構造と間取りを同時に考える木造建築物の設計
構造と間取りを同時に考える木造建築物の設計に関して記載していきます。
木造住宅の設計は、間取りを中心に間取りのみに意識を集中しがちですが、
間取りとともに構造体を同時に検討しながら設計していくことが重要です。
構造とともに間取りを考えていけば、軸線が通り、シンプルな平面となり、綺麗な屋根を建物にのせることができます。
・間取り優先の家づくりの短所
間取り優先の家づくりをすると、1,2階の軸があってこず、平面計上が複雑になり、屋根の形も複雑になり、結果として費用もかかるようになってしまいます。構造的にも無理が生じます。平面が複雑ですと、将来の家族構成の変化に対応しづらかったり、リノベーションの難易度があがることも予想されます。
1階平面図
この住宅は、一見複雑に見えます。
2階平面図 軸を通したもの
しかしながら、2階の壁や柱の下には1階の壁や柱が存在しており、東西南北方向の軸が綺麗に通っていることがわかります。
複雑な形状も シンプルなラインを整えて考えていくことで、綺麗な力の流れも設計していることになります。
・民家的な家づくり
昔の民家的な家づくりをある程度イメージしながら設計することも重要かと思います。
外観は素朴な茅葺屋根の民家です。建築年代は、江戸期。
平面図と断面図です。
この民家は、シンプルな構造と屋根の形態を保持しています。生活を建築にすり合わせる必要がありましたが、変化に柔軟に対応できる設計になっています。架構としては、リノベーションもしやすい家になっています。
構造は実施設計の段階で考えるのでなく、基本設計の段階で検討を行い、グリッドを意識して、1階と2階の上下で軸を意識して、棟の架け方に気を使い屋根を綺麗にかけた設計を行いたいものです。
現在、3次元で架構の構造体を見ながら、設計することのできる構造ソフトもでており、軸組の力の流れを東西南北方向から考えて、設計を行っていくことが必要になってきていると感じています。