既存鉄筋コンクリート造建築物 耐震診断 (1次診断)

既存鉄筋コンクリート造建築物 耐震診断 (1次診断)に関して記載します。

この概念を利用して、RC造の建物の耐震診断を実施していきます。

 

耐震診断とは、建物の保有する耐震性能を構造耐震指標Isおよび非構造部材耐震指標Inの2種類の指標により数値で評価することである。

 

■耐震性の判定

 

Is>Iso              Is:構造耐震指標

Iso:構造耐震判定指標

 

この式を満足する場合は安全とし、そうでない場合は、耐震性に問題ありとします。

 

■構造耐震判定指標Is0

 

構造耐震判定指標Isoは階の位置に関わらず以下の式により求める。

 

Iso=Es×Z×G×U

 

ここでEs:耐震判定基本指標で第一次診断の場合は 0.8となる。

Z:地域指標で その地域の地震活動度や想定する地震動の強さによる補正係数

G:地盤指標で 表層地盤の増幅特性 地形効果 地盤と建物の相互作用などによる

補正係数

U:用途指標 建物の用途などによる補正係数

 

 

■構造耐震指標Isの算定

構造耐震指標は、建物の各階の梁間及び桁行方向それぞれについて(1)式により算定する。ただし、T指標、第一次診断法におけるSd指標については、階位置および方向による区別をしない。

 

Is=E0×Sd×T(1)

 

E0:保有性能基本指標 Sd:形状指標 T :経年指標

 

注意

エキスパンジョイントのある建物では、各区画を1単位としてIs指標を算定する。

剛床仮定が成立せず、建物の複数の区画が別々に振動することが明白な場合は、区画ごとにIs指標を算定してよい。剛床仮定の成立が疑わしいときは、ゾーニングによる区画ごとのIs指標と全体を一つの建物とする場合のIs指標を算定する。この際のSd指標は、原則として全体を一つの建物とする場合の値とする。

 

第一次診断法による場合

 

第一次診断用鉛直部材の分類

柱 h0/Dが2を超える独立柱

極短柱 h0/Dが2以下の独立柱

壁  両側柱付壁 柱型付壁 柱なし壁 ラーメン外の壁

h0:柱の内法寸法で、腰壁垂れ壁などがある場合には、そのせいだけ柱内法寸法を短くする。

D:柱の断面せい

 

 

E0算定の方針

第一次診断法においては、建物の鉛直部材を表1に示す3種類に分類し、保有性能基本指標E0は、それぞれの強度指標C,靭性指標F及び強度寄与係数αjの略算値を用いて次のように算定する。保有性能基本指標E0は(2)式による値と(3)式による値のいずれか大きいほうとする。

 

E0=φi×(Cw+αi×Cc)×Fw

 

E0=φi×(Csc+α2×Cw+α3Cc)×Fsc

φi:算定する階位置と外力分布を考慮して強度指標C(せん断力係数)をベースシア係数と同等の係数Ctに基準化するため補正係数で、φi=(n+1)/(n+i)または振動モードを考慮して算定してよい。

 

n:建物階数 i:対象としている階の階数、1階を1とし、最上階をnとする。

Cw:壁の強度指標 Cc:極短柱以外の柱の強度指標

Csc:極短柱の強度指標

α1:壁の終局強度時変形における柱の強度寄与係数で0.7としてよい。

α2:極短柱の終局強度時変形における壁の強度寄与係数で0.7としてよい。

α3:極短柱の終局強度時変形における柱の強度寄与係数で0.5としてよい。

Fw:壁の靭性指標 1.0としてよい 柱1.0(h0/D>2)極短柱0.8(h0<2)

Fsc:極短柱の靭性指標で0.8としてよい。

 

Cw=(τw1×Aw1+τw2×Aw2+τw3×Aw3)×βc/ΣW

 

Cc=τc×Ac×βc/ΣW

 

Csc=τsc×Asc×βc/ΣW

 

βc=Fc/20 Fc<20

 

βc=√Fc/20  Fc>20

 

Cw:壁の強度 Cc:柱の強度 Csc*極短柱の強度指標

τw1:両側柱付壁の終局時平均せん断応力度で3N/mm2としてよい。

τw2:柱無し壁の終局時平均せん断応力度で1N/mm2としてよい

τc:柱の終局時平均せん断応力度で1N/mm2としてよい。

ただし、h0/Dが6以上の場合には、0.7N/mm2とする。

τsc:極短柱終局時平均せん断応力度で1.5N/mm2としてよい。

Aw1:その階の対象とする方向に有効な両側柱付壁断面積の総和

Aw2:その階の対象とする方向に有効な袖壁付柱断面積の総和

Aw3:その階の対象とする方向に有効な柱無し壁断面積の総和

Ac:その階の独立柱の断面積の総和(mm2)

両側柱付壁及び袖壁付柱の柱はAcに算入しない

ΣW:その階より上の建物全重量(建物自重+地震力算定用積載荷重)で、略算的には単位床面積荷重を12KN/m2として計算してよい

Fc:コンクリートの材料強度

 

形状指標Sd

形状指標Sdは、、形状の複雑さ及び剛性のアンバランスな分布などの耐震性能に及ぼす影響を工学的な判断により定量化し、E0指標を補正しようとするものである。

形状指標は、構造耐震指標Isを算出する方法の簡便さと精度に応じて、指標を算出する。

 

形状指標の評価項目

形状指標の算定では、以下の項目の影響を評価する。

また耐震壁の連続性(下階に連続しない場合)の影響については、別途検討する。

 

  • 平面形状(平面の一体性)に関する項目として

a:整形性 b:辺長比 c:くびれ d:エキスパンションジョイント

e:吹き抜け f:剛床仮定の成立

 

  • 断面形状 上下方向の断面の一体性

h:地下室の有無 i: 層高の均等性 j:ピロティの有無 k:下階への柱の連続性

 

  • 剛性分布(平面内の剛性分布と上下方向の剛性分布)に関する項目として、

I:偏心 n:剛性バランス

 

 

形状指標の算出方法

 

Sd1=q1a×q1b×・・・・・q1k

 

q1i=1-(1―Gi)×R1i     i=a,b,・・・k

 

第一次診断に用いる経年指標

変形 建物が傾斜しているかまたは明らかに不同沈下している  T=0.7

地盤 が埋立地か水田跡である             T=0.9

肉眼で柱 梁の変形が認められる            T=0.9

 

壁柱のひび割れ 雨漏れがあり鉄筋の錆が認められるほどのひび割れがある。T=0.8

肉眼で柱に斜めひび割れがはっきりみえる   T=0.9

外壁に数えきれないほど多数のひび割れ存在  T=0.9

雨漏れがあるが 鉄筋の錆はみられない    T=0.9

 

火災経験  痕跡あり              T=0.7

受けたことがあるが痕跡無し           T=0.8

 

用途    化学薬品を使用していたか または現在使用中   T=0.8

 

建築年数  30年以上             T=0.8

20年以上                   T=0.9

 

仕上げ状態 外部の老朽化が激しい        T=0.9

内部の変質 剥落が著しい            T=0.9

 

耐震診断の用語

構造耐震指標Is :構造体の耐震性能を表す指標

非構造部材耐震指標In:外壁などの非構造部材の耐震性能を表す指標

 

材料強度:部材の曲げ及びせん断終局強度を算定する際に用いるコンクリートの圧縮強度及び鉄筋の降伏強度で、調査結果に基づかない場合はコンクリートについては設計基準強度を、丸鋼については、294N/mm2、異形鉄筋については、(規格降伏点強度+49N/mm2)を標準としてよい。

 

現地調査:構造耐震指標を算定する際に必要となる建物の物理的性質及び力学的性質を特定するために実施する建物の建設地における調査と試験片による材料試験。部材の寸法と配置、配筋詳細の設計図書との照合、コンクリートコア抜き取りによる材料試験、部材の寸法と配置、配筋詳細の設計図書との照合、コンクリートコア抜き取りによる材料試験、ひび割れ状況 劣化 コンクリートの中性化 改修履歴 敷地地盤 基礎 建物の沈下や傾斜の有無、ならびに周辺状況などに関する調査が含まれる。

 

構造耐震指標Isの算定に関する用語

保有性能基本指標E0 :建物が保有している基本的な耐震性能を表す指標で、強度指標C、靭性指標F及び外力分布による補正係数から算定する。

強度指標C:水平力に対して建物または部材が保有している強度を対象階よりも上の重量で除した値(いわゆる保有せん断力係数)

靭性指標F:部材の変形能力を表す指標

累積強度指標Ct:部材の強度指標に外力分布による補正係数を乗じたもので、特に層の変形角(靭性指標)に対応する変形における累積値として用いる

 

形状指標:建物の平面、立面形状、または剛性の平面、立面分布を考慮して保有性能基本指標E0を修正する指標

 

くびれ:建物の平面形状で窪んだ箇所

ゾーニング:剛床仮定が成立せず、建物が一体的に振動しない可能性があるときに建物を分割すること。

 

参考文献)既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 発行 日本建築防災協会 2017年

 

 

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