液状化による住宅沈没に対する今後の対策
能登半島地震では、約1万5千戸の戸建て住宅が液状化で不同沈下しました。住宅の液状化対策が普及していないことがわかりましたので、その件に関して記載していきます。
首都直下地震や南海トラフ地震が起きると、液状化による住宅被害は、けた違いに大きなものとなることが予想されます。
能登半島地震では、地盤補強をしていたのに不同沈下した住宅が多数みられたようです。
新築時に地盤補強をしていたのに不同沈下した住宅と沈下を免れた住宅の違いは何であったかというデータがで始めています。
不同沈下した住宅の状況(能登半島地震による)
ベタ基礎 40% 布基礎 20% 柱状改良(2-3m)20% 小径中柱摩擦杭(2-4m)10% 他5%
柱状改良以下の35%は地盤補強していたのに、不同沈下していたようです。
■地盤補強していたのに不同沈下したものの例
長さ2.75mの砕石杭を施工していたが83mm沈下した。
長さ4.5mの鋼管杭で補強していたものの13cm沈下した。
■地盤補強していて、不同沈下しなかったものの例
長さ7.5mの支持杭を施工していた事務所併用住宅は、沈下を免れました。
支持層に達していなかった摩擦杭でも沈下を免れたものが31件存在しました。(他3件は沈下した。)
■不同沈下の理由
新潟市西区の複数の住宅でボーリング調査を行ったところ、深さ1-3m程度の地盤が液状化していたことが確認されました。
この液状化層内に杭の先端や周面の多くが位置していた場合は、先端支持力と周面摩擦力が失われて、建物ごと沈下しました。
一方、3m以深の非液状化層内に多くが位置していた住宅の場合は、被害を免れたと考えられます。
■SWS試験で液状化判定
まずは、新築時の地盤調査において、液状化に対する安全率を、深さ10mまで1mごとに示し、地下水位、土の粒度チェック等 検証を行うことが重要であるようです。建築HIーDCy法に基づく液状化の被害判定等を検証して、地盤補強をどのようにおこなうのか、設計段階で、我々設計者は確認を行っていくことも今後重要になってくると思われます。