神戸市長田区 耐震診断と構造補強計画(増築を繰り返す家)
神戸市長田区において 増築を3度も重ねている家の耐震診断と構造補強計画を行いました。
平屋部分が増築部分です。屋根型が変わっており、一階の切妻屋根部分からさらに増築しているのがわかると思います。
台所部分を一度広げ、更に北に台所を広げ、更に西に浴室を広げています。
居室1の部分は南側に広げています。おそらく居間部分も南側に広げていったのではないかと思われましたが、痕跡は不明です。増築を繰り返しているため、図面を採取するのに苦戦します。
赤い部分が1階に2階が載っている部分です。居間の部分ですが、二階下に壁や柱が存在していないのがわかるかと思います。
北側からの外観です。赤のラインが2階から1階にかけて本来的には柱が通っているべきなのですが、
まどになっています。
内観です。赤の部分の上部に二階の梁が載っているものと思われます。構造としては、危ないですが、増築を繰り返したためにこのような構造になっていることが考えられます。
小屋裏は換気もできており、問題ない状況でしたが、断熱材を敷いていないためにとても暑いことが予想されます。夏場、特に二階は暑いと思いました。
基礎は煉瓦造でした。
耐震診断を行いました。
評点は0.24であり、特に東西側に傾ていて倒れることが予想されました。すぐ東側に隣の住宅が存在しており、倒壊すると、他人の建物にも影響を及ぼすことが考えられます。
二階の重量が東西に振られ倒壊することが予想されます。
補強計画をたてます。
L型の建物であるため、Lとなる外側の壁を 構造用合板でがっちり固めます。
東西方向は、居間南側の壁を固めるとけっこうしっかりします。
剛心の位置と重心の位置が近い位置に存在しており、偏心の少ない状況になっていることがわかると思います。
さきほどの2階が載っている1階居間部分は天井をめくって、2階の荷重がうまく1階にながれるように検証します。
二階はこちらも東西方向の壁を1階と同等のラインで固めることにより
二階で強くした壁が受ける地震力が1階にうまく流れて、1階の補強した壁で受けるという明確な力のラインが生まれます。
これは3次元で表現したものです。L型の外側を補強することと 東西方向の真ん中の壁を1階2階ともに補強していることがわかると思います。
西側からみた補強計画です。二階の梁を一階の柱や壁でうけていないことがこれでわかるかと思います。
東側からみた補強の3Dです。
L型の側面をしっかりと補強していることがわかるかと思います。
つづく。