古民家再生 神戸市 明治期建造の古民家 耐震構造補強 (小屋組み トラス構造)
明治期建造の古民家の再生がほぼ竣工してきております。
■古民家再生概要
外観は、以前の状況を踏襲しながら 再生することが望まれましたので、屋根の葺き替えと 外壁部分の補修、窓等建具をやりかえました。
南面 東側の外観です。家屋の規模がとても大きいため 写真に納まりません。
二階からみた門 塀 等の 屋根の状況です。
キッチンの状況です。
調理をしながら 北側の庭が見えるよう 北側に大きな窓を計画しました。
キッチンは奥様が とてもこだわりを持っておられたため、L型 I型 アイランド型等様々な プランを検討しましたが
予算と使い勝手のバランスをみて、最終的には I型にて計画を行いました。
キッチンの洗い物等がみえないようにしたいとの話から今回はキッチン手前に壁をたてています。
フード横に壁をたてているのは、メーカー指定です。
収納もたっぷりのキッチンとなっています。
暮らすことは食べることだと考えています。キッチンとダイニングの計画はとても重要な位置を占めると思います。
家族で食事をする空間が良いものであれば、快適で楽しく暮らせる家になるのではないかと考えています。
牛梁を 意匠的な意味も含め 設置しました。
この建物は 近代和風建築といって、大きな開口部から 南側をしっかりと眺めれるプランとなっているのが特徴の建物です。大きな窓が存在していますが、この部分に柱が存在していません。
しかしながら、二階の荷重がしっかりとのってくるため、しっかりとした構造計画をたてなければなりません。
見えない部分で、うまく二階の荷重をきちんと支えることのできる構造計画をしております。
具体的には、奥の壁をしっかりとした耐震壁として、二階の荷重がバランスよく一階の壁に流れる計画としています。
内観です。柱が 縁側庭方向に存在していないことがわかるかと思います。
庭と家が 一体的な空間になるのでとても居心地の良い 日本の家の縁側になります。
開口部上部に欄間が存在しています。天井高さが高く 通風環境がよい家が計画されています。
二階も同様に欄間を存在させています。
縁側北側の柱は 追加で添え柱を敷設しました。明治期建造ですのでさすがにゆがんでおり、柱を補強してゆがみを矯正しています。
二階は寝室となっています。クライアントが室内のクロスの柄を好みに合わせて 部屋ごとに変えています。
二階に存在していた床の間と書院もそのまま残す形で 現代的に住めるようにしています。
一階入り口玄関付近の電話室です。そのまま残しました。朝ドラに出てきそうな部屋ですね。
■工事中の状況
配筋検査をしています。D13を150mmピッチで。
しっかりとした基礎を作るために鉄筋を密にいれています。
型枠をきづき、コンクリートを打設します。浴室等の室です。
上部構造体ができあがってまいりました。とても良い大工さんたちで 良い仕事をしてくれています。
構造体の接合部には、全て、ミドルコーナーという耐力の高い金物を使用しています。
軒のできあがりがきれいです。
台所と食堂になる部分ですが、上部構造体の写真です。赤丸部分が、支点となり、軒をささえる桔木という手法を使用していました。深くせり出した軒を支えるためですが、通常寺では使いますが、住宅で桔木は使用しません。とても高級な住宅であることがこれからもわかります。
明治の時代にうたれた基礎の状態ですが、とても良好です。その他、柱をささえる独立基礎は、レンガとコンクリートを複合させて作成されていました。
構造体としてかなりしっかりしています。梁は松のようです。
梁も幾重にも使用されていることがわかります。
外観も軒裏に梁がせりだした意匠です。とても興味深い意匠をしています。
屋根をやりかえます。瓦をやりかえるのですが、土がとても多く存在するため、上階でまとめて、クレーンで下にもっていきます。屋根のやり替えにも気合がいります。
■木造トラス 建築年代が明治期の古民家再生
明治期の古民家の再生を行っています。
二階を改修しています。
近代和風建築で、開放的な空間なのですが、小屋組みの重量に対して、壁の量が少ない、柱もすくないときており、壁を適切に設け、金物で全体を補強していきます。
梁が4間とんでいます。 この小屋組みの架構をどのように組むのかですが、トラスが使われていました。
火打がはいっています。
二階にも桔木が使われていました。桔木の原理がよくわかる写真です。
桁部分の継ぎ手です。ボルトで結合しているのがわかります。この建物はかなり、金物を使用しています。
トラス構造となっています。接合部にしっかりと金物が存在していました。
トラスの接合部分です。
動きがでないようにトラスの柱の足元は、材で挟んで ボルトで緊結していました。
桁方向のトラスの架構です。桁方向も トラスの斜材が ある間隔ごとに入っています。
ボルトと金物でしっかりと緊結されています。
トラスの斜材と梁の結節点は、噛み合いが良くなるように加工してありました。梁は桁の上にのせて、トラスの斜め材も載せて、その上からさらに桁材をのせて、サンドイッチする手法のようです。
母屋と斜め材はかすがいにて緊結します。
トラスと桁も かすがいにて緊結してありました。小屋組み部分は、木材のひび等ほとんど存在しなかったために、軽い補修で対応するのみです。
棟札がでてきました。明治42年 棟梁 北村永次郎 建築技手 深沢平甫 という人です。
誰かご存じの方おられましたら ご連絡頂けますと幸いです。明治42年にトラスの技術を、関西にて使用したとなると、関東方面からこられた技師なのかもしれません。
棟梁もかなりの人物かと思われます。