木造建築物 構造設計(構造要素  配置 各部位の設計)

構造設計
木造の構造設計は、地震力や風圧力によって決まるといっても過言ではない。従って、これらの水平荷重に対して建物が安全に抵抗するような骨組みを設計することが重要である。

1) 水平剛性
水平構面の剛性を高め、地震力や風圧力といった水平力を耐力壁に伝達させ、建物全体が一体となって抵抗できるように働く。水平トラスや火打材を用いると、床や屋根などの水平面の面内剛性を大きくすることができる。水平トラスと水平筋交いは建築物に作用する水平力を耐力壁に伝達するために設ける。火打材は水平力を受けた時水平面のねじれ防止に設ける。

2) 耐力壁
地震力や風圧力などから建築物を守る重要な壁が耐力壁であり、ボード類等の面で抵抗するもの、筋交いなどの線で抵抗するもの、これらを併用して抵抗するものなどがある。
① 平面的配置
耐力壁は、梁間方向 桁行方向とも、耐力壁線上につり合いよく配置し、隅角部は適切に補強する。剛心と重心ができるだけ一致するようにし、水平力によって建物がねじれないようにする。建築物の外周部では、応力の集中が生じるので耐力壁をL字型に配置するのは有効である。

② 立体的配置
立体的にも均整の取れるように耐力壁を配置して、上階、下階の剛性の差を少なくする。2階の耐力壁は、下階の耐力壁の直上、または、市松状に配置する。
下屋やオーバーハング部分があり、上下階の耐力壁がずれる場合は、2階から1階への力の伝達が確実に行われるように1階屋根面や2階床面の水平構面の剛性を確保する。


柱 梁 耐力壁の構造設計

1. 柱の計画
柱は、床 屋根などの上部荷重を土台に伝える鉛直材で、横架材や筋交いと一体となって水平力に抵抗する。軸組の一部である。よって、風圧力などの水平力は、柱を介して伝達されるので、その断面や仕口の設計は、鉛直荷重、水平荷重ともに考慮する必要性がある。柱は、2階建てでは、1階から2階まで通して1本の材を用いる通し柱と各階ごとに用いる管柱がある。管柱の位置が一致しない場所では、上階の柱の軸方向力は、直接梁または桁に伝達され、梁又は桁の荷重分担率が大きくなることがある。柱は、圧縮力による座屈に対して安全であるばかりでなく、土台桁の柱のめり込みに対しても安全でなければならない。柱の欠き込みは、所要面積の1/3以内とし、それ以上欠きとる場合は、その部分を補強する。柱の断面の小径は、柱間の1/22以上である。軸組の端部の柱は、水平方向の外力に対して有効に抵抗するため、適切な方法により横架材などに緊結されなければならない。軸組の種類と柱の配置に対応して柱に想定される力をもとに柱脚柱頭の仕口に必要とされる金物、釘などの本数、打ち付け方について想定されている。N値計算といって、平成12年告示1460号の金物を使用する場合は、適切な構造計算によって柱に必要な引張耐力を求め、それに応じた金具等を選定することが必要となる。

2. 梁 胴差 桁の計画

㋐梁の計画
梁には、その中央部付近の下側は引張が大きいので、耐力上支障のある欠き込みをしてはならない。梁は、曲げモーメント、せんだん力に対して安全であるだけでなく、たわみ、振動を生じないように適当な剛性をもつこと。

㋑たわみに対する断面設計
たわみに対する断面の設計としては、木構造の梁の断面計算は、強度と変形の二つの項目の検討を行う。たわみが過大にならないように曲げ剛性を確保する。たわみはスパンの1/300以下、かつ振動障害のないように設計する。

㋒横座屈といって、曲げモーメントをうけた横架材が面外にねじれを伴って座屈する現象に注意。材幅に比べて材せいが大きいほど横座屈が生じやすいので、これを防止するためには曲げ材支持部の拘束、または振れ止め材を有効に設置する必要性がある。

㋓胴差 桁
胴差とは、軸組み工法における建築物の外周部において、通し柱の相互をつなぎ、また一階の管柱の上部をつなぐ横架材である。桁とは、通し柱及び二階管柱の上部をつなぎ、さらに小屋梁や垂木を設けてを受けて屋根荷重を柱に伝える横架材である。
① 継ぎ手は柱芯より150mm内外持ち出し、追いかけ大仙継ぎとする。
② 柱の上端を連結する桁の継ぎ手において、部材断面が異なる場合、持ち出し継ぎとし、桁と柱の接合部は金物で補強する。
③ 通し柱と胴差の仕口は、かたぎおおいれほぞ差し、金折金物あてボルト締めとする。

3. 耐力壁
① 筋交い
圧縮筋交いは、厚さ3cm以上、幅9cm以上も木材を使用したもの。引張筋交いは、厚さ1.5cm以上で幅9cm以上の木材。筋交いの向きは、同一構面内で筋交いを対になるように配置する(逆ハの字)傾斜は、45度に近いほど効果的で、傾きの急な筋交いは効きが悪いので、傾斜は3:1以下にするように定められている。三角形を構成する柱の上下を土台、梁などに金物で緊結する。筋交いは、その端部を柱と横架材との仕口に接近して、筋交いの種類に応じた耐力を有する接合方法でそれぞれ緊結する。筋交いは原則欠き込みをしてはならない。やむをえない場合は、必要な補強を行い、欠き込みする。たすき掛けの筋交いでは、相欠きとしない。相欠きすると両方の筋交いとも断面欠損が大きくなるため、筋交いの中央部付近で座屈しやすくなる。筋交いと間柱の取り合い部では、間柱の方を欠き込む。常に筋交いを優先し、間柱を筋交いの厚さ分だけ欠きとって筋交いを通す。

② 面材耐力壁
各種ボード類を、柱や間柱及び胴差し、梁、桁、土台などの横架材に確実に留め付けたものを面材耐力壁という。耐力壁として使用できるボードの種類と厚さ、釘の種類と間隔により壁倍率が定められている。

 ➂耐力壁の所要長さ
  地震力に対する必要な耐力壁の長さ
  屋根ふき材の種類により異なる。重い屋根は必要な耐力壁の長さは長い。屋根ふき材を軽量化することは、耐震上 有効である。しかし、風の強い地域では、屋根が吹き飛ぶ可能性があるため、重い屋根をもちいる。また、荷重を受ける下階ほど、耐力壁の長さは長い。

接合部の設計
1⃣接合部の設計

木材同し、あるいは木材と鋼板などを接合する際に、適切な強度を持つ接合部を設計する必要性がある。
1.接合部の許容耐力
 接合部の許容耐力は木材の比重に影響され、比重が大きいほど大きくなる。
接合部の許容耐力はクリープなどの変形による影響をうける。

2. 接合部の設計の考え方
接合部の設計では、接合部を構成する個々の接合部に作用する応力が、その単位接合部の設計用許容耐力を超えないようにするとともに、終局時に接合部全体が、木材の割裂、せん断などにより脆性的に破壊しないようにする。やむを得ず、接合部において靭性を確保できない場合は、終局耐力に対して十分な余力を有するように設計をおこなう。
 単位接合部とは、接合部を構成する個々の接合部を言い、接合部全体とは、個々の単位接合部の集合により構成された接合部のことを言う。

接合部を構成する個々の単位接合部に作用する応力、および接合部全体に作用する応力が、ともに設計用許容耐力をこえないように設計する。

単位接合部の設計
 接合部単体の設計用許容耐力は、接合部の基準許容耐力の値に、接合部に関する係数を乗じて求める。

接合部の設計用許容耐力の考え方
設計用許容耐力=係数×基準許容耐力

接合部(全体)の設計
接合部全体についての設計用許容耐力は、単位接合部でそれぞれ求めた耐力を加算して考えればよい。

接合部の含水率
 施工時における木材の含水率が20%以上である場合は、使用後の木材の乾燥による耐力、剛性の低下を勘案して、接合部の許容せん断力は、乾燥状態の許容耐力に0.7を乗じた値に低減して設計する。なお、その使用環境により金物類にさびが生じるおそれがある場合は、目標とする耐用年数に応じた適切な防錆処理を施す。
2⃣釘接合
1. 釘接合のせん断耐力
⑴ せん断耐力の考え方
 釘接合は、釘と木材の強度によりせん断力に抵抗している。よって、接合部の許容せん断耐力は接合する樹種(比重)と釘の強度、釘径により決まる。
 また接合部の耐力は、一般に木材の比重が大きいほど大きくなる。許容せん断耐力の算定では、比重を基準にした樹種による強度を採用することができる。

2面せん断の許容耐力は、1面せん断の許容耐力の値の2倍にとることができる。
許容せん断耐力 2面せん断=1面せん断×2

パンチングシア
釘接合部において平板のある部分の面積に対して集中的に荷重が作用するとき、その荷重の外周部に沿って板内に生じるせん断力、または材を貫通する破壊形態のことをパンチングシアという。

⑵ せん断耐力の増減
 力の加わる方向に1列に並ぶとき、釘の許容せん断耐力は低減する。
 側材として木材を用いる場合より、鋼板を用いる方が大きく、鋼板を用いた場合の許容せん断耐力は側板が木材の場合の1.4倍程度である。

2. 釘接合の引き抜き耐力
許容引き抜き耐力は、木材の気乾比重、釘径、打ち込まれた長さが大きくなれば大きくなる。構造耐力上主要な部分について釘を引き抜き方向に抵抗させることはさけなければならない。

3. 釘接合の注意点
1カ所の釘の本数は2本以上とする。釘の間隔、縁距離、端距離を適切にとる。

3⃣ボルト接合
1. ボルト接合の耐力
ボルト接合部は十分な強度を有するともに、必要な剛性と粘りをもったものでなければならない。
許容引張耐力は、ボルトの降伏と座金の木材へのめり込みに基づいて定められており、ボルトの材質、径、座金の寸法、樹種により決定する。ボルトの長さには関係しない。許容せん断耐力も同様に、材質、径、樹種、接合部材の厚さによって決定する。
2. ボルト接合の留意点
ボルト接合部は、割れが生じないように端あき、縁あきを適切にとる。
  ボルトの締め付けは、ボルトに適切な引っ張り力が生じるように行い、通常、座金が木材にわずかにめり込む程度とする。なお、ボルトは締め付けた時にねじ山が2山以上ナットより突き出す長さでなければならない。
 変位が重視される接合部には、なるべく太径のボルトを使用し、終局耐力が重要と考えられる接合部には、細い径のボルトを使用する。
 ボルト孔の径をボルトより大きくすると初期すべりが生じて、接合部に有害変形を生じる恐れがある。せん断をうけるボルトの配置については、加力方向により、ボルトの間隔が定められている。
 ボルト接合による接合部の剛性は、釘接合による接合部より小さいが粘りがある。

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