木造建築物 概要(構造形式 性質 蟻害 材料)
木構造の概要
❶木材総合
1. メリットとデメリット
1) メリット
① 加工が容易である。②建物が軽量である。⓷安価である。
2) デメリット
① 骨組みが変形しやすい②木材が燃えやすい 腐りやすい
参考)重さ(質量) 木材(すぎ)0.4t/m2 コンクリート約2.2t/m2
2. 構造形式
1) 在来軸組構法
土台、柱、梁、桁などの構造上主要な部材を組み立ててつくる架構式の工法であり、柱を表した真壁造と柱を壁の中へ隠した大壁造の二種類が存在。
2) 枠組み壁工法(2×4工法)
定められた規格断面の木材を使用した枠に、構造用合板をうちつけ、床や壁の枠組みを組み立て、一体化する壁式の工法である。
3) その他
大断面集成材や立体トラスを用いた大規模空間、丸太組。
3. 木材について
1) 木材の燃焼
着火点は、約260度。木材が自然発火する温度は約450度で、口火なしで自然着火する。木材が燃えて炭化する深さは、1分間に0.6mm程度である。木材の燃焼によってできる炭化層は、内部を燃焼しにくくする。
2) 木材の分類
長大材が得やすく、構造用材として用いられる針葉樹と建具、家具、仕上げ材に用いられる広葉樹が存在している。
3) 木材
① 春材と夏材
春から夏にかけて成長した部分である春材(柔らかい)と夏から秋にかけて成長した夏材(硬い)が存在。春材は夏材よりも蟻害を受けやすい。
② 辺材と心材
樹液多く養分を蓄えている辺材と樹脂色素鉱物質を多く含む心材が存在。辺材は心材より腐朽しやすい。
4) 木材の含水率
木材の含水率は、乾燥収縮による変形、強度に大きく影響するため、使用する木材の含水率は極めて重要となる。木材は、水分による膨張のほうが、熱による膨張よりも大きい。空気中で乾燥すると、空気中の湿度と平衡状態になるまで乾燥する。この時の含水状態を気乾状態といい、含水率は約15%である。
❷木材の性質
1) 含水率と強さ
含水率が30%以上では、強さはほぼ一定である。含水率は、減少するに従い強度は大きくなり、全乾燥状態で最大値を示す。
2) 含水率と変形
含水率40%以上から乾燥しても、30%までは収縮はほとんどなく、30%以下では含水率にほぼ比例して直線的に収縮していく。木材の伸縮率は、繊維方向が最も小さく、次いで半径方向となり、年輪の円周方向が最も大きい。
木表側は、木裏側よりも伸縮の割合が大きい。木材は木表側が凸にそる。心持材は、辺材と心材の乾燥による収縮の差が大きいためにひび割れがはいりやすい。したがって、あらかじめ背の部分を割ってひび割れを吸収するようにする。これを背割という。
3) クリープ
一定荷重のもとで時間の経過に伴ってひずみが増大する現象で、木材のクリープ特性は、荷重外力の大きさと加わり方湿度条件に影響される。気乾状態に比べて湿潤状態のほうがクリープが大きい。
❸防腐 防蟻
1) 腐朽
木材腐朽菌の繁殖条件は、酸素、温度、水分、栄養の4条件である。このどれか1つの条件を欠けば腐朽菌は繁殖しない。乾燥した木材は普及しにくく、水中に没している木材は酸素が不足するため腐朽しにくい。
2) 防腐方法
木材防腐剤で栄養分を毒素化して防腐する。
その他
① 使用する木材は乾燥したものとし、含水率が25%以上のものはさける。②基礎を高くして床下を換気させる➂外壁がモルタル塗りの場合は、壁内に侵入した雨水の乾燥が遅いので、壁内の換気を十分にして、乾燥するようにする。
3) 蟻害
ヤマトシロアリとイエシロアリ
土台や柱脚部分の特に腐朽しやすい部分をヤマトシロアリは食べる。建物の下部ばかりでなく、上部構造材までイエシロアリは食べる。イエシロアリは温暖な地域に分布する。
4) 木材の腐朽 と樹種
耐腐朽性 耐蟻性が大 ひば べいひば
耐腐朽性 大 耐蟻性 小 くり べいすぎ
耐腐朽性 中 耐蟻性 小 べいまつ
耐腐朽性 小 耐蟻性 小 べいつが あかまつ
❹木質系材料
1) 合板
薄い単板ベニヤを繊維方向が互いに直交するように接着剤で奇数枚貼り合わせたもので、木材の持つ方向による性質の違いを少なくした板材料である。普通合板と構造用合板がある。
2) 集成材
厚さ1-3cmのラミナを繊維方向が互いにほぼ平行になるように積層し、接着剤で接着合成した材で、構造耐力を期待して製造されたものである。樹種が同じ場合、繊維方向の許容応力度は、木材より構造用集成材のほうが大きい。
特徴としては、大断面材や長尺材の製造が可能である。湾曲材の製作が可能である。割れや狂いの発生が少なく、強度のばらつきが少ない。