伯爵の館 煉瓦造基礎の洋館建築 リノベ費用と購入アドバイス
神戸市中央区中尾町にて、素敵な 洋館建築物があるので、購入を検討していますので、リノベーションをする際の注意点やかかる費用などを現地立会いの下、色々と教えて頂きたいとサイトより 問い合わせがありまして、付き添わせて頂きました。
昭和初期には 伯爵がお住まいだったと聞いています。
木造2階建てで、屋根裏部分があり、実質は3階建てです。南側外観。
西側部分です。屋根裏部分に小窓が設けられています。
外壁は下見板張りとなっています。屋根材はスレート葺きです。
北側外観です。
内観です。室内は、装飾が豊かでした。
床は、傾いていました。沈下が起きていると思われます。
床材が手の込んだ職人の仕事となっており、現在の住宅ではこのような床をつくることはとても費用がかかり、職人さんの確保も難しいです。
ドアなど 塗装はだいぶ落ちていました。
外観写真で屋根裏としていたところです。居室として十分使えるものでした。
屋根裏部屋です。
屋根裏部屋です。
1階の床下の状況です。煉瓦の上に存在していました。土台と煉瓦はとめつけもないため、鉛直荷重が煉瓦基礎に伝わっているだけになります。
煉瓦基礎です。
現在の基礎とは違い、大正から昭和初期の洋館建築の基礎は 煉瓦でつくられているところが多く、このような状態になっています。耐震の対策で、基礎に十分検討を重ねる必要があります。
中尾町邸宅 購入にあたっての質問と回答事項
- まずは基礎と耐震を契約として、併せて調査を実施し、そのほかの工事をそれ以降に別契約するなどいかがでしょうか。
→構造補強の点で まずはご契約で問題ございません。一般的な設計事務所の設計料は、工事金の10%程度ですが、構造計算費用としては、100m2戸建てで50万程度ですので、今回200m2あり、80万程度の構造設計費用になるかと思います。ただし、構造設計は、建物の間取りやプランニングを考慮しながらの同時設計となりますので、一般的には、すべての工事を包括とした設計契約となる場合が多いです。これに関しては、応相談という形になるかと思います。一部耐震の計画補助を使うと27万ほどご負担が軽くなります。
- 古い洋建物のオリジナルな様式をなるべく残したいと思っています。 補強や、断熱、基本機能の更新以外で、実現させたいことは、 生活空間(1,2階の広い部屋と、廊下)で 既存の床板を保存し、天井、壁の漆喰を既存に近い形での再築としたいです。 装飾はなるべく既存を保存できないでしょうか。
→床に関しても施工サイドとかなり検証する必要がありますが、それなりに残す方法は模索できるかと思われます。漆喰壁の復元に関しては、左官屋さんと相応の打ち合わせが必要になり、装飾は、どう構造体を補強するかで取り去る必要の有無を検討するということになります。
- 基礎 既存基礎の補強、耐震 内容はご検討お願いいたします。
煉瓦のため、基礎は大きく補強する必要があります。全体的にべた基礎を打設、建物が地面上に浮いている状況を作り、暗渠と絶縁した状況とする必要があります。地盤調査も4万程度で一度されることをお勧めします。その他、現在の煉瓦基礎の部分に横に鉄筋コンクリート基礎の立上りを設ける必要があります。これに関しては、図面を作成して、実際に施工サイドと 見積調整をしっかりと行う必要があります。
- ゆがみ、傾き修正 床傾斜の調整 内容はご検討お願いいたします。
ジャッキアップしてなおるところは、それで調整しますが、その他は、大引きの上にパッキンをいれたりしながら、根太を水平に組み立て、既存の床を再利用して改修する方法があります。
- 基礎と軸組の補強がそれなりに費用が必要かと思います。
→2階建100m2の耐震補強で160万から200万ぐらいかかりますが、今回200m2ですので300万近くはかかると予想できますが、しっかりと調査しなければわかりません。+基礎で300万(調査しないとわかりません)は必要かと思います。
- 耐震補強 柱などの金物補強 内容はご検討お願いいたします。
→構造計算等の診断を行い、壁のバランスを考慮の上、水平剛性と鉛直剛性をしっかりと考えて補強する必要があります。二階の床もできれば、全体的に補強して強くするのが理想ですが、壁の配置がそれなりにバランスが良い場合は、火打ち程度の補強でよいかと思います。1階の床に関しては火打ち程度の補強である程度対応できるかと思います。
- 天井、床下の断熱 断熱材の吹き付けとなるでしょうか。→断熱は、1階床に関しては、べた基礎の下に断熱材をいれることでそれなりに緩和できるものと思います。断熱の精度は、吹付がベストです。
壁の断熱 壁芯に断熱材を挿入できるでしょうか。 →できると思われます。
- 外壁スキマの修復 屋内配線のリライン 難しい箇所は壁配線。
→配線に関しては、床下か天井、壁にて対応できるかと思います。
- 木摺り漆喰壁の剥がれ、割れの修復。 漆喰を再築しない部分の、壁紙の施設。 南側増築部分は撤去して壁を再築といたしたい。 →壁に関しては大壁で対応すれば費用は抑えれるかと思いますが、現状を復旧するとなるとかなり検証が必要かと思います。
- 一階部分にはできればパティオ、またはコンサバト リー様の、柱と窓の軽量建築を建築いたしたい。 あるいは、増築二階のみ撤去して、重量を軽減し、 既存基礎と一階のスケルトンをそのまま流用も可能 でしょうか。 破壊している窓の更新 割れたガラスの更新 アルミサッシに更新されている窓の更新 古い木製窓の2重窓化 9 駐車場 建物北側に増築 鉄骨、エキスパンド 屋根の再塗装 外壁の再塗装 雨どいの補修 11 内装 巾木、ドア枠などの再塗装
→これに関しては、解体費用含め かなりしっかりした検証が必要です。塗装はそれほど費用は掛からないとは思いますが、屋根外壁を大きくやり替える場合は、足場が必要となり、費用はかさみます。見積にあがる項目は大まかにこういったことになると思います。解体工事 1式 ~→上記を全て満たすのであれば相当量かかります。
仮設工事 1 式 ― 2 基礎工事 1 式 ―3 躯体補強工事 1 式― 4 内装木工事(扉根太内装壁等) 1 式 2~― 電気工事 1 式 ― 給排水等設備工事 1 式 ―7 塗装工事 1 式 ―8 サッシ工事 1 式 ―9左官工事 1 式 ― 10 内装工事(床材壁クロス貼り等) 1 式 ― 11 外装工事 1 式 ―12 諸経費 (現場管理費)1 式 ― 消費税
設計料
これの増減は、やはり設計図に応じて細かく作らないことにはわかりません。一般的には 増改築工事の坪単価は、このクラスとなると 坪50万ぐらいはかかりそうですので、100m2という面積に絞って、30坪で 1500万に消費税 と設計料金で 2000万ぐらいでいけないことはないようにも思いますが、それは、かなり面積を絞って考えられた場合です。付帯工事を含めると切り詰めても、2500万ぐらいはかかる可能性があります。補助金をうまく活用されるのも手法としてはよいかと思われます。
結局、家屋の下に水路が存在し、暗渠の上に家屋が存在していることがわかったため、依頼人は 購入を断念されましたが、
建築物としては、とても魅力的なものでした。移築してみたいと思わせる建築でした。