古民家の耐震診断と補強計画
耐震診断の 依頼を受けまして、神戸市北区の古民家の調査にいっておりました。
■調査
屋根は 茅葺に瓦をのせています。立派な古民家です。西側になります。
入母屋屋根の古民家です。
南面です。
北面です。木材に穴が所々みられ、食害にあっているのがわかります。
大きな指鴨居の横架材が存在しています。
座敷の床の間と書院です。
小屋裏です。サス構造となっていました。空間はけっこう広いので物置としては使えますが、埃は多いです。
敷地と家屋です。主屋以外にも、物置や納屋が存在しています。家屋へのアプローチが曖昧になっており、当初は、北側の浴室よりも 東側に勝手口が存在し、そちらから敷地に入ることになりました。アプローチとしては、少し変なため、主屋の南側の納屋を壊して駐車場にして、いずれは建物西側より アプローチし、建物へ至ることをご検討されてはと、申し上げています。
4間取り田の字型の典型的な古民家です。中央に大黒柱が存在しているのがわかると思います。玄関は土間となっていましたが、それ以外は板敷とし、東側は台所、食堂、居間として、浴室も存在しており、水廻りを集中していました。その他段差が多いのが特徴でしたが、段差の解消の提案をしましたが、それなりに運動になるということで 必要ないとのことでした。冬寒いのが問題とのことでした。
■耐震診断
図面を見て頂ければわかる通り、耐力壁となる茶色の部分の壁がほとんど主屋の西側には存在していません。
よって耐力は非常に低く、東西、南北方向ともに0.1程度の耐力しか出ていません。基礎:現地調査より 足固めなしの石場建基礎と判断しました。軸組:小屋裏は、屋根裏となっており、サス構造となっています。劣化度:築後101年程になります。外部柱廻りに食害が見られました。1階寝室床部分に凹みが見られます。
現況の図面ですが、建物は 建具ばかりでスカスカとなっていることがわかると思います。
特に青丸と二重丸との位置が離れており、壁がダイニング側(東側)によっていて、西側が壁がなく、大きく偏心していることがわかると思います。西側に壁を設ける必要があります。
今回石場建て基礎のため、基礎は存在していません。
■補強計画
上記のように バランスよく壁を配置していけば評点は、ギリギリ1.0を保つことができました。
住人が 寝所としている北側の和室を中心に改修し、床や壁に断熱材をしいてあげて、耐震補強すると快適な住まいになりそうです。
その他、大黒柱と物入を中心に壁の補強を行い、南側の開放的な縁側 ザシキ等は極力壁にしないようにすることで補強の計画としました。
南東側から見た家屋の補強図です。
南西側から見た家屋の補強図です。
基礎の足回りをどう補強するかがポイントになります。
全体的にベタ基礎を打設するのがベストです。
つづく。