前川國男邸 訪問記

東京たてもの園の中に存在する前川邸を訪れた ので、そのことに関して 記載します。

南側外観です。左右対称で、真ん中に柱がたっています。棟持柱のイメージです。

 

 

敷地の中央に建物を配置し、二分した敷地を南庭、北庭として整備している建物は、北側道路から入る北入りとし、玄関までの距離を取り、アプローチを作り上げています。

前川建築の特徴としては、どの建築物にも、建物周りを整える工事に対して、外構工事として独立した仕様書をそえて、外構工事そのものにも人格をあたえていたそうですが、この自邸でも外構周りに対する配慮がうかがえます。環境にふさわしい建物への入れ込み方。欅の木のある敷地を選び、とりつきの道路から引きをとって建物を配置し、門扉を設けず、L型の壁で視線を左右に振らせながら玄関に導く空間構成です。建物を周辺の情景から際立たせようとするのではなく、周辺の情景の中に組み込ませようとする設計手法。

北側からのアプローチ

北側からのアプローチは、北からアクセスして左右に振られてエントランスに向かうということがわかるかと思います。

アプローチの突き当りの玄関の壁の窓は訪ねてくる人のアイストップとして演出し、他とは異なるディテールとなっています。

屋根の破風のとめかたは、伊勢神宮のように棟から軒先にむけて広がる台形状で、母屋が2本ほぞで突き抜け、楔で強固にとめてあるように見えます。大きな破風板が構造的にしっかりと固定されているかのように演出しているようです。

こちらは、平側ですが、斜めにおりてくる垂木と大壁の外壁を無難なディテールで納めています。

平面図です。

アプローチ空間の伸びやかさに比べて玄関は小さめで沓脱の段差も低い。

 

清潔なタイル敷のトイレです。

書斎です。

書斎北側です。収納もしっかりと作られています。

北面の雨戸と南面の雨戸の納まりを工夫することで、南北に目線がきれいにとおり、サロンの大空間の開放性が一層演出されています。戦前の延べ床面積30坪という建築制限の下で獲得した6.3m×5.4m 天井高さ4.5mの大空間です。ここはリビングではなく、サロンと呼ばれていました。戦時下少ない材料でこの大空間をつくるには、キングポストトラスの洋小屋が採用されました。大きすぎる窓を動かすのに堅木のレールとしています。

天井まで開いた大きな窓は、鴨居で上下に切り分けてあります。下の窓には雨戸をつけてありますが、雨戸は格納できる納まりになっていて、両側いっぱいの開口部を確保しています。直射光が差し込んでまぶしすぎるときは、障子をしめればよく、鴨居の上のほうは格子の組子だけで、格子や庭のケヤキの影を白い漆喰壁がうけとめて、時を刻んでいきます。奥の深いアプローチは、道路の取り付きからこの大きな窓までつづくものとしてデザインされているようです。

階段をあがれば二階になります。

玄関前にはサロンと視線をきるように大谷石の壁がもうけられているが、食卓からの視線を考慮して、壁の下部には開口がもうけられています。食卓から、訪れる人の気配が感じられるようにしています。前川建築では、食事をしたりお茶をしたりする場所は、人々が行きかう姿がみえるところに設けます。

玄関からメインの部屋であるサロンに入るときは、中二階があるので高さは抑えられていますが、数歩も歩くと南面に大きく明るく天井の低い吹き抜け空間が現れます。

 

食事をする場所は、サロンの北側、中2階で天井高さを抑えた落ち着いたところに設置しています。訪れてくる人を木々の間からうかがい知ることができます。

食堂、台所方向を見たものです。

台所です。清潔な台所となっています。

浴室です。こちらもトイレ同様タイル貼りです。

外観の棟持ち柱の足元です。木の根元は礎石置きと解釈すればよいのでしょうか。おかれています。

 

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