木造住宅の耐震診断と補強の指針 令和4年度 実際の木造住宅の倒壊の仕方
■木造建築物の 耐震診断と構造補強の指針
1995年阪神淡路大震災により、木造建築物が多く倒壊したため、従来あまり検討されなかった木造建築物の構造計算と補強方法が本格的に日本国にて検討され始めました。
・地震時の実際の家屋の倒壊の仕方
Eディフェンスという国の防災研究所で行われた 耐震実験です。実際に阪神大震災でおこった鷹取波により平成12年以降に作られた木造建築物(左)とそれ以前の木造建築物(左)とを比較して、建物がどのように壊れるのかを検証しています。
・倒壊検証後の補強方針として判明したこと
右部分を検証しますと、まず、下屋が倒壊して、そのあと1階の柱が傾き、2階重量を支えきれなくなり倒壊に至ることがわかりました。下屋をしっかりと作ること、二階重量を支えるために、一階部分の壁と柱をしっかりとつくることが重要です。
■補強の方針
さて、補強壁の設置方針です。以下を考慮して補強壁を設置します。
・耐力壁の種類はできるだけ集約。→あまり数値的に異なる耐力壁を多く配置することは好まれません。
・複雑な補強はなるべく行わない。
・2階を支える部分に耐力壁を設ける。
上の図は1階平面図に二階が載っている部分を赤く書いています。
建物の変形を小さくするためには、できるだけ二階を支える直下に壁等で補強を行うことが重要だと考えられています。
・バランスよく補強する
部屋の四隅の壁をバランスよく補強しています。
・耐力要素のない部分を補強すると効果的
・1つの壁に大きな耐力を負担させない
木造建築は床が柔らかいため、一つの壁に大きな耐力を負担させるのは危険です。
・新設する耐力壁では、最大限の効果を狙う。
・南側は開口が多く、耐力壁が少ない
→南側は開放的な空間とするために、窓等の開口部が多いつくりとなっている場合が多いです。
・実は北側も耐力壁が少ない。
浴室 洗面所 トイレ等 窓が多く存在し 注意が必要です。
・基礎の補強注意点
下屋部分は耐力壁補強に合わせて水平構面補強を行う。基礎補強する場合は、耐力壁端部から両側に910mm延ばして施工する。
基礎は 既存基礎が無筋コンクリートであった場合には、アンカーを既存基礎に打設し、増し打ちして鉄筋コンクリートの基礎を作ります。
以上
耐震診断と補強の注意点を記載しました。