「事例紹介」「神戸市でRC造住宅を耐震リノベーション|税制優遇と施工工程を徹底解説」
■竣工写真
築古RC住宅の耐震補強を検討中の方へ 税制の優遇措置と施工工程を解説していきます。













■リノベーション概要
神戸内にて 鉄筋コンクリート造の 耐震改修工事をおこないました。
耐震改修工事を行い、耐震適合証明書を建築士事務所の建築士が発行すれば、その建物の所有者は、改修工事に要したローンの年末ローン残高の1%が所得税から控除されます。例えば、3000万円を借り入れした場合は、1年目30万円控除され、それが10年間続きます。税制面の控除とともに、建物の安全性も確保できるお得な制度となっておりますので、昭和56年度以前に建築された住宅を購入された場合は、ぜひ一度、当方の事務所までお問い合わせください。(2021年度時点)
2022年に改正があり、
新築の住宅ローン減税の変更点
これまで → これから(2022年度以降)
控除率 1% → 0.7%(縮小)
減税期間 10年 → 13年(拡大)と変更になっています。
■費用
| 延べ床面積 | 約300m2 |
|---|---|
| 計画策定費+設計料 | 400万円 |
| 耐震工事費 | 約400万円 |
| リノベ工事合計費用 | 約4000万円 |
| 補助金 住宅ローン減税 | 400万円 |
| 実質負担額 | 約3800万円 |
■耐震工事

鉄筋コンクリート造 4階建てです。

内部をどんどん解体している様子です。配管等も見えてまいりました。

間仕切り壁を撤去した様子です。コンクリートのガラの処分量がとても多くなります。

この部屋も 天井と床と壁を撤去しました。

配筋検査を行いました。部分的に耐震壁を増設していき 建物の耐力を高めていきます。
壁厚みが12cm以上のものは 鉄筋をシングルとし、D13 縦横のピッチ200mmで 配筋をします。

壁厚みが18cm以上のものは 鉄筋をダブルとして、D13 縦横ピッチ 200mmで配筋を行います。

このぐるぐると巻いてある鉄筋はスパイラル筋といいまして、螺旋にまかれた 帯筋です。柱と梁が 地震時にずれて崩壊する現象を抑えるために他の鉄筋に巻き付けて 対応する鉄筋のことです。

コンクリートの打設が始まりました。道路を一時的に借用させて頂きます。写真はコンクリートポンプ車です。

上述の鉄筋に対して、型枠を組み、それからコンクリートを流し込みます。
型枠を組んでいる状況です。型枠が倒れないように工夫しています。

型枠の状況ですが、こちらはチェーンをまいて型枠が倒れないようにしています。

地上より上階のため ポンプ車から ホースを伸ばし室内にコンクリートを入れます。

実際にコンクリートを打設している状況です。上部よりコンクリートを流し込み、まんべんなく型枠にコンクリートが行き渡るように職人さんが型枠を叩きながら打設を進めます。
壁が完成してきています。型枠を外して、躯体があらわになりました。

西側地下駐車場のA壁です。

東側駐車場のB壁です。躯体が綺麗にしあがっています。型枠をうまくたたき、まんべんなくコンクリートを行き渡らせることにより、綺麗なコンクリートがうてます。

1階西側室の 南側C壁です。

一階西側室の東側D壁です。開口部を塞いで耐震壁にしました。

西棟 サロン 南側壁です。既存の壁の厚みを増しています。

一階食堂の東側の壁です。これは既存の壁に対して同じサイズの壁を増設し、厚みをましています。

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東棟一階 食堂の南側の壁を増設しています。

西棟 二階浴室北側の壁を増設して、厚みを増しています。

西棟二階家事室の壁の厚みをましています。

東棟和室の壁の増設です。
これで、この建物の9つの耐震壁の増設が完了し、壁のとしては、終了となります。
■コンクリートの強度試験
コンクリートの強度をテストピースにて確認する作業が必要になります。
コンクリートの4週間後の強度を確認するために コンクリート工場にいっておりました
テストピースを3つ 採取しておいてもらい、ちょうど、4週間後に、圧縮強度試験を行います。

神戸市長田区にあるコンクリート工場です。巨大だとおもわれましたが、コンクリート工場としては小規模だとのことでした。

コンクリートが水中養生してありました。4週間こちらで養生されます。

コンクリートを圧縮する機械です。左側には既にテストピースが存在しています。
左側の機械で圧縮して、右側の機械は、その圧縮強度を示すものです。

テストピース3つを並べていれます。いれます。

一つ目を圧縮します。

右側にラインがはいっているのがわかると思います。割れています。

二つ目を圧縮します。

一つ目よりも割れが目立ちました。上部に亀裂が入っています。

3つめを圧縮します。

3つめはさらに大きく亀裂が入り。サクッという音がしました。

割れたテストピースを3つ並べました。

テストピース3つの圧縮強度を確認して平均値でわると、40.2N
であるということが判明しました。
設計基準強度が24Nであるため、問題ないコンクリート強度が 工事現場でもでているということを確認しました。
現場が撤去工事を終えて床をはりだしました。
■内装工事

床組を行ってから、壁と天井を施行します。

一階の交流室の様子です。

床下には、根太が300mmの間隔で入り、間に断熱材を入れます。
一階部分は、下の階が車庫となっており、天井もなく寒い空間であるため、断熱材を施工することで
冬場 寒さを感じない仕様となっています。

根太の上に構造用合板12mmの板材をビスで打ち付けます。
この上に フローリングを施行して、床は完成します。

その他 家事室等でも 床をやり替えていきます。

和室部分の窓を無くして、壁にすることにしました。南側の窓が大きく空いているため
塞いでほしいとのことでした。木軸でしっかり組んで、断熱材をいれていきます。

階段室部分は、ガラスをペアガラスに入替ました。全体的に断熱材をいれて、冬場でも暖かい家となるように
設計 施工しています。

キッチン部分の床組です。
キッチンが床の上に来るため、床下に給水 排水管を事前に設置していかなければなりません。奥のパイプスペースより管を引き込みます。

キッチンの床組ですが、配管が折れ曲がりながら床下に存在しているのがわかるかと思います。

断熱材は厚さ40mmのものを使用しています。

キッチン部分の仕上がり予定パースです。見えない部分で給水排水ガス管が存在していきます。
またレンジフードのダクトは東側に抜く計画となっており、直径が150mmのものとなるため、そのダクトを
隠すために200mm角ほどの箱がレンジフード横に存在することになります。
キッチンは、ステンレス製です。天井の高さが2700mmと通常の住宅に比べて高いために、1000mmのレンジフードをメーカーに特注してもらっています。
キッチン天端850mm、レンジフードまでが850mmとなり、レンジフードの高さが1000mmで、ちょうど
2700mmの天井高さが納まります。(実際は2650mmほどになると思います)

一階サロンの部屋です。
一階の壁の合板を貼り終わり、床も合板を敷き詰めています。
これで壁と天井にクロスをはり、床はフローリングを敷けば、仕上がって参ります。

キッチン、ダインイング室の状況です。こちらも、壁と床は 合板を貼り終え、天井をはっていきます。

キッチンのダクトは、天井裏を通すとのことでした。一部ダクトが見えてくるので、箱型で隠すことになります。もう少し、ダクトを上部で外部にぬきたかったのですが、写真上のダクトの上部に梁が存在しているため、
この位置になることは致し方ない状況です。

洗濯家事室を木軸を組んで合板を貼っていく様子です。

既存のブロック壁を撤去して、間仕切り壁の位置を変更します。もし、壁がblock造ではなく、鉄筋コンクリートの壁であれば、撤去できません。このあたりは、調査の段階でしっかりと把握しておかなければ、とても具合悪いことになります。

室内の壁を作成している様子です。木軸を組んで石膏ボードをはります。

キッチンが運ばれてきました。フードが取り付けられています。

床と天井を張った状態でキッチンをとりつけますが、床下には給水管と排水管が存在しており、キッチンと接続する作業が必要となります。

キッチンが取り付けられました。
■竣工後の様子

キッチンがしあがりました。サンワカンパニーのステンレスキッチンです。

リビングダイニングは、ハンモックをつるし、明るく開放的な空間です。

この部屋のガラスはペアガラスにし、床は断熱材を敷き、暖かい部屋にしています。予算を抑えるために他の上階の部屋は、階段室のみペアガラスとしています。

サロンも仕上がりの綺麗な部屋となりました。

浴室は、16×18サイズです。当初の計画で18×20にしようという話もありましたが、このサイズで十分広いです。

洗濯機置き場の状況です。アイロンがけ等しやすいように棚を設置しています。乾燥機をいいものを設置するために上部からダクトがきています。
和室のライトです。以前のものをクリーニングして、ライトをLEDのものに変えています。
玄関入った階段室に吹き抜けが存在して、開放的であり、この家の魅力になっています。

階段室は、手摺が長い期間を経て、ぐらぐらの状態でしたが、ねじをかえたり、締め付けをし直したりしまして、しっかりとした手摺に再生しました。

寝室も床を貼りなおしてクロスを貼りきれいに仕上がりました。収納は以前のものを使います。

和室に関しては、襖と畳の表替えをおこないました。

クロスは左官調のもので仕上げています。

塔屋最上階の和室ですが、良い和室に仕上がりました。お茶室になりますが、どのように使われるのか楽しみな部分であります。

寝室です。こちらも床をやり替えて、天井と壁のクロス貼りをしています。建具はそのままにしています。

寝室部分は4階になりますが、下の階の水場と遠いため、従来から洗面台が存在していたものを、やり替えました。綺麗に仕上がりました。
屋上も防水をやり替えています。
ここで、こどもの水遊びや、BBQをされるそうです。
見晴らしの良い、屋上となっています。
これで、鉄筋コンクリート造 耐震補強とリノベーション工事は終了です。
■まとめ
床面積は 350m2
費用は 約 4500万(設計費用含む)
設計料は、耐震診断 補強計画 100万ほど(耐震1次診断)
その他 設計図作成業務 工務店との価格調整業務 工事監理業務 300万円 ほど
となっております。当社設計料は、工事金のおよそ 10%となっておりますが、工事金額や
設計の難易度、構造計算の有無により、設計金額はかわりますので お見積りいたします。
構造計算費用は、耐震診断と補強計画を2,3次診断で行えば、構造計算費用のみで300万円近く必要となりますが
1次診断でおこなうことにより、構造計算費用を抑えていることが特徴となっています。
工事期間は大きな住宅でしたので、半年必要となりました。
耐震適合証明書の発行により、住宅ローン減税を受けることができ、所得税の控除が10年で400万円程になります。また、耐震工事金額は、400万円となりました。よって、ローン控除もでき、建物も構造的に強くなりましたので、クライアントにとっては、とても良い工事になったのかと思われます。
鉄筋コンクリート造の 耐震診断と耐震補強も 継続して 当社は行う予定ですので
お力になれることがございましたら、お問い合わせください。どうぞよろしくお願い致します。
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