建築環境設計について(概要)

①断熱性能(外壁部 開口部)

建築における省エネルギーと温熱環境の確保は、建築環境設計において最大の関心事であります。戸建て住宅においても同様です。

戸建て住宅におけるエネルギー消費量は、給湯と暖房におけるものが多くを占めます。戸建て住宅の年間エネルギー消費量の全体に占める比率は、給湯が35% 暖房が20%程度であります。寒冷地程、冬季の外気温度が低いことから暖房のエネルギー消費量が大きくなり、北海道では年間エネルギー消費量の50%程度を占めます。そのため、戸建て住宅の省エネルギーとしては、暖房のエネルギー消費を削減することが最も重要になります。暖房の省エネルギー性能を高めるためには、熱損失係数(暖房負荷)を低減するために、建物の断熱性能と機密性能を高めた高断熱高気密住宅が求められます。断熱性能を高めるということは、外皮の熱貫流率を小さくすることであります。熱貫流率U(W/m2K)。特に、暖房期は、室内外温度差が大きいので、断熱性能を高めることによって、熱貫流率を小さくして、熱損失を小さくすることができます。戸建て住宅では、冷房に要するエネルギー消費量は、暖房と比較して小さいが、断熱性能を向上させて、日射による熱取得を小さくすることで、冷房時のエネルギー消費量を抑制することができます。

室内温熱環境を改善することで、冬季に近い循環器系疾患の発生を抑制できます。脳梗塞などの循環器系疾患は、冬季に浴室や脱衣室などの低温になりやすい場所での急激な血圧変動によって発生することが多いですが、住宅の断熱性と気密性を向上させることで、住宅内部の温度分布が小さくなり、室内の温熱環境が改善されます。断熱性が向上すると、外気温度が低い冬季に室内表面温度の低下が抑制できるため、結露の発生も防止する効果があります。

a)外皮平均熱貫流率:Ua

住宅の室内外温度差1K当たりの損失熱量Q(W/K)の合計を外皮面積の合計∑A(m2)で平均したものです。

外皮の熱貫流率の平均値を示すことになります。外皮とは、外壁、屋根、窓など外気に接する建物の部分を示します。この値が小さいほど、省エネルギー性能が高いことを意味します。

外皮平均熱貫流率=外皮熱損失量の合計/外皮など面積の合計

となります。ちなみに、兵庫県での基準値は、0.87W/m2Kとなります。

b)冷房期の平均日射熱取得率

冷房期における熱取得(冷房負荷)は室内外温度差による貫流熱量より、日射による熱取得の方が大きい。そのため、冷房期の平均日射熱取得率は、窓と他の外壁から日射の影響で侵入する熱量を評価した指標として採用されています。

冷房期の平均日射熱取得率=冷房期の日射熱取得量/外皮の部位の面積の合計

外皮各部位の面積を拾う→各部位の日射熱取得率を求める→窓の取得日射量補正係数を求める→方位係数を選ぶ→冷房期の平均日射熱取得率を求める

②結露対策

結露が発生する条件

A)断熱性能が悪いため、外気温度が低い冬季に壁体など室内側表面温度が低くなる。特に北側の押入内部や隅角部で表面温度が低くなりやすいので、結露が発生しやすい。

B)換気が不十分なため、炊事入浴などで発生した大量の水蒸気が室外に排気されにくい。あるいは発生した水蒸気が他の室に移動する。

C)壁体の透湿により、室内外の水蒸気が壁体内で飽和水蒸気圧を超えて結露を生じる。

対策としては

A)外壁の断熱性能を向上させて、室内側外壁表面温度を室温に近づける。

B)適切な換気を行い、発生した水蒸気を換気扇などにより速やかに廃棄する。

C)壁体の防露処理を行い、透湿抵抗を大きくする。

という方法があげられます。

 

 

 

 

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