設計事務所の新しいかたち


兵庫県建築士事務所協会のシンポジウムにいっておりました。

30代 北川さん 40代 今津さん 50代 前田さん 60代 山本さん 80代 根津さん

と世代ごとに分かれた設計事務所の在り方を じっくりと3時間 話していただきました。

かなり興味深い話となりました。

まずは、今津さんと北川さんの COCCA というプロジェクト と最近の作品の説明。

一つのプラットフォームを作りながら プロジェクトごとに 色んな建築家があつまり協業して仕事をしていく形態をとっているようです。

神戸三宮の二ノ宮エリアに事務所を開いて、大学生を交えていろんなイベントをしておられます。人のつながりのなかで仕事を獲得していくスタイルのようでした。3次元モデルを活用した設計の在り方も提案されていました。

前田由利さんは、自宅の屋根を草屋根にした家が話題となり、その後の活動として、草屋根を一つの軸として、店舗や住宅を設計されておられます。とても女性らしい建築をつくっておられました。

山本さんは 神戸の47名いる組織設計事務所の所長として、設計事務所の経営の在り方を模索、改善され地域社会に貢献されておられました。

根津さんは、西の黒川紀章といわれ、建築学会賞をとられた建築家でした。今現在は、87歳で設計活動はおこなっておられませんが、こうしてコーディネータとして若手を見ておられます。

以下、根津さんと他の建築家の方々とのやり取りで興味深かった話をまとめます。

根津さんは、様々な話を聞かれて 自分自身の仕事と 現在の今津さんと北川さんの話を比較されていました。

①質問:COCCAの活動を聞いてみると、実際の建築物よりは、コトのほうを重要視しているように見受けられますが、一方で、建築のかたちや外観を重要視して、根津さんは仕事をしてきたけれどその点に関してはどのように思いますか?

回答: COCCAの活動としては、インテリアデザインやプロダクトデザイン含め建築物全体の設計を重要視しています。外観に関しては、風景に溶け込む建築のありかたを模索したいが、最終的な形の議論は十分行うとのことでした。

私自身の感想としては、やはり、ライトやコルビジェも 居心地のよい空間をつくりながら 一つの単純明快な美しい形に落とし込みます。しかしながら、

隈研吾さんの負ける建築といい 風景に溶け込むような建築ではあるけれど、実際は細部 全体のの統合具合等で 主張する建築というのが現代の時代背景にあっているのではないかと考えています。 

②質問:建築とは、多くの人の同意を得るようなものを作る一方で、独断と偏見により最終的には物事を決定していかなければならないが、そのことをどう考えるか?

回答:COCCAの活動としては、10人のプロジェクトの協業者がいれば、個人の強度を大切にする10人の独断と偏見によるぶつかり合いによって生まれるものを模索したいとのことでした。

一人の統合者が独断と偏見により建物をつくる、垂直型の設計よりも、これからは協業しあいながら水平の思考で設計をおこなっていくほうが 時代にあっていると私も思いました。

➂商業施設は短くて10年、長くて30年というスパンで建築を考え、収益予想表を作ったり、運営のエネルギーコストを予想したりして、設計に数値化、データ化をとりいれたが
 そのようなことはどうおもうか?
回答:COCCAの活動としては、BIMや3次元モデルで数値化して、設計を行っています。

④建物のディテールに対してはどのように考えているか?
 異種の材料が交差するところで 目に優しく機能的に調和する詳細が建築には必要だと考えている。
 気が付かないところに対する優しい配慮。これは手書きのアナログ的な思考が重要だと考えているが、そのことはどう考えているか。

回答:パソコンで既製品をあてはめてつくることもできるが、できるだけ、1/5や原寸のディテールで物事を考える活動をおこなっているとのことでした。

   これに関しては、手書きでアナログ的な思考が重要だと私も再認識しました。

大まかには そのような質問と回答でした。

「昭和の時代のように 新築の仕事が沢山ある時代ではないです。しかしながら、現在という時代にあわせながらも、建築に熱意を持って いいものをつくりたいと思う 皆さんの想いを大切にしてほしいと思います。そして、小惑星となって この世界で輝いてほしい」という最後の根津先生の話がとても印象的でした。

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