中古住宅を購入するコツと現況調査・ホームインスペクション事例
中古住宅を購入するコツについて記載します。
■補助金の概要説明
ホームインスペクションによる住宅瑕疵保険の加入 もしくは 耐震適合証明書の使用
購入前に我々のような建築士に住宅診断を依頼して、報告書や証明書が発行されると、購入の際 以下のような減税制度が存在します。
・住宅ローン減税最大200万円まで
・登録免許税の減免(2.0%→0.3%)
・抵当権設定(0.4%→0.1%)
・不動産取得税の減免
ぜひご利用いただけましたらと思います。
■現地調査(購入前の建築士による聞き取り調査)
・物件購入前に設計者に求められることは,どの程度のリフォームが可能かの展望を示すこと。既存空間の大きな特徴を捉え、クライアントの望むライフスタイルが可能かをアドバイスしたいと考えています。
・違法建築でないか、耐震性を満たしているのか
耐震性能については、地盤沈下や基礎の傷み具合、昭和56年建設かどうかが分かれ目となります。昭和56年度以前の建物の 木造戸建て住宅の 耐震診断は、無料です。(神戸市)確認申請書や検査済証を確認することも重要ではありますが、無申請の増改築を経ている場合は、違法となっている可能性もあります。
・構造体に雨水進入がないか、が情報として最低限必要であり、最も重要な判定要素となります。
・当方の事務所は、国土交通大臣登録 既存住宅状況調査技術者が2人おります。購入前に、主に、防水と構造体に関する調査を行い、報告書を提出する 建物インスペクション(調査)を積極的に行っております。(有料 応相談)
・設計時には、費用対効果を考えた間取り計画、耐震設計,断熱設計がポイントです。新築並みの性能基準に改善しようとすると,建て替えたほうが安くなる場合もあります。コストアップにつながるので、既存建物が改修後にどれぐらい費用が必要か概算ではありますが、ご説明いたします。
■インスペクション事例其の1
神戸市北区にて、中古住宅購入前の ホームインスペクション(住宅診断)を、依頼を受けておこなった。築29年、延べ床面積160m²、枠組み壁工法(2×4)二階建の比較的大きな木造住宅である。一般的なインスペクション以上に、精密なインスペクションで、しっかりと住宅を診断して不具合点を確認して、購入前と購入後のリフォームの十分な参考としたいとのことであった。一般的なインスペクションでは、構造上の瑕疵と雨漏れ等の雨水侵入を重点的にみていきますが、今回は、それに加えて、屋根、小屋裏、床下侵入調査、コンクリート圧縮強度試験、基礎のコンクリート圧縮強度試験を精密におこないました。
南側外観です
北側外観です
1階平面図及び2階平面図
・敷地関係
地盤・地形に関しては、敷地の周辺状況で特に問題点が無いため「普通地盤」と判断しました。敷地南側RC造の車庫の壁が敷地擁壁となって存在しています。
車庫の屋上防水と水処理に注意が必要です。
また、二階のバルコニーも防水処理に注意が必要です。バルコニーには、ブロックを敷き詰めているため、建物に重量がかかるということと、隙間が少ないため埃が溜まり水がうまく流れないようになっていました。ブロックを除去し、防水をやりかえたほうが良いと指摘しました。
基礎に関しては、現地調査により基礎はひび割れ等が存在しており、問題ありと判断しました。
基礎にクラックが存在していることがわかると思います。
具体的には、建物南側基礎、北側床下換気口廻りにひび割れが存在しています。また西側基礎も膨れが存在し、浴室からの水漏れと考えられます。
外壁に関しては、15年前に塗装を行ったということで、状態はよいです。
床下、小屋裏に関しては、実際に侵入して確認をおこないましたが、問題は存在していません。
小屋裏は、断熱材を敷き詰めていましたが、29年間掃除をしていないため、埃がたまっていました。掃除されることをお勧めしました。トイレの換気扇の排気口が、外気に面せず、そのまま小屋裏に存在していました。小屋裏には、通気口が存在するため空気は流れますので、多少においはしますが問題なしと判断しました。
トイレの通気口です。
・屋根については苔が生えており、所々塗装のかすれが見受けられるため、高圧洗浄をして再塗装されることをおすすめします。
・基礎の鉄筋探査を行いました。問題なく100mmピッチで鉄筋が存在していました。
・コンクリートの圧縮強度試験を行いました。住棟(単位はすべてN/mm2) 東 15.5 北 20.6 西 25.5 南 11.8 車庫 東 56.9 北 31.4 西 58.8
基準値 21(誤差は+-2程度) 若干低いところも見受けられましたが、今回は、問題なしとの判断を行いました。
■事例其の2
①玄関窓枠廻りの損傷確認
クライアントよりホームインスペクションの依頼があり、玄関廻りに蟻の食害が見受けられるため、一度確認してほしいということであった。
・原因の確認と特定
当初、玄関廻りを確認したところ、確かに、食害の可能性があることが認識された。その他、玄関の構造が吹き抜けとなっており,また、玄関上部のガラスもペアガラスではないため,室内の暖かい蒸気が、玄関で結露するという事象も検討された。
・不具合の改善工事
食害の恐れのある上枠をとりはずしたら、写真のように隙間があり、そこから雨水が侵入してくることが予想された。
本来、左官工事で外部モルタル・塗装仕上げのところ直に窓台にアルミの見切り板を取り付けている状態であった。
コーキングも縁が切れており、内部から確認したところ光が見えている状態であり、ここ全体で雨水侵入していたと考えられた。
工事は、上枠をすべて除去し、新たに下地を組んで防水シートを貼り、モルタル押えをして、なおかつ庇上部に水切りを設けた。内部も上枠を取り付け塗装を行い、防水対策を万全なものとした。
恐らく、雨水の侵入が一番大きな原因であったと考えられる。蟻の羽も存在したため,食害も存在した。
②トップライト廻りの損傷確認
トップライト下の ガラスの支枠材に 損傷が見られたために 住宅診断で 指摘した場所を 補修した。 当初の原因は 二つ考えられた。
A 階段上部 の トップライトであったため 吹き抜けで 水蒸気が 天井まで上がり 結露によって、支枠材が損傷した。
B ガラスの つなぎ目の トップライトのシーリングの劣化による雨漏れ
・原因の特定
原因を特定するために ベランダから ホースを引っ張り 水を 上からかけることとした。 水を撒くと 1分ほどで ガラスより 漏水が見られたため 雨漏れによる原因と 特定した。 しかしながら、結露も 十分考えられる要素であり、できるなら、このガラスも複層ガラスとして 内外部の温度差がないようにしたほうが良いと思う。
・補修方法の検討
原因が特定できたため、補修方法も、屋根に上り、今一度ガラスのシーリングを打ちかえるか トップライト自体を塞いでしまうかが検討された。 トップライトを塞ぐ行為は、雨漏れには有効であるが、足場をたてて、施工しなければならないため 費用が多くかかることが予想された。 よって シーリングを 今一度 入念に打設することで雨漏 れに対応することとした。
・実際の施工
屋根勾配がきついため、ロープをはって 命綱を引いてから慎重に施工を行った。 ガラスのつなぎ目の鉄の被せをとると、シーリングが劣化していた。 写真によるテープを張った部分をすべてシーリング打設し、対応した。 住宅診断では、トップライト廻りの漏水は十分 注意する場所であり、現代的な技術で 適切に補修を行うことが重要だと考えている。
■ご依頼等
お見積もりに関しては、個別に行いますが、
上記のような詳細なインスペクションは、当事務所のような専門の建築事務所にご依頼いただけるのが良いかと思います。
耐震性の確認も行います。(昭和56年以前建築の住宅は、仮の耐震適合証明書をだして、6か月以内に耐震改修すれば大幅な減税制度を受けれます)
床下の侵入、小屋裏の侵入、屋根の調査、基礎の鉄筋検査、コンクリート圧縮強度の検査含め、おおよそ20万円ほどがインスペクション費用となります。
また、2×4の工法の耐震診断も行っています。(おおよそ8万円ほど)
ご連絡頂けましたら、お見積もりいたします。
詳細にインスペクションされて、安心して中古住宅を購入され、また補助金をうまく使って、改修して、快適な住居にすまれることを応援いたします。
ご依頼お待ちしています。