宿泊機能のある研修施設の計画

ある地方都市の中心市街地において宿泊機能のある研修施設を設計しましたので記載します。

■敷地

近隣商業地域 道路高さ制限 及び 隣地高さ制限は それぞれ1.5

建蔽率の限度は80%  容積率 300%

■建築物

地下1階地上5階建て 耐火建築物

2900m2以上3400m2以下 延べ床面積

 

■概要

本施設は、建設業を営む企業の社員用の研修施設であるとともに、実習や研修を通して、円滑な業務と社員間のコミュニケーションの活性化を図ることを目指すものであります。計画にあっては、周辺環境を取り入れた計画としています。

■敷地計画

屋外テラスを、地上に50m2設け、公園の眺望及び多目的ホールとの動線に配慮するとともに、椅子(15席以上)テーブルを設置します。

駐車場は、地上に平面駐車とし、車椅子利用者として2台、サービス用として1台とします。車寄せを、主出入り口に面して設けます。

■面積表

建築面積:42×24+21×1(バルコニー)+7×3(車寄庇)+14×1(バルコニー)=1064.0m2

3~5階床面積:42×12×3=1512.0m2

2階床面積:42×24ー10.5×6(吹抜け)ー14×12(多目的ホール上部)=777.0m2

1階床面積:42×24=1008.0m2

延床面積:3297.0m2

■1階の計画

 

1階に食堂と厨房、多目的ホール、ラウンジを設け、中央にエントランスホールを配置しています。研修、イベント等多目的に利用される多目的ホールは、天井高さ7mであり、無柱空間、屋外テラスと行き来できるものとします。食堂は公園の眺望に配慮し、厨房は、管理ゾーンからのサービス動線に配慮した計画としています。

建築物の外部動線計画について考慮したこと

主出入り口及び車寄せのアプローチは南側の主要道路からとし、管理サービスのアプローチは西側道路からとすることで、利用者が利用しやすく管理者が管理しやすい外部動線となるように考慮した。南側の主要道路から主出入り口までの歩行者専用通路を設けることで歩行者と車両の動線を分離した安全なアプローチ計画とした。

建築物のセキュリティについて考慮したこと

管理事務室は、主出入り口を見渡せる位置に配置するとともに、エレベーターを確認しやすい位置とすることで、利用者の出入りを管理しやすい計画とした。管理部門は西側にまとめて配置し、利用者動線と明確に区分するとともに、通用口にはオートロックを設置することで、セキュリティに配慮した。

吹き抜けの計画についてその位置とした理由及び建築計画上特に考慮したこと

吹抜けは建物の構成がわかりやすいように、主出入り口の上部に計画した。南側に間口を広く計画するとともに、2層分の開口部を設け、1,2階の共用部が明るく快適な空間となるように配慮した。また、休憩スペースやラウンジに面した計画とすることで、空間的に連続した開放性の高い共用空間となるように考慮した。

地階の計画について

地階は、管理部門の下部に計画し、管理用階段及びエレベーターでアクセスしやすい計画とすることで、維持管理のしやすさに配慮した。ドライエリアはサービス用駐車場に近接した位置に計画し、外部からの機器の更新に配慮した。空調機械室にドライエリアを隣接して設けることで、空気調和気への外気の取り込みや屋外への排気ルートの確保がしやすい計画とした。各機械室は極力整形とし、機器の設置や点検が行いやすい計画とした。

 

■2階平面図

 

エントランスホール南側入り口付近状には、吹抜けを設け、その他、研修室A,B、和室、浴室を配置しています。浴室に隣接してろ過機室を配置。ロビーは湯上りコーナーを設け、公園の眺望に配慮した計画としています。

 

■3~5階平面図

 

宿泊室は、1室あたり21m2とし、ツインルームとしています。

12室設け、バス、トイレ、洗面台を設けます。

間口は、芯々3.5m以上を確保します。

北側の宿泊室Bは、各階に1室設け、24m2とし、車いす利用者用とします。

その他北側に宿泊室Cも設けます。談話コーナーと理念質も設けます。

5階建て部分の柱は、低層階部分の柱よりもサイズアップして、800×800としています。

宿泊室は、開放性の高い南側、北側に向けて計画しています。屋上の外気処理空調機からの外調機用DSを設置しています。

周辺環境を踏まえた基準階の計画について

基準階のすべての宿泊室は、南側の主要道路及び北側の公園に向けて配置することで、開放性の高い快適な室内環境を確保する計画とした。主要道路側の宿泊室は、同じ大きさの窓が均一に並ぶ構成とするとともに、バルコニーを連続させることで統一感のあるファサードとなるように配慮した。

 

■断面図

 

各階の高さは、1階4,500mm、2階は4500mm、3~5階は、3500mmとしています。

今回 多目的ホールの天井高さが7m必要なため、1,2階の階高さを4500mmとしています。

屋上に外気処理空調機、空冷ヒートポンプチラーユニットをおいています。

居室部分は、防水とバリアフリーに配慮し、水廻りのスラブを下げて計画しています。屋上テラスも、防水とバリアフリーに配慮して、水廻りのスラブを下げています。エ地中の根入れ深さは、5階建ての建物重量を考慮した根入れ深さとして、2500としています。

多目的ホールの構造計画について

12mスパンの無柱空間で計画したため、上部の大梁は長スパンのたわみやひび割れを抑制できるようにプレストレストコンクリート造で計画した。その梁を支持する柱は、長スパンの応力を安全に伝達できるように、低層階部分の他の柱(700×700)よりサイズアップした。床はたわみを抑制するため200mmとした。大梁 500×1000 柱 800×800 小梁 300×600

多目的ホールの空調計画について

多目的ホールは天井が高く開口部が多い空間であることから、室内での温度勾配が大きく居住域において不快感が生じやすい。そのため、吹き出し口はペリメーターゾーンに配置し、吸込み口は隣接するRADSの床面付近に設けることで、ショートサーキットを防止し、居住域を効率的に空調できる計画とした。

吹抜けの空調計画について

吹抜けは、1,2階が連続した空間であり、2層分の開口部に面することから外気負荷の影響を受けやすく、居住域において不快感が生じやすい。そのため、吹き出し口は居住域に近い2階梁下部に設置し、開口部方向に吹き出すことで、居住域が快適な温熱環境となるように配慮した。吸込み口は1階の天井面に設け、ショートサーキットの防止を図った。

■設備計画

空調設備、給排水衛生設備、電気設備、消火設備などを適切に設け、環境負荷低減に配慮します。空調設備は、1階2階を単一ダクト方式とし、基準階を熱源機器からの冷温水の供給による「外気処理空調機+ファンコイルユニット方式」とします。給水設備は、水道直結増圧方式、電気設備は屋内型とします。屋上設備スペース、ポンプ室、空調機械室、電気室を設けます。その他 ボイラー室とろ過機械室を設けます。エレベーターは社員用として、2台(地下1階~地上5階)及びサービス用として1台(地下1階~地上5階)を設けます。

 

 

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