木造構造設計家 山田憲明氏 講演会と 吉住工務店社屋見学

木造の構造設計者のトップランナーの一人である山田憲明氏が 丹波市に来られて 講演会をされるということで、関心のある設計士らとともに 丹波市まで行ってまいりました。 山田氏が構造設計をされた 吉住工務店の新社屋が出来上がったのでそれの見学会と講演会という内容でした。

吉住工務店は丹波市を中心に活躍する工務店で、木を主体とした建築をベースに業務をされています。

中大規模木造建築への取り組みを強化され、兵庫県産材の木材を使用して業務をされることに主眼を置かれているので、新社屋も木造建築にしたとのことです。新社屋では、柱のない大きな空間を構成するために特殊な大断面の部材ではなく、一般に流通する小さな断面の部材をくみ上げてつくることにこだわったそうです。社が保有する山の部材を利用して、社屋を作っている試みはとても面白いと思いました。

山田氏の設計の特徴としては、架構が木のアーチとなっていますが、上部上弦材が主となって、アーチが横に開くのを引っ張り、さらに上弦材下部の斜材が補助的な引張材の役割を果たして、アーチ構造を構成しているとのことでした。

また、丹波の山でとれる一般流通材を利用できる構造をしており、特殊技術ではなく、一般的な職人仕事で架構を構成できる設計にしてありました。二階の床部分の見えないところは大断面集成材を用いているとのことです。500m2を超える建物のため、許容応力度設計のルート1を使用しているとのことです。

材種は、基本的には杉材を用い、床材は檜を用いたとのことです。

講演会が行われた会議室です。柱のない空間を成立しています。

F-CONといって、室外機で作った冷温水をパネルに循環させてパネルの温度を調節し、ふく射の原理で室内の温度をコントロール空調機械を利用していました。

講演会が始まりました。話は、NPO法人サウンドウッズ 安田氏の講演と 山田憲明氏の講演でした。

安田氏の話としては、1959年に建築防災の観点から木造建築が禁止され、昭和から令和にかけてあまり発展しなかったが、ここ10年からこれから木の建築の新たなステージに移るために、木材に関わるネットワークづくりをされているということでした。安田氏は、いわゆる木の建築のプロデューサー的な立場で、木に携わっておられます。森は、適切に木を間引いてあげないと、木が充満しすぎてよくないようです。

さて、本題の山田氏の講演会の話の内容です。

山田氏の話は、主に 今までされた仕事とその時考えていた構造的な建築の話でした。

いくつか設計された建築の話を記載します。

この大会議室のような 柱間10mの空間の架構をどのようにして形成するのかがポイントのようです。

この場合は、T字の材をうまく重ね合わせる架構としていました。

施工中の写真です。

上部がT字を重ね合わせた架構により無柱空間を実現していました。

こちらはスパン10.92mを支える架構の山田氏のスケッチです。

 

一般的なトラス構造で大空間を形成すると、内部空間が低い空間となりますが、図のような架構をもちいると内部空間が高く形成することができます。

 

実際に実現した架構の写真です。

地域の木材を利用して建物を作るには、構造設計者を中心に 工務店や材木屋さん 山林の所有者 行政、施主など様々なネットワークが必要です。その山からとれる材から構造部材サイズを決定して、小さい木材で大空間、耐震性を実現する構造技術を開発し、実践していく必要性があるとのことでした。

これもアーチ構造で大空間を形成されています。

 

アーチ構造の実現した写真です。

こちらも アーチ構造で大空間が形成でき、また味わいのある空間ができあがっています。

その後、安田氏と談笑させて頂きましたが、工事費の話になり、坪単価100万ぐらいで、建設される状況だそうです。鉄骨で作るよりも少し高いくらいで作るとの話でした。その土地の素材を使って、建築をつくっていくことがとても大切だといわれている昨今ですが、その土地の材料で作られる建築というのも重要ですが、もっとも重要なのは、その建築をつくる地元の人が関わって、地元の人たちで建築がつくられ、ネットワークが広がることだと安田氏は仰っておられ、とても面白く拝聴いたしました。

個人的には、その土地でとれる木材のサイズや強度を検証して、地元の大工さんでも作成できる大空間の架構を設計し、実際に実現して、それが味わいのある空間につながっているという山田氏の仕事にとても感銘した次第でした。

 

 

 

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