美術館の分館の設計

美術館の分館の計画をおこないましたので、記載します。

■敷地

第1種住居地域 道路高さ制限 及び 隣地高さ制限は それぞれ1.25

建蔽率の限度は60%  容積率 200%

 

縦長の南北48m 東西32mの土地が計画敷地となっています。隣地の東側には既存の美術館が存在しており、その分館として計画することになります。自然と、既存美術館とのつながりを意識した分館の計画になることがわかるかと思います。

 

■建築物

地上3階建て 耐火建築物

2400m2以下 延べ床面積

■面積表

建築面積:28×32+1×7=903.90m2

3階床面積:28×32ー6×7ー14×12=686.0m2

2階床面積:28×32-6×7ー14×19=588.0m2

1階床面積:28×32=896.0m2

延床面積は2733m2です。

■概要

既存の美術館の隣地に分館を計画します。分館は、美術などの教育普及活動の場として、国民の創作活動の支援、体験学習講座や作成した工芸品の展示、企画展などにしようするものとし、国民の芸術、文化、創造の拠点となるような場所を作ることを目的としています。

■1階平面図

敷地内屋外には、カフェとの動線に配慮した屋外テラス、車椅子使用者用駐車場2台、トラック用駐車場、サービス用駐車場を配置し、東側既存美術館への通路を設けています。1階には、エントランスホール、ショップ、カフェ、前室のある多目的展示室、事務所、その他サービス室関係が存在しています。

・展示物などの移動に配慮した荷解き室の搬入口から各展示室までの動線について考慮したこと

荷解き室の搬入口は、トラックヤードに面する計画とし、搬入のしやすさに配慮した。各展示室への搬入経路となる廊下の幅員は有効2m以上を確保するとともに、人荷用EVにより円滑に展示物の移動ができるように配慮した。

分館と本館の来館者の動線について考慮したこと

敷地北東側には本館との往来が可能な出入り口をもうけるとともに、分館のメインエントランスも近接して配置することで、来館者の相互利用が促進されるように配慮した。本館南側からの来館者動線にも配慮して、南側の敷地からも本施設の敷地内に出入りできる出入り口を設けた。

冷房時の日射負荷抑制を図るために工夫したこと

西面:カフェ、ホワイエ、創作アトリエは、公園に面する計画とし、開口部は全面開口とするとともに、鉛直ルーバーをもうけることで日射を遮蔽する計画とした。

南面:建物南面の開口部上部には、庇を設けることで、夏の日射を遮蔽する計画とした。

■2階平面図

2階には、全室のある展示室A,B,Cが存在しています。

・展示室A及びBについて

展示室A:開口部には採光を調節できるブラインドを設置し、天井にはスポットライトを設置することで、作品に応じた展示ができる照明計画とした。

展示室B:壁面は2重壁とし、防音に配慮するとともに、凹凸のない壁面形状とすることで、デジタルアートのスクリーンとしても使用できる計画とした。

■3階平面図

 

3階は屋上庭園、創作アトリエ、アトリエA,B,C,D、準備室、講師控室が存在しています。

展示関連諸室とアトリエ関連諸室のゾーニングについて考慮したこと

創作活動の空間であるアトリエ関連諸室を3階にまとめて計画し、明快なゾーニングとした。展示関連諸室は、静かで落ち着きのある空間としたい展示室A,B,Cを2階とし、講演会などにも利用する多目的展示室はパブリック性を考慮して、1階に計画した。

吹き抜け及びその周囲において考慮したこと

吹抜けは、建物の中央に配置するとともに、吹抜け上部にトップライトを設置することで、各階の共用部に多くの自然光をとりいれ、建物全体を明るい印象となる計画とした。

■断面図

屋上庭園の部分は、スラブ下げを行っています。多目的展示室は、天井高さ6mとしています。

屋上庭園の構造計画について考慮したこと

梁断面 スラブ位置 厚さ:客土の深さを考慮し、スラブレベルは3FL-700mm、厚さは200mmとした。小梁は1スパンに2箇所計画した。

バリアフリー:屋内と段差のない床レベルとするため、客土以外の部分は、鋼製束によるウッドデッキで計画した。

防水:アスファルト防水層の押えコンクリートは水勾配を考慮し、水下側で200mm程度の厚さを確保した。

多目的展示室の構造計画

長いスパンの大梁は、たわみの抑制に考慮し、PC造とした。その梁を支持する柱は、一般の柱よりもサイズアップした。床は振動抑制のため、200mmとした。天井は、床面積及び天井の高さを考慮して、特定天井の規定に適合した仕様で計画した。

・多目的展示室の空調吹き出し口の設置位置について

天井が高く、開口部が多いため、室内での温度勾配が大きく、冬季において、開口部廻りにコールドドラフトが発生しいやすい。そのため、吹き出し口は、ペリメーターゾーンの天井面に多くもうけ吸込み口は、床面付近にもうけることで、居住域を効率的に空調できる計画とした。

 

■設備計画

空調設備、給排水衛生設備、電気設備、消火設備などを適切に設け、環境負荷低減に配慮します。空調設備は、空冷ヒートポンプ式外気処理空調機とします。給水設備は、水道直結増圧方式、電気設備は屋外型とします。屋上設備スペースには、空調設備、屋外キュービクルを設けます。エレベーターは、乗用と人荷用と二つ設けます。人荷用は、展示品の搬入等に用います。

 

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