木造建築物の構造の基本的な考え方

地震に強い建物(木造建築物)を作るために必要な基本的な考え方を記載していきたいと思います。

これは、改修でも、新築でも適用できます。

■軸組の計画

地震に強い建物を作るためにはしっかりとした軸組を計画する必要があります。

軸組とは柱と梁や土台をつないだもので、建物を支える最も基本的な構造体となります。

重力方向にかかる荷重を鉛直荷重といい、その荷重を支える役割が柱にはあります。

柱の一般的な断面寸法は、105mm 120mm 90mmです。

柱の位置は、1,2階ともに揃っているのが原則となります。

水平に使う部材を横架材といいます。横架材も、1階は土台、2階以上は梁といいます。

梁の役割は屋根や床から伝わってきた鉛直荷重を柱へ伝達することです。

 

 

あまりよく考えられていない軸組の例です。

間取りから考えていくと全体的な架構計画がよくない状況になる可能性があります。

通し柱は通せるところにだけもうけ、梁はスパンごとに必要最小限の寸法で切っていく軸組です。

このような住宅が現在でも多くたてられているのが現状です。このやり方では、接合部の箇所が増えるため、施工手間がかかり、コストもかかりますし、構造的にも美しくありません。

 

 

よく考えられた設計は 通し柱が規則的に配置され、柱となる軸組がしっかりと組めるようになっています。

田の字型プランといわれ、日本の民家で、多く用いられてきたプランでもあります。

通し柱に梁を差し込む柱通しタイプの軸組です。一般的に梁材は4メートルの長さで製材されますので、通し柱は、2間間隔で配置すると経済的です。また、梁の天端が揃うため、床の水平剛性を高められるという長所もあります。梁の差し口が強度的に弱くなるという点には注意が必要です。

通し柱を設けないで、長い梁を通す梁通しタイプの軸組もあります。これは、柱が全て管柱になります。梁は柱が多く並ぶ通りに下梁を通し、その上に直交する梁をかみ合わせて載せます。これは仕口の形状や建て方が比較的簡単になるのが長所です。ただし、梁に段差ができるために床組の水平剛性が低くなる傾向にあります。

 

 

このように倒壊する建物に対しては、架構を単純化して、梁を支える柱を入れるもしくは

 

梁せいの大きな梁に変えるかのどちらかです。

梁に関しては、重ね梁であると、同じサイズの単材と比べて強さは半分しかないです。たわみは1/4という強度しかないです。梁のせいが足りない場合に 単純に 足りない分だけ梁を重ねればよいという解釈にはなりません。

 

以上軸組をみましたが、どれをとるにしろ、荷重の流れをよく考え、入手できる木材の寸法に配慮しながら、軸組とプランを同時に検証していくのが、設計上重要なことです。

■接合部の計画

これは、木造の接合部でして、同一方向につなぎ合わせるものを継ぎ手、異方向につなぎ合わせるものを仕口といいます。仕口がしっかりとつながっていないと通し柱から梁が抜けたり、梁から管柱が抜けたりすることになります。これを防ぐためには、接合金物というものを使用します。

羽子板ボルトやコーナー金物等の接合金物を使用して、柱と梁が離れないようにします。特に通し柱は仕口の折れに注意する必要があります。梁が差し込まれると柱の欠損は大きくなります。金物でつないでおけば、横力がきても、柱が折れて梁が抜け落ちる危険はなくなります。

梁どうしをつなぐ場合は、梁のめり込みに注意する必要があります。小梁が鉛直荷重をうけると、大梁に小梁がめりこんで仕口の下側がつぶれやすくなります。これを防ぐには、最初からめり込みでつぶれる範囲を予測して、受け梁の残り寸法が確保できるように、受け梁の断面寸法を多くしておく必要があります。

小梁の断面が大梁にすっぽりと納まる仕口を大入れといいます。通常15mmくらいの深さで入れますが、梁が乾燥したりたわんだりすると、地震力がかかった後に、小梁が抜け出してしまますこともあります。

その為にも金物による接合は有効です。

木材は繊維と直角方向の強度が弱いです。土台に対して柱がめり込むことがあります。

解決策としては、土台をめり込みにくい樹種にするか、柱を太くして土台との接触面積を大きくするか、柱を基礎へ直接載せるといった配慮が必要です。

 

また強い壁であるほど、大きな力をうけることになるため、接合部の補強が重要です。

ホールダウン金物

金物の使い方○と× 横浜市 (yokohama.lg.jp)

M16のアンカーボルトを打ち、25KNや30KNほどの、ホールダウン金物という高い強度の出る金物を柱頭 柱脚に用いることになります。

このようにM16やM12のアンカーボルトを土台に連結する必要があります。

■片持ち梁

はねだした梁を片持ち梁といいます。支点をかなりしっかり固定しないと片持ちにはなりません。

受金物を取り付けたり方杖で支えるなどの対処が必要になります。

■木材の乾燥

木には、風通しの良い場所で6か月ぐらい寝かせる

天然乾燥と機械を使って温度や湿度を調整して、1週間から1か月程度で乾かす人工乾燥があります。

人工乾燥だと表面の割れはでにくいですが、状況次第で、内部に割れが生じることもあります。そうなると接合部強度に影響が出ます。また、高温で乾かすため、木材の脂分がぬけて、天然乾燥にくらべて色つやが悪くなりがちです。使う場所により天然乾燥か人工乾燥かと検証する必要もあります。

■鉛直構面の計画(耐力壁)

 

さて、耐力壁の話です。耐力壁には、筋交いのように線で抵抗する軸力抵抗型と軸組にパネルを貼って面で抵抗するせん断抵抗型があります。

筋交いは たすき掛け、もしくは、片掛けにより水平力に抵抗します。

図のように、筋交い中間部で座屈する可能性があります。

梁の突き上げに関しては、仕口を金物でつなぎ、筋交いを間柱に釘止めして固定すれば、座屈が心配される筋交いの長さを半分にできます。

構造用合板や石膏ボードなどの面材を釘で留めたものを面材耐力壁と言います。

こちらも座屈する恐れは十分にありますが、釘の種類や打ち込む間隔を面材の仕様にあわせることで 防ぐことができます。

基本的には、この壁の量を計算して、地震力と比較して、地震が起きたときの力よりも耐力壁の力の大きさのほうが大きければ 問題ないという評価になります。これが、評点 1.0以上であるという解釈につながります。

各階の耐力壁が負担する荷重の図です。

耐力壁は、必要量を確保するだけでなく、どのような荷重に抵抗しているのかを考えて、適切に配置する必要があります。

 

■耐風設計

また風荷重に対する検証も必要です。これはこれで計算が必要になります。

 

■水平構面

耐力壁と同様に 床に伝わった水平力を下の階の耐力壁に伝えるためには床の硬さも重要です。

耐力壁とおなじように、床もつくりかたによって剛性が異なります。現在、床の作り方には2つあり、根太を入れる方法と根太を入れない方法です。根太とは、梁の上に並べる小さな断面の横架材で、その上に床板を釘止めして床をつくります。床梁+根太+床板で構成された床組は根太床とよばれます。

床梁を欠き込んで根太を落とし込む 床の作り方です。根太のころびがなく、梁に床板を直接釘打ちできるため水平剛性は高いです。

 

 

床梁 根太共に少し欠きこんで 根太を渡す半欠きという床の作り方です。

 

根太を床梁の上にそのままのせるだけの転ばし という作り方です。

根太が転ぶことが多いため、最近は根太レス のほうが主流になりつつありますが、昭和の木造建築は

このやり方で大半が作られていました。転ばしは水平剛性が低いので、根太の間に埋木をしたり、面子板などで隙間を埋める改修がされます。

このように耐力壁の間隔が長くなれば、床の水平剛性は高めなければならないです。

 

耐力壁の間隔が短ければ、水平剛性は それほど高くなくても大丈夫となります。

柔らかい床でも変形は小さいです。床倍率を確認しながら 計算を行う必要があります。

屋根も勾配はついていますが、床と同じ 水平構面と考えます。二階の耐力壁は、屋根の揺れを防ぐために入れるという意味合いが大きいです。さらには小屋組みのなかに 耐力壁をいれたり、雲筋交いをいれたりします。屋根が床と異なるのは、勾配を持つ ということぐらいだと認識してください。また、屋根を支える垂木と屋根板を金物でしっかりと結節することも、台風で屋根が飛ばないように 重要なこととなります。

以上

木造の構造は、軸組 鉛直構面(耐力壁) 水平構面(床 屋根)の3大要素が密接にかかわり 成立しています。 建物の形や力の流れを考えて、バランスをみて 構造設計することが重要です。鉄筋コンクリートや鉄骨と異なるのは、床、屋根と耐力壁との連続性を考える必要があるとの認識してください。

 

 

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