木造3階建ての新築設計(許容応力度計算による構造計算)
木造三階建ての構造計算を 許容応力度計算にて解き、状況を記載して、木造建築物に対する理解を深めることを目的とします。構造計算ソフトは 構造EXを用いています。
この建築物は、かなり筋交いを用いており、構造体として、筋交いが重要な役割を果たしています。
基礎伏図です。構造計算を行う前のイメージです。
1階床伏図と2階床伏図です。
3階床伏図と小屋伏図です。小屋伏図は火打ちを記載しています。
屋根伏図です。雲筋交いは構造計算にはカウントされません。
許容応力度計算を行います。
構造体の様子です。
まずは壁量計算の結果で壁の量がこの構造体に足りているかの検証です。
一階部分は風荷重、地震力と共にかなりかかるのがわかります。
すべてOKがでています。
これは、重心と剛心の位置を示しています。これにより、壁の配置バランスを検証しています。
3階がバルコニーがあり、壁の配置に偏りがありますが、外周部壁と間仕切り壁の耐力により偏心率を消化しています。三階が少し二階よりも 点どうしが離れている(偏心率が大きい)のがわかると思います。さて、ここまでは、壁の量の計算とその配置バランスですが、ここからが許容応力度計算の消化する項目となります。
確認事項
・鉛直構面
・水平構面
・横架材接合部
・柱頭柱脚接合部
・横架材の(曲げ たわみ せん断)
・柱の座屈
・耐風梁(面外風圧力)
確認する大まかな項目としては上記となります。入力して計算していきますと、最初はNG項目がでてきますが、それを確認しながら、一つずつ潰していくとNGが解消されて、計算が仕上がります。基本的には、接合部金物や梁せい等は 自動計算の結果を採用することになります。
・鉛直構面
緑色の部分は 青色の部分に対して少し弱いところであると考えて下さい。
西側からみた鉛直構面です。
南側から見た鉛直構面の図です。
東側から見た鉛直構面です。多くの筋交いでこの構造体を構成していることがわかるかと思います。
各階の鉛直構面(壁)は同一位置であることが望ましいですが、全てがそうはならないため、どのような力の流れになっているのかをみます。
・水平構面
青色の所は白色の所に対して少し弱いところであると考えて下さい。
東側からみた水平構面
小屋部分は 火打だけの水平構面であるため、弱いです。
北側から見た水平構面
二階と三階の床は、根太レスの剛床となっており、強い床であると認識されます。
・横架材接合部
横架材の接合の状況です。白色であるため、全く問題ない状況です。
・柱頭柱脚接合部
南側から見た図です。黄色の所が少し弱いですが、NGにはなっていません。
北側からみた図です。
・横架材の曲げ
二階と三階の床で黄色い部分がでており、曲げが強くなっています。
曲げの黄色い部分と 必要梁せいが赤い分が重なります。その部分は梁せいが大きくなります。1階は車庫の上部梁(下に耐力壁がない)三階はバルコニー周辺ぶです。梁せいが400mmほどになります。
・横架材のたわみ
たわみに関しては、屋根を支える母屋部分で黄色が出ていますが、基本的には問題ない状況です。
・横架材のせん断
横架材のせん断は、車庫の梁が、黄色が生じて弱いですが、下に耐力壁がないため致し方ないかと思います。
NGは生じていません。
・柱の座屈
一階の一番北側の真ん中の柱が緑色になっています。大きく荷重がかかるところではありますが、問題はないです。
・耐風梁
風荷重に関して、一階の階段部分は水平構面がないため、大きく風をうけ、梁が踏ん張る力がないようです。こちらは、NGが生じていたため、材種と梁せいを検証しなおしています。
その他以下の項目も確認が必要になってきます。
・地盤と基礎の形式
・接地圧
・基礎梁(曲げ せん断)
・人通口開口部
・底盤(曲げ)
・屋根ふき材の検定
・土台と梁のめり込み
・土台アンカーボルト
以上
木造三階建ての許容応力度計算の概要を示しました。
木造3階建て住宅を設計する際、設計者が、構造も意匠と同時に考えることができれば、建て主に
迅速に プラン等の変更の対応ができるようになります。
その他、当社までご連絡ください。