古民家カフェのリノベーション 構造補強 空家再生 豆醍珈琲(神戸市兵庫区)
神戸市兵庫区のノエビアスタジアム近くの空家が古民家カフェとしてよみがえりました。
現在 豆醍珈琲さんとして営業されています。
豆醍珈琲(トウダイコーヒー) | 下町の店≒家 | シタマチコウベ
■リノベーション後の外観
外観です。なかなか状態の悪い建物でしたが、そこそこ綺麗にしあがりました。 入り口扉をガラスで作成したため(木枠)建物の中が見える仕様になっています。入り口の段差が70cmほど存在していましたが、階段を3段もうけました。
■リノベーション後の内観
なかは天井をはぎとりまして、照明をうまくあてています。内装仕様は基本的にクライアント様の趣向によっています。
内部の壁を左官塗しているため 良い仕上がりとなっています。
■リノベーション後の内観 二階
二階です。二階はクライアント奥様のアトリエだそうです。
クライアントが購入した当時の建物の内観です。
■既存の建物の外観
以前の建物の外観です。
■改修前の内観
雑多な感じです。
購入当時の二階の状況です。
■耐震診断と調査
神戸市兵庫区にて、無料耐震診断をおこない、今後改修補強をして、ご依頼人は店舗へ転用されるようである。
費用としては、補強計画に35万円(補助金は27万円) 工事の補助金は 130万円となっている。
北側から見た外観である。南北ともに、外壁のクラックが多く、劣化が激しい。
平面図である。南北方向は壁がしっかり存在しているが、東西方向は壁があまりない。
建物の劣化が激しいため、以前の所有者が、危険に思い、鉄筋のブレースを入れていた。一本は効いている。
浴室はユニットバスでない為、蒸気が隙間から壁に侵入し、壁の中の材木がかなり弱っていると予想される。天井はかびだらけであった。ちょうど、浴室の上部、2階の柱はこけており、柱のなかがスカスカの状態であった。改修するのであれば浴室を重点的に木軸をチェックして腐った材木は取り除き、新たに梁を入れたりしなければならないことが予想される。
2階の和室2である。壁が少ない。
小屋裏は、おそらくブレース補強と同時に梁に金物などをつけて応急処置をした可能性がある。
根本的な原因は、東西方向に壁が少ないのと、浴室の蒸気のもれによって、躯体が弱っているためにおこっていることであるので、そのことを見逃していた可能性が存在。
診断結果は
1階X方向 0.24 Y方向0.84 2階 X方向 0.42 Y方向 0.32
特に 1階の東西方向の評点が低い
南側からみた倒壊の様子である。
北側から見た倒壊の様子である。
・上部構造(建物)の総合評点としては「倒壊する可能性が高い」との結果になっており、1階の
東西方向、2階東西南北方向で評点が非常に低く、一階の南北報告で評点が低いことが挙げられます。
・基礎:現地調査により基礎は「無筋コンクリート造」と判断しました。
・軸組:筋違は確認できないため、無しと判断しました。
・壁の配置・耐力:配置に関しては、1階東西方向に耐力的に有効な壁が少なく大きく評点を下げ、
2階東西南北方向も耐力的に有効な壁が少なく大きく評点を下げています。
・劣化度:基礎部分と外壁にに0.3mm以上の亀裂が複数カ所存在しています。
・小屋裏は天井点検口から状況を確認しました。特に目立った損傷部分はありません。精密調査をお勧めします。
地震に耐える壁の耐力が不足しています、又、壁の配置バランスも悪いため、バランスを考慮
の上、耐震補強をされる事をお勧めします。 地震に強い建物にするための補強方法としては、現在ある壁を中心にバランス良く壁の耐力を高め、特にバランスの悪い部分については開口部や押入の一部に耐力壁を追加する事をお勧めします。
補強場所としては1階東西面壁,1階南北面壁,2階東西面壁,2階南北面壁補強などが考えられます。
■耐震補強計画
補強計画を行った。
南側からの補強計画である。ブレースを外し、その両方向に壁を設置して、東西方向の壁の補強をおこなっている。
北側からの補強の様子である。浴室と風呂をだいぶやり替える。
改修1階平面図
1階の東西方向を中心に補強をしていくと 評点がギリギリ確保されます。
改修2階平面図
2階は 壁を4か所補強します。
これで評点1.0以上が確保されます。
■工事状況
工事に入りました。床をめくりました。以前壁が存在していた場所に 当然のように基礎が存在していると考えていましたが、基礎が存在していないため、多くの基礎を鉄筋を組んで作成することになりました。
玄関の着工前の状況です。
■基礎鉄筋の写真
基礎を作成するために 鉄筋をくんでいます。
コンクリートを打設し、基礎が完成します。
■壁の補強
構造体を基礎の上部に設置しました。構造用合板で固めています。
一階の床をとりのぞいて全体をやりかえます。寒いので、床下に断熱材を敷きます。
一階北側の工事状況です。柱をたてて、金物を設置し、構造用合板をうちつけ、壁をどんどん作成していきます。
二階の 壁をやりかえます。
■損傷していた柱の補強
購入時に二階を確認しますと 柱が何かに食べられていた可能性が存在しており、これを補強する必要性がありました。
柱をカッティングして、下部に部材を入れ、横から柱を再設置して、コーチボルトにてつなぎ、抱き合わせることで構造体を強固なものにしました。
■工事中の確認
最後は、工事中の確認を 建築士である筆者が行い、構造補強にしっかりと対応していきます。
■竣工状況
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