明治村→諏訪湖→八ヶ岳→軽井沢→伊勢→鳥羽→神戸 建築見聞記

明治村→諏訪湖→八ヶ岳→軽井沢→伊勢→鳥羽→神戸
という旅程で建築を見てきました。
明治村 教会
明治村 教会
明治村
明治村 歌舞伎座
明治村は、帝国ホテルをはじめとして、木造の教会、木造の歌舞伎座など、明治建築の良い建物が70ほどあります。1日で回りきれる量ではないですが、チケットは2000円と割安です。建物だけでなく、明治という時代を感じれるのも特徴となっています。
諏訪湖博物館 伊東豊雄
諏訪湖周辺では、伊東豊雄の博物館をみて、藤森さんの空飛ぶ茶室や神長官守屋記念館などをみました。
展示室は、2階にあり、常設となっていました。建物の形により、展示室も決定づけられてしまうため、展示に工夫が必要なように思います。
諏訪湖でのくらしにまつわる、冬場のスケートや、船などの展示が多くありました。
諏訪湖という場所は、断層の裂け目にできた湖らしいのですが、そこから、様々な暮らしと文化が湖とともに生まれたようでして、とても興味深い場所です。絵を見ると 山が裂けてできた場所に、水が流れ込んで 湖ができたことがわかります。そして、この湖にまつわる暮らしで 諏訪湖周辺が繁栄していったとのことです。鰻の消費量が、全国でもトップのようです。鰻屋がそこかしこに存在していました。以前は、下流から、鰻が湖まで上ってきて、大量に鰻がとれたとのことでした。現在は、ダムができてしまって、鰻は上がってこれないそうです。
諏訪湖です。
諏訪大社 春宮 です。軒の出がとても深いのが特徴です。
神長官博物館 藤森照信
一見すると木造なのですが、博物館として、特殊建築物にあたるため、耐火建築物にしなければならないということで、鉄筋コンクリート造とのことでした。
メインエントランスです。垂直の木は 鹿の角を表すのか、入り口を表現しているようでもあります。
入り口部分も土壁の感じをうまく表現していました。
室内は、土壁の感じと、梁が木でみせており、どこか懐かしい感覚を覚えます。
 振り返り入り口部分を見ます。土壁の感じを表す左官がいい感じで統一されています。
 この周辺の山でとれたシカやイノシシなどをはく製にして飾っています。
床まで土壁仕上げでした。
こちらは、近くにある林野組合の施設のようです。藤森さんの設計です。
こちらは、木造で設計されているようです。エントランスのモチーフは、神官長守屋記念館と同じく柱が屋根をつきぬけていました。
外壁は焼き杉板張り 床も土壁仕上げ。 仕上げにはこだわっているようでした。 
その他、藤森さんの空飛ぶ茶室です。ワイヤーでつっていました。
茶室 藤森さん
仕上げの素材に 藤森さんは こだわっているようでした。形も懐かしく面白いです。
八ヶ岳美術館 村野藤吾
アプローチがとてもいいアプローチでした。駐車場からのアクセスです。
正面から右手にエントランスが存在しています。
心躍るものを感じるアプローチです。
ボールトの屋根形状がそのまま空間になっていました。八ヶ岳は、標高1200mで、夏は、エアコンが必要なく、涼しいらしいです。事実、この辺りの家屋には、ほとんどエアコンは存在していないようでした。その代わり、冬場は、-15度となります。床下が基礎が存在しているのですが、配管が通っており、そこにお湯が冬場流れるそうです。床暖房です。
雨がうまく流れる屋根形状になっていました。
窓上は換気と採光と両方意味合いがあります。デザイン的にも村野藤吾オリジナルです。
村野藤吾88歳 晩年の作品です。ボールト状の屋根は、プレキャストコンクリートで、できており、工場生産して、現地にて組み立てる施工だったとのことです。
形は変わっているのですが、企画展というものを行うことがないため、常設展のみであるから、このような形態で、美術館としては問題ないとのことでした。どんなイメージでこの形ができたのでしょうか?通常のサービスゾーンとか搬入動線とか、そんな美術館設計のセオリーは関係ないようです。
■小山敬三美術館 村野藤吾
小山敬三という 画家の 個人美術館です。
アプローチです。
いいアプローチでした。
右手がエントランスになります。
屋根がガラスで いいエントランスなのですが、下駄箱が少し残念です。床は石をはっていました。
小高い丘の上に存在しています。
スリットがあり、室内に光が差し込みます。
中庭部分です。
土から建物が生えてきたような 表現派の建築です。
基礎部分は、勾配になっており、水がたまりやすくなっているので、メンテナンスに注意が必要かと思いました。

展示室内観です。

床がスロープとなっていまして、とても面白い形をしていました。
端からスリットで光を取り入れます。
何をイメージしてこの形になったのかはわかりませんが、面白い形をしています。人の歩く動線と、うまく光が入ってくるようにスリットを切っているのが特徴かと思いました。
傾斜がついており、歩きやすくはあります。
ただ、個人美術館のため、他の企画展等はできないようでして、運営が難しいと思われました。
■八ヶ岳音楽堂  吉村順三
こちらも、駐車場からのアプローチが心地よい建築でした。
音楽堂の上部にはトップライトが存在しています。
外部廻りの建具は、木製建具でできていました。
室内も 木製建具であり、床もフローリングです。鉄筋コンクリートの建築ながら、手に触れるところには木が存在するという状況でした。
室内は、観客席は、一段床を下げ、そのため、ステージがあがるように計画されていました。中は木造とRCの混構造といいましょうか。とても音が良いという話です。
八角形
八ヶ岳では、村野藤吾の八ヶ岳美術館と吉村順三の八ヶ岳音楽堂を見てきました。標高1200mの場所は、冬は零下15度までいくそうですが、夏は、とても涼しいらしく、周辺の家にエアコンが装備されている家はないそうです。この山周辺は、遊ぶ場所がかなりあり、とても面白い場所だと思いました。村野藤吾は絵画が好きで、画廊から紹介をうけており、吉村順三は、音楽が好きでそこから仕事が生まれている点がとても興味深く思えました。
ほしのや マップ
ハレルニテラス
軽井沢に入り、星のやにとまり、星のやエリアを散策。ハレルニテラスとう、小川沿いに、こだわりのあるお店が15店舗ほどあり、賑わっていました。最初のほしのやから23年かけて、少しずつ開発されていますが、ブランディング等成功している事例なんだと思います。これから、さらに旅行者が訪れるエリアとなるかと思います。
小川が敷地内にながれており、親水性をもって計画されていました。
■千住博美術館  設計 西沢立衛
北側のエントランスから建物に入りますが、入ったら、中庭があって、とにかく明るい。
自然と美術館が一体になっていました。通常は、展示品は、直射日光にあたることを嫌うために、展示室は、窓が少ない計画となる場合が多いですが、個人美術館だからなのか、窓を大きくとって、自然と一体となった展示作品が存在していました。
床も敷地の形状に合わせてスロープしていきます。屋根と床が傾斜しているので、施工は大変だったのではと思います。竣工してから10年近くたっているようですが、未だに新しさをもって存在しています。
家具の配置により、人の動線も考えられていました。
■レーモンド 夏の家
建築家 アントニン レーモンド 事務所が、夏場、軽井沢で仕事するために、作られた事務所兼住居となった建築物です。
レーモンドは、フランクロイドライトの弟子でして、帝国ホテル建設のスタッフとして、日本に訪れたのちに、日本に居つき、東京にて設計事務所を開きました。前川國男や、吉村順三などの巨匠が働いていた事務所です。様々なタイプの建築を設計していますが、レーモンドの木造建築は とても素晴らしい建築が多いです。
左側がバタフライ形状の屋根になっていることがわかると思います。これは、室内のスロープの勾配に合わせて屋根を計画したためこのような勾配となっています。外壁は下見板張り、ペンキがしっかり塗られていました。日本の建築は、屋根の軒をしっかりとだし、壁に雨水を当たらせないようにすることによって、建物を保全するという認識が多いですが、この建物の場合は、あくまでも、屋根は、上部の雨をしのぐという意味が強そうです。プロポーションはしっかりとしています、一説によれば、ル・コルビジェが他でRC造で設計したエラズリス邸という建築物を、そのまま木造に移し替えて、レーモンドが設計したといわれています。木造にて解釈した ということでしょうか。
第1展示室と第2展示室は、事務所だったようです。 第3展示室、資料室、あたりが、住居として使われていたようです。
スロープの勾配が屋根の勾配と同一であることがわかるかと思います。
内観は、柱、梁、垂木と 化粧仕上げで とても味わいのある木造建築物になっています。
   さすがにバタフライ屋根の谷の部分は、雨が漏っていました。やはり、バタフライ屋根はかっこいいですが、屋根に落ち葉等たまり、そこに水が溜まって、室内に漏ってくる事象がイメージされ、運営者の理解が必要かと思います。
■聖パウロ教会 (軽井沢 レーモンド)
とても特有な外観をしています。レーモンドは、チェコ出身の建築家であり、東ヨーロッパは、木造建築が盛んなところで、その原風景からこのような形がうまれたのではないかと思われます。
内観です。とても味わいのある木造の構造美です。屋根勾配がきついために、垂直性がとても意識されるつくりとなっています。構造的には、白川郷の合掌造りと同じで、サス構造ですが、下部は筋交いでついでいます。レーモンドは、日光の大工集団と仲が良かったらしく、腕の良い大工とレーモンドとの合作といえようかと思います。
柱と梁の接合部はボルトでとめてあります。
筋交いの交差する部位も金物でつないでいます。
廃部のパイプオルガンです。二階に存在しています。
後付けかもしれませんが、上部に扇風機が存在していました。これで、風の流れを作り、上に抜くことで重力換気を行っています。
頂部を外観から見てもらえましたら、換気用の気抜きが存在しています。このような設計は、当初からのものと思われます。
これは、現代的な金物で、あとからつけられたものかと思います。
コンクリート基礎部分は控え壁をとって、構造体を支えています。
コンクリートの仕上げも、型枠の木を仕上げに残したものとなっています。
聖パウロ教会は、木造の構造美だけでなく、風の流れを考えているのが面白かったです。とはいえ、屋根型からくる、内観と外観の美しさが、際立ち、感動する教会となっています。
■伊勢神宮
伊勢神宮
お伊勢さん
伊勢神宮詣でで、外宮と内宮をまわりましたが、社にいくまでの森のアプローチを楽しみました。日本という国は、やはり森が主体なんですよね。また門前町の賑わいもとても良い感じでした。
■海の博物館
海の博物館 内藤寛
鳥羽で 内藤廣の海の博物館を見ました。伊勢湾という場所は、とても海産物が多い、豊かな場所なんだと思いました。展示が良く考えられて頑張っていました。建物はクジラの腹の中に入ったような愉快さを覚えました。
アーチ材を二つにわり、挟んでいました。
トラスとアーチの合体版で、かなり色々構造的な工夫はされておられるのだろうなと思います。
こちらも木造の展示室です。こちらは、先ほどのものより天井高さが低いため、アーチもそれほど大胆な構造はしていません。
こちらはPCで 無柱大空間を作っていました。 船の保存状態を考えるとこうせざる得ない事情があったのではないかと思います。
総括して、軽井沢は見どころも多く、とても良い場所でした。
標高1200mの場所は、夏涼しく、これから 観光含めて、さらに よくなるように思います。
少し 神戸からは遠いですね。

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