという考え方に基づいてオフィスが設計されていくほうが、会社の生産性があがるという流れになってきているようです。ABW(仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方) 

 

オフィスは ABWを助長させる空間であるべきという設計手法。椅子の向き 高さ 人数 シートの快適性などを変え、多様な選択肢を用意します。自由でのびのびした雰囲気を演出。

USEN-NEXT GROUP オフィス | 実績紹介 | 株式会社丹青社 (tanseisha.co.jp)

②建築と家具のスケールを行き来する。

個人で働きやすい環境を整備した後、オフィス全体を俯瞰し、バラバラな空間を建築的なスケールでまとめていきます。ユーザビリティーに沿うだけでなく、チームとして一つ屋根の下でつながっている感覚も欲しい。

天井の造作やガラス張りのパーティションなどフロア全体を貫く共通のエレメントを採用。建築と家具の間を行き来することで、空間全体を考えるようです。

③個人とチームのバランスを調整する。

 

ABWの課題として、個人のユーザビリティーを追求するあまり組織としての生産性や帰属意識の低下といった問題が生じることがあります。そのためにチーム作りをサポートする仕掛けを考える必要性があります。

特集 | “The事務所”から緑豊かに…働き方改革でリノベ!USEN-NEXT GROUPが進めるオフィス刷新 (tokai-tv.com)

各部署専用のコミュニケーション室を用意する、プロジェクトルームの設置など。

 

④外部との接点をつくる。

各企業の競争力の源泉は企業内のリソースにとどまりません。いかに外部との接点をつくり、社外を含めたエコシステムを社外を含めたエコシステムを構築するか。

USEN-NEXT GROUP、USEN本社オフィスをリノベーション|株式会社 USEN-NEXT HOLDINGSのプレスリリース (prtimes.jp)

イベントスペース

そのためには、コワーキングスペースやインキュベーション施設とするケースが増えています。イベントスペースを設け、ワークショップやセミナーを定期的に開催。入居者どうしのコミュニケーションやビジネスマッチングの機会を提供している。

⑤街や自然とつながる気持ち良い環境づくり

パソコンとインターネットがあれば仕事ができるようになり、働く環境が急速に変化している。オフィスとは、一番気持ちよく、一番仕事がはかどるからここに来る。という場所を用意することが理想です。オフィス然とした環境ではなく、街や自然環境に開かれた、周辺のカフェや公園を含めた居場所の選択肢の一つとしてオフィスを計画する。光や風、緑を積極邸にとりこみ、カフェのようなカウンターやボックス席を用意するなど、自然環境を取り込み 心地よさを考慮することが最も外せないポイントかもしれない。

■事例紹介2)LINEオフィス

日本一働きやすいオフィスをというスローガンで設計されたようでした。

働きやすさについて考えるために 休む時間や対話の時間について考える。かっての職住一体のように働く場所と住む場所が同居し、様々なものが化学反応を起こす環境が新しいなにかを作り出すためには必要であるということでした。

LINE株式会社 本社移転プロジェクト|家具納入 |オフィスデザイン・オフィスレイアウトのトータルプランニングならWSI

カフェエリア 作業や打合せ 休憩など 自由な使い方ができる街中のカフェのようなスペースとして計画

LINE株式会社 本社移転プロジェクト|家具納入 |オフィスデザイン・オフィスレイアウトのトータルプランニングならWSI

カフェテリアでは、オフィス家具を用いず、リビングのようなくつろぎを演出。

LINE株式会社 本社移転プロジェクト|家具納入 |オフィスデザイン・オフィスレイアウトのトータルプランニングならWSI

執務空間です。広々と使える机を用意しています。

 

オフィス移転の経緯

元々オフィスの存在していた渋谷では、3拠点のため、コミュニケーションを行う場所の不足やオフィス間の移動時間が課題となっていました。業務の効率化を図るために、2000人規模のオフィス1カ所にする計画がもちあがったことで進められたようです。

計画のプロセスは、社員の気持ちを汲み取るボトムアップ型のプロセス。全社員を対象にした100項目に及ぶアンケートをおこなったようです。現状の会議室の数への満足度、会議を行う際の平均人数。一人当たりのワークプレイスの広さに対する満足度。社員がオフィスに求めている機能をデータとして収集。作業スペース 会議室の使われ方他、働き方にどのような特性があるのかを検討。会議の内容まで分析して、ミーティングに要する時間や人数、会議の議題が機密事項を含むかなど、詳細に調査をすすめたようでした。

実際にクローズドな会議は全体の10%程度であることがわかり、社員数あたりの会議室の数は変えずに ふらっと集まり短時間でミーティングや会話のかわすことができるコミュニケーションラウンジを各執務フロアにもうけることにした。10分程度ですむ会議も多いことが判明した。

 

COMMUNICATION LOUNGE

LINE、本社移転を完了し、新オフィスにて営業を開始 | ニュース | LINE株式会社 (linecorp.com)

WORK LOUNGE

LINE、本社移転を完了し、新オフィスにて営業を開始 | ニュース | LINE株式会社 (linecorp.com)

コミュニケーションラウンジに加えて執務フロアにはワークラウンジとよぶフリースペースを用意。執務スペースに連続して存在しているため、移動する際に社員同士が自然と顔を合わせ、人が集う場所となるように計画。

社員は 午前中は自席で作業をして、午後はカフェやラウンジで企画を練りつつメールするなど業務内容や気分に合わせて働く場所を使い分けている。

オフィス空間が移動しながら働くスタイルを促し、コミュニケーション速度が格段にアップしたようである。

執務階のコア側の主要動線上に WORK LOUNGE COMMUNICATION LOUNGE

という自然と人が集う場所を用意しています。

カフェ、ワークラウンジ、コミュニケーションラウンジ スタディールーム といったオープンスペースをちりばめつなぐ。その日の体調や気分に合わせて、最適な場所を自身で選択し、移動しながら働くスタイルを可能にしているようです。

個人のパフォーマンスが最大化されるワークプレイスになることを目指しています。

オン /オフ ワーク /ライフのような二項対立ではなく、全てがグラデーションにつながるワークプレイスを計画。

 

ライブラリーでは最新のトレンドが得られ、コンビニは個人の郵便物の受け取りや銀行としての利用の他、行政書類の発行も可能。子供を預ける託児所、語学研修を受けることのできる場所ももうけています。仕事は会社で、プライベートは勤務時間以外の時間といった考えではなく、個々人の24時間の生産性をあげることを優先し、可能な限り一日の生活がオフィスの中で完結する街のような空間を目指しています。

日本の有名企業のおしゃれなオフィス・事務所「LINE株式会社」|(株)オフィッコス|名古屋の賃貸事務所移転をサポートするオフィスの仲介会社 (offi-cos.co.jp)

多様なフリースペースや各所に点在するラインのオリジナルキャラクターは来客だけでなく、社員もラインの企業文化を意識するための仕組みであるようです。

社員一人ひとりが、ラインらしさを体験し、常に意識しながら作り上げていくことが重要ということでした。

 

 

参考文献)商店建築 2021年4月11月 2020年4月11月 2019年4月11月 発行所 株式会社 商店建築

■紹介事例3)大塚倉庫

 

現在のオフィスづくりの流れに、イベントスペースや飲食をできる空間を作って、社外の人や情報を社内に呼び込むという方法があるが、その中でも挑戦的な実例となっています。

 

トラックを持たない“異色の物流企業”、大塚倉庫がオフィスを大規模リノベーションした理由 – ITmedia NEWS

イベントステージ

 

物流ITカクメイの基地。3つのつながりを体現する大塚倉庫のオフィス | IBASHO はたらくことを楽しむ オフィス情報メディア (ibasho-ob.com)

エントランス部分には、自社のルーツは物流であるということを日々感じられるデザイン

 

 

 

 

株式会社オカムラ|オカムラの空間づくりソリューション | 大塚倉庫株式会社 東京本部オフィス様の事例 (okamura.co.jp)

社内外が気軽にコミュニケーションできる仕掛け

 

大塚倉庫は、自社のオフィスを活用して、地域とのコミュニティー形成や企業同士のつながりをつくりだすことを一つの目的にしています。

勉強会や、プレゼンが行えるステージ、カフェスペースが執務エリアと隣接していたり、大塚倉庫と一見関係ないイベントすらも行える自由なスペースが設けられている。それらがイノベーションにつながらないかと模索しているとみられる。

この大塚倉庫のオフィスを設計する際のポイントとしては、以下のことがあげられるかと思います。

  • 企業らしさをどう表現するか

創業ストーリー 企業理念 ブランディング カルチャー

  • 自由な働き方を如何に実現するか

イノベーションをおこしたい(企業側の要望)

ワーク ライフを融合させ活き活きと健康的に働きたい(働き手側の要望)

コワーキング 共創プラットフォーム ABWスタイル ウェルビーイング機能

  • コミュニティをどのように熟成するのか(社外からのアイデアによるイノベーションを促す)

社内外コミュニティー 協業 イベント開催 飲食機能 エンゲージメント

 

参考文献)商店建築 2021年4月11月 2020年4月11月 2019年4月11月 発行所 株式会社 商店建築

■オフィスデザインの流れ(2005年あたりから2019年以前 コロナ禍前)

引き続き、昨今のオフィスデザインの流れの中で必要だとされるABWの考え方に基づいたオフィスデザインの事例を紹介します。

その前にこ15年間のオフィスデザインの流れ(2005年あたりから2019年以前 コロナ禍前)を記載します。

最初の段階 オフィスのエントランスを豪華にする

(企業のブランドを対外的に発信するということを目的とした来客目線を重視した考え方。一方で執務室は個人デスクが並べられただけのつくりであることが多く、閉鎖的なオフィス空間。)

第二段階

エントランスから来客を迎え入れるミーティングエリアが、開放的でゆったりとしたラウンジのようなカジュアルなデザイン。来客目線の空間づくりが主流であった。

 

第三段階

働く社員に焦点をあてたオフィスづくりが広まってきた。個人が働く場所や時間を選べることが重視され、自由に使える時間が増えると同時に、そこで活発に働いている社員の姿を見せることがブランドの発信につながると考える企業が増えてきた。

 

オープンや交じるといったキーワードが重要になり、社員同士が交流するだけでなく、社内外の人が交流することを目的としている場合も多々見られる。オープンで多様性のあるオフィスが現在の主流となってきている。

 

ABWに応じた多様な設え 場を提供する。(Activity Based Working )

ABWという考え方に基づいてオフィスが設計されていくほうが、会社の生産性があがるという流れになってきているようです。ABW(仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方) 

 

■事例4)ITOKI TOKYO XORK

働き方改革における生産性を高めるオフィスのモデルケースとして、次世代型のワークスタイルを目指したとのこと。

組織に縛られず個人の働き方に裁量を与え、ワーカーと個人の働き方に自己裁量を与え、ワーカーと企業の新しい関係性構築にチャレンジしています。

ABWという手法を採用して、空間デザインだけでなく ペーパーレス化に伴うIT環境の再構築や行動変容も含めて実施。オフィス内でおこる活動を定義して、専用の場所をそれぞれデザインし、音と視界に配慮した配置計画をしている。それぞれの場所における活動の定義を直観的に認識させるために、行動を誘発するインテリアツールの設定に加え、活動ごとのカラースキームを設定して選択しやすくしています。ワーカーは、毎朝自分が今日どこで 誰と どのくらいの時間働くべきかを考えなくてはならず、更にアプリ上で 自分の活動割合をみることができるため、常に自分の生産性をみつめなおすことができます。こうしたファシリティーにより、日々の行動をワーカー自身が考える姿が、これからのオフィスデザインに必要かと思われました。

 

 

働き方を自らデザインする。次の次元のワークスタイルの実現。株式会社イトーキ、新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」東京日本橋に誕生。 | 有限会社 上利金庫店 (agari.co.jp)

ABWとWELL認証を軸にプランニングされたオフィス空間が広がる

ABWの創設者Veldhoen x イトーキが作り出す、日本流ABWのあり方 | Worker’s Resort 世界のワークカルチャーから働き方とオフィス環境を考えるメディア (workersresort.com)

ABWの考え方に基づいて活動を空間に落とし込む

高集中

集中して個人作業を行うためのスペース タスクアンビエント照明を採用し、個人に最適な環境で作業できるようにしている。

 

ITOKI

 

コワーク

ビッグテーブルなどを配置し、周囲との共働をはかりつつ、個人ワークを行うためのスペース。

ITOKI TOKYO XORK Worker

対話スペース

 

アイデアだし 対話スペース

複数人でアイデアを引き出していくためのクリエイティブ空間。ホワイトボードやスタンディングデスクが配置された。

株式会社イトーキ 新本社オフィス 「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」 | LEED, WELL & SITES CERTIFIED PROJECTS IN JAPAN (gbj.or.jp)

ガラス張りの会議室

知識共有

階段状のシートをつくり 報告会やディスカッションなどをカジュアルに情報を共有できる場所とした。

イトーキ、ABWとWELL認証を導入した新オフィス–新しい働き方「XORK Style」を提唱 – CNET Japan

電話WEB会議

電話やネットを介したコミュニケーションのためのスペース

ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)が「German Design Award 2021」 Special mention受賞~空間デザインとして、イトーキ初~|株式会社イトーキのプレスリリース (prtimes.jp)

リフレッシュのためのスペース

畳敷きの空間では、海や森などのサウンドを流すことができる。

参考文献)商店建築 2021年4月11月 2020年4月11月 2019年4月11月 発行所 株式会社 商店建築

2021年における最新のオフィスデザイン事例紹介です。

以前にも記載しましたが

・コロナ化禍において、テレワークが加速したため、ワークプレイスが縮小しました。よって、オフィススペースに余った空間ができました。それを単に面積を縮小するのではなく、余った空間で何ができるのか その空間で新しいチャレンジをしたいという日本企業が増えてきています。

■事例紹介5)乃村工藝社新オフィス

 

スローガンは「未来の働き方をつくる」。実験 健康 ブランドをキーワードに社員同士のコミュニケーションの機会を活性化するようなオフィス空間を考えて作られていったもの。在宅ワークから出社率の低下が見込まれたため、執務エリアをコンパクト化し、コミュニケーションエリアを拡充した計画のようです。

 

乃村工藝社グループの多様で個性的な働き方にあわせて誰もが自由に使える公園のような場所がオフィスとなっているようです。在宅やサテライトではできないクリエイティブワークは何か。オフィスは、慣習的に行く場所ではなく、社員やクライアントが行きたくなる場所でありたいという想いでの設計。そこでは、従来オフィスがもつ仕事場というイメージを社員がつながる場へと変えていこうという意図が存在している。出勤時における社員のエンゲージメントを高める。活発なコミュニケーションを誘発するコミュニティマネージャーが存在しているようです。企業や人、働き方など様々なものが交わり紡ぎあうことで新しい価値を生み出し、支援することを目的とした場の設計。

乃村工藝社、ニューノーマル時代のコミュニケーションを誘発するリアルオフィス空間の実験を開始 | 株式会社乃村工藝社 (digitalpr.jp)

乃村工藝社、ニューノーマル時代のコミュニケーションを誘発するリアルオフィス空間の実験を開始 | 株式会社乃村工藝社 (digitalpr.jp)

毎朝 代表を含めた社員全員での車内清掃、社訓の唱和、テレビ会議による情報共有、代表や役員と新入社員でミーティングを行う。→空間だけでなく良好な人間関係が生産性に寄与する。

乃村工藝社、ニューノーマル時代のコミュニケーションを誘発するリアルオフィス空間の実験を開始 | 株式会社乃村工藝社 (digitalpr.jp)

社員をリレー形式で紹介する企画。紹介された社員は週に一度特定の椅子で仕事をするというルールが決められ、、そこでの出会いをきっかけに関連会社と新たな仕事が生まれたケースも存在。

乃村工藝社、ニューノーマル時代のコミュニケーションを誘発するリアルオフィス空間の実験を開始 | 株式会社乃村工藝社 (digitalpr.jp)

 

空間には多様な個性を受け入れるコミュニケーションの場、健康を意識できるきっかけが見つかるフードやサービスなど。

国産材の杉やヒノキを積極的に家具に活用している。木材を天然乾燥している工程をオフィス空間で実験。実験を行い体現した空間は、企業のブランド価値を発信する場所として、活用されていく。

https://digitalpr.jp/r/47051

会議を魅せるという発想。会議というコミュニケーションは、実は個性的で面白く、それが他社のインスピレーションになりうるのではないのか?という発想。リアルとオンラインのハイブリッドな会議スタイルにも対応した映像や照明設備が整った空間も用意。

空間プロデュースのプロが作る理想の仕事場とは–乃村工藝社の新オフィスを探訪 – CNET Japan

チームアドレス制を採用した執務エリア。300名のデザイナーがこのフロアに集結する。フリーアドレスにすることで300名のデザイナーが集結でき、空間の圧縮をしている。

生まれた余剰スペースは荷物用の倉庫となった。

照明は床から電源を取るタスク アンビエント照明。天井に手を加えないことで工事費用を削減しつつ、机上照度を確保。フロア全体で消費電力を50%ほど削減している。

 

 

参考文献)商店建築2021年11月号 発行所 株式会社 商店建築社

 

■事例紹介6)ライブオフィス用賀

 

東急RE デザインがクライアントにこれからの働き方を提案できる実証型オフィスショールーム。モノづくりをする企業として、クリエーティビティーが形になるライブ感を来訪者に体感してもらえる空間を目指したようです。

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

 

コロナ後の動きの中で検討したオフィスデザイン

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

ソーシャルディスタンス 可変性 抗ウィルス素材、機器の導入と、ウィズコロナに対応するデザイン。

デスクの天板に抗菌塗装

殺菌効果のある紫外線照射装置 エアロシールド

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

特殊左官で仕上げた壁面のエントランス モノづくりの臨場感を表現した。

会社のアイデンティティを伝えることが重要である。

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

執務スペース

人口密度がコントロールできるように可動式のデスク スタッキングチェア

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

 

来客用のミーティングエリア

ウェブミーティングスペースの充実

 

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

社員数は約200名

改修前は人数分の固定席が設けられていた。改修後、働き方を調査し、約115席まで減らし、「プロジェクトワーク」 「ソロワーク」「ウェブミーティング」に対応したフロア構成とした。

オフィスフロアの一角にはコミュニケーションラウンジが設けられている。

ライブオフィス用賀 | スペースパートナーズ (spacepartners.jp)

ライブラリー 書籍やメーカーのカタログ がおかれ、執務エリアから連続する設えとした。アイデアのヒントを得たり、集まってコミュニケーションができる場所となるように大きなデスクがおかれる。

 

これからの働き方は

社員自身が働く場所と時間を選択できる幅が広がる。社員側も一人一人がセルフマネジメントをする。

 

ということが重要なようです。とてもこのオフィスは時代を反映したデザインとなっており、よくまとまっていると思いました。

参考文献)商店建築 2021年4月11月 2020年4月11月 2019年4月11月 発行所 株式会社 商店建築

■まとめ

今まで記載した6つのオフィスデザインの事例から これからのオフィスデザインについて私なりにまとめていきます。

 

①働く場所に本質的に何が必要か

そこでしかない 価値 (情報化の進展によりどこでも働けるようになったため、仕事場の価値を掘り下げる)

②その企業にとって本当に大切なものは何かを考える作業 企業理念を掘り下げる

その企業の価値基準や雰囲気といったカルチャーの部分がオフィスに残るもの。

企業のカルチャーは社員ですらその場所にいかないと感じられない。場を共有することでコミュニケーションが生まれ、企業カルチャーを体験できるというオフィスの価値を認識。

対面で触発されるようなやりとり、場所や時間の共有、それによって生まれるエネルギー。

 

③なぜオフィスにカルチャーが必要なのか

企業に対する社員個人のエンゲージメント(愛着 思い入れ)を高めていく。自分の働き方、オフィスの使い方を自己裁量で決めていけるような自由な空間づくりは自己実現と社員の帰属意識を高める。

④オフィスづくりのゴールは、強い企業をつくるということ。

企業の目的や目標を実現できるオフィスづくり

「イノベーションをおこしたい  新しい技術や商品を生み出したい」(企業側の欲求)

「暮らすように快適に仕事をしていきたい」(社員側の欲求)

⑤実験的な取り組みができるワークプレイス

全く別の何かと何かを掛け合わせて別のものをつくるという作業。マインドをつくる マインドをかえるということを空間づくりで行うと、結果として共創のプラットフォームになり、イノベーションにつながる。従来の改善、生産性→ES(雇用者満足)がCS(消費者満足)につながるという考えに基づいてオフィス空間を再構築する必要性がある。オフィス面積が縮小して賃料が下がる分、人材に投資コストをかけるという発想に転換する。坪単価→ES坪単価という発想。面積当たりでどのくらいの社員の満足度や働き甲斐を生み出せているのかという数値を指標にします。オフィスの機能は 仕事場から社内外のつながりをうみだしたり、社員のクリエイティビティを高める創造の場になる。もとめられているのは共創空間であり、「一人一人にあった働き方を可能にすると劇的な生産性の向上」「よりいきいきと働ける空間」「健康的に働けるオフィス空間の実現」「ラーニングが最も重要なポイント。」(仕事における学び→セルフラーニング チームラーニング グループラーニング)それぞれの場所がどうあるべきか 出社している人と在宅勤務でバーチャル出社している人とがどうすれば互いに疎外感を感じずにどこにいても同じ環境で学べるのか

→ES エンゲージメント 働き甲斐 →毎日行きたくなるオフィス

 

⑥社内専用のアプリを使用させる。

各自 最もパフォーマンスがあがる場所で仕事をしてください。と社員の裁量に任せるが、アプリにより、誰が在宅勤務で、誰と誰がつながって仕事をしているのか どの部屋や場所が混んでいるのか 空間と人の状況がアプリで把握できる。アプリ内で社内ニュースや連絡事項も配信。そうしたことが分かる仕組みをとっている。

 

会社の価値を表現し、集中して働く場所とコミュニケーションする場、リラックスする場、学びの場などを織り交ぜ、さらには、社内アプリを使用することで仕事場の環境をより良いものにしていくことが求められているといえるでしょう。

 

 

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