耐震リフォームのメリットについて
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耐震リフォームのメリット
耐震リフォームは、残念ながら、確実に地震の被害が減らせるわけではありません。しかし、以下のようなメリットがあります。
住人の安全確保
地震による建物へのダメージは、耐震基準をクリアしていたとしても、確実に防げるものではないのです。当然、耐震リフォームにより建物は地震に強くなります。建物に被害が出た場合でも、修復しやすいはずです。
ただ、耐震リフォームが本当に目指すところは、そこに住む人の安全です。耐震リフォームをおこなうことで地震の際に建物が倒壊を免れれば、住む人は安全に避難できます。これが耐震リフォームをおこなう、もっとも大きなメリットです。
寝室だけでも、強度を高めておけば、寝ている時に地震がおきても安心です。その他、耐力壁の強度を強くした逃げ込める部屋をつくっておくのも良いかと思います。
補助制度がある
旧耐震基準で建てられている建物については、木造住宅に限り、耐震のためのリフォームや診断にかかるお金の一部を自治体が補助してくれる制度があります。そのほかに、減税制度も利用可能な場合があるので、お住まいの自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。高橋建築事務所にお問い合わせ頂きましても ご丁寧に対応させて頂きます。神戸市では、計画に27万円、工事に100万円の補助があります。
資産価値の向上
住宅でもオフィスビルでも同様ですが、現在の耐震基準に適合していない物件では、「どうしてもそこに入居したい」という人を見つけることは、まず不可能でしょう。メンテナンスがほとんどされていない物件の資産価値が下がるように、現在の耐震基準に適合していない物件は、その資産価値が下がっていきます。耐震診断を依頼し、耐震リフォームをおこなうことで、人々が安心して住める建物になれば、資産価値を保つことができるでしょう。
特に商業地の中心の鉄筋コンクリート造の建物で強度が弱いものは、補強をしてあげて、安心なものにする必要があると思います。不特定多数の人が使うオフィスや店舗は、住宅以上に建物の強度と安全性が求められます。
RC 鉄筋コンクリート造 3階建て(地下1階)店舗 耐震工事 (大阪市)(工事状況を中心に) | 高橋建築事務所
心斎橋で行った補強の実例です。建て替えるよりも、安価ですみますし、以前と建築基準法等が変わり、床面積も大きく減ることが予想されるものでした。
お金はかかるが、地震で倒壊したらそんなものでは済まない
補助金などの制度を利用できるとはいえ、やはり耐震リフォームをおこなうとなると、ある程度、まとまったお金がかかります。お金がかかるからといってリフォームせずに放置してしまう人もおりますが、もしもこの状態で地震が襲ってきたらたいへんなことになります。耐震補強をおこなっておけば軽いダメージで済んだのに、それを怠ったために、大きな被害となり、結局は耐震リフォームの倍以上のお金を払う羽目になる可能性もあります。耐震リフォームは、そこに住む人のためにおこなうものなので、古い建物を所有されている場合は、まずは耐震診断を依頼して、建物の状態をしっかり把握しましょう。
耐震工事や耐震リフォーム、そのほかのメリット
耐震工事や耐震リフォームをおこなうメリットはまだあります。工事やリフォーム前に耐震診断により、建物の強度が数字で見えるようになります。これにより、補強すべき場所がわかることは、オーナー様としては大きなメリットでしょう。
耐震補強工事・耐震リフォームの基本
耐震工事や耐震リフォームをおこなうメリットについてご紹介しました。ここからは、少し詳しく、耐震補強工事や耐震リフォームをおこなう際に基本となる考え方についてご紹介していきます。
評点
評点は、構造の診断やリフォームをおこなう際に、建物自体が現在持っている強さ(保有耐力)と、大きな地震が襲ってきたときに倒壊を免れるために必要とされる強さ(必要耐力)により求められます。計算式は「保有耐力÷必要耐力」です。
上部構造評点は、建物の各階上部の評点であり、この値により耐震性の評価が可能です。評点は、X、Y方向、それぞれ計算し、低いほうを評点の値として採用します。
この値が0.7に満たない建物は、倒壊の可能性が非常に高く、補強の必要性も非常に高いといえます。
この値が0.7以上1未満に該当する建物は、倒壊の心配がある建物なので、補強工事をおこないましょう。
上部構造評点の値が1以上の建物は、倒壊の可能性が低いといえます。しかし、値が1.5未満の場合は、万全を期すのであれば、補強工事を検討したほうがよいでしょう。
耐震等級3が評点1.5以上となり、等級2が 1.25以上 等級1が 1.0以上となります。
1.4以下の建物が、熊本地震で200棟程倒壊したのを受けて、国が等級3を推奨しています。
耐震工事の進め方
耐震リフォームは、すべてを改修できれば言うことなしなのですが、現実的にはそうかんたんではありません。ただし、以下のような部位は、リフォームをおこなうのであればいい機会なので、ぜひとも改修しておきたいところです。
※主に木造住宅について(一部鉄筋コンクリート造の話)のお話になります。
・壁
壁の補強は、筋交いや構造用の壁材を追加で取り付けることによりおこないます。既存の壁を補強する場合もありますし、これまで壁がなかった場所に壁を取り付けるケースもあります。木造の場合は 壁に構造用合板を貼り、釘を正確な間隔で数多くうち、釘の引き抜き耐力で構造強度を高める方法が最も効果的です。
・接合部の金具
建物の柱や梁は金具で接合されています。この箇所が基礎部分としっかり接合されていないと、構造そのものの強さに影響してしまうので、優先すべき箇所です。
・基礎
基礎は、建物の土台ですから、ここが弱いといくら建物の上部が強くても崩れやすい家になってしまいます。コンクリートで基礎を補強するなどして対処しましょう。
・建物の軽量化
建物自体が重いと、地震の揺れにより負荷がかかりやすくなります。こうなると建物が崩壊しやすくなるので、屋根材を軽いものに交換すると、揺れを抑えられます。瓦から金属屋根もしくは、重い瓦から軽量瓦へ。
・構造の傷みを修復
建物の構造となる部材が傷んでしまうと、揺れに対する強度が下がってしまいます。外壁のひび割れ、屋根からの雨漏りなどの傷みは、直接構造にダメージが加わる可能性が高いので注意が必要です。しかし、補修するだけでは根本的な問題解決にはならないため、リフォームをおこなう際は、優先的に作業をおこなったほうがよいでしょう。
耐震工事や耐震リフォームを目的とする場合は、耐震診断を無料でおこなっている業者もあります。お住まいの建物の耐震性に不安をお感じの方は、まずは高橋建築事務所までご連絡ください。