木造アパートの改修計画その1 (空家再生  プランニング提案 浴室トイレ洗面一体ユニット)神戸市 共同住宅

神戸市にて、木造アパートの改修計画をおこなっている。現況、誰もすまなくなっており、活用されず、所有者も困り果てている状態である。以前、ブログで記載した通り、高度経済成長時代に、多くの木造アパートが建てられたが、現在、賃借人も少なくなり、建物が老朽化して、付近の環境にも少なからず、悪影響を与えている状況が、日本全国各地で生じている。これを、リノベーションして、蘇らせていく事業である。 クライアントから要求された事項は以下 ①建物は、木造で、耐震性も現在の建築基準法を満たさないため、耐震改修を行うこと ②間取りは、建設当初、昭和時代の間取りであるため現代的なプランニングにやり替え、入居者が快適に住めるようなものとすること ③外壁やその他老朽化している部分をリノベーションすること   実際に計画を練った。 既存の平面図である、1階と2階は同じ間取りである。部屋は各部屋25M2以上存在している。完全和室であり、床は畳であるため、フローリングにやりかえる。トイレは和式であるため、洋式にやりかえる。風呂はシャワーユニットとし、洗面所とともに敷設する。 シャワーユニットを検討した。単体でもそこそこ値段がすることが判明。サイズは、800㎜×800㎜は必要である。 a案は、キッチンとトイレ洗面所、シャワーを南側にまとめた案である。東と西の部屋は、通り芯y0からy2までが、出っ張りが存在するため、土間とし、入居者が、自転車や、様々なものをおけるように想定して計画をおこなった。 玄関入り口は、変更となる。 A,B,C案は、シャワーユニットと洗面所、トイレをどのように配置するかで様々な検討を行った事例である。しかしながら、シャワー、トイレ、洗面所と単体で設計していくと、見積もり費用がかさんでくることが予想された。 様々なメーカーを確認したところ、シャワー浴槽と洗面所とトイレがユニットになっているタイプを発見した。費用も、18万前後で存在している。 これを使って、プランを検討しなおすことにした。D、D’案は 土間の部分をキッチンの食品庫としているが、ここは、やはり自転車等をおくことのできる土間としたほうがよい。 既存の壁の位置はなるべく変更しないようにし、耐震の構造解析を行いながら、プランニングと同時並行して、計画を進めていく。 真ん中の部屋は、キッチンの位置に工夫を行い、冷蔵庫もおき、冷蔵庫の後ろは見えないように間仕切りを設置した。 クライアントは、Eか、E’を希望していた。ここから、予算調整をし、最終的な平面図を決定していきます。 結局E‘で決定としました。 E‘の詳細図面です。      
 
  ■活用できる補助金の説明 昭和56年5月以前に建築された住宅の 耐震診断は無料です。 よって、神戸市の共同住宅の 耐震補強設計の助成金を使い、補強設計をおこないました。 神戸市では、共同住宅の耐震設計をする際に、設計費用の補助が 戸あたり12万円×6戸 =72万円でます。補助費用の上限は、2/3となっており、今回121万円の耐震設計費用に対して、72万円の補助金を利用させていただきました。耐震の計画策定業務のご負担金は49万円となっております。 工事に関しては、戸あたり 50万円 6戸で300万円の 耐震の補助金。 セーフティネット制度の利用で 戸あたり 100万円 6戸で 600万円の補助金。合計で900万円の補助金。 補助金を有効に利用した空家再生にご興味の方は ぜひお問い合わせください。 ■既存建物の概要(リノベーション前) 神戸市長田区の 現在 空家である文化住宅(木造アパート)を リノベーションして、共同住宅にします。昭和56年度以前の建築の建物であるため、耐震性が不足しています。 外観です。昭和40年ごろの建築の建物です。こういった文化住宅を社会資産の一つととらえて再生していく活動も重要かと思います。昭和の時代に数多くの文化住宅が作られて、都市の労働者を支えてきました。 一階平面図です。1階に3戸、2階に3戸の計6戸の文化住宅です。面積は、全体で170M2、各戸は、最低25M2あります。部屋が間地切られており、建設当時の間取りのまま存在しています。これでは、現代的には、貸すことができないため、耐震補強設計を行いながら、現代的な間取りの設計を行うことも必要です。 二階も一階とほぼ同等の間取りです。 立面図です。外壁のクラックと基礎ののクラックを補修します。 以下、一階東側の部屋の内観です。北から南側を見た写真。ふすま、建具内装状況がわかります。 木造文化アパートの室内の様子です。 北側から南側を見た写真です。内壁は聚楽壁。石膏ボード貼。壁が劣化しているのがわかります。 南から北を見た写真。北側奥の部屋。建具も木建のため、変更しなければなりません。 南側のキッチンです。こちらも取り換える必要があります。 南側の便所です。和式の便所のため、洋式に変える必要があります。   ■耐震診断の実施 耐震診断を行い、建物の地震時の状況をシュミレーションしました。 診断結果は、1階東西方向0.17 南北方向 0.86 2階東西方向0.22 南北方向1.11   東側から見た倒壊する様子 西側から見た倒壊する様子 北側から見た倒壊する様子 南北方向は部屋同士の間仕切り壁が存在するため、比較的数値は高いですが、東西方向は、とても弱いです。特に1階の東西方向を補強することが重要となってきます。 ■構造補強計画とリノベーション設計 補強計画を練りました。構造とプラン(間取り)を同時に考えながら設計をおこなっていきます。 一階平面図です。 耐震壁は、ほぼ、既存の壁の位置を変えることなく、その部分を構造用合板をはり、改修していきます。浴室ユニットに、トイレと洗面所も設けたもので、コンパクトに平面図がまとまりました。そのため、南北方向に新設の壁を設置しなければならず、壁の下に基礎を新設しました。基礎は、連続するように、東の部屋から西の部屋まで設けています。 アパートの室内パースです。文化住宅がモダンなワンルームマンションにリノベーションされます。 二階は、コストを削減するため、いろいろと、改修方法を検討した結果、柱の金物補強だけで改修し、補強の評点を満たすことが判明しました。 改修計画後の評点は、1階東西方向1.22 南北方向 1.12 2階東西方向1.18 南北方向1.42 となり、評点1以上を確保しました。東側から見た 補強後 西側から見た 補強後 北側から見た 補強後 リノベーション後のパースを提示します。 西側の部屋の 西側からみた内観です。広いワンルームマンションとなります。 西側の部屋を 玄関から見たパースです。 西側の部屋を北側寝室から見たパースです。 真ん中の部屋を南側 玄関から見たパースです。 真ん中の部屋を北側からみたパースです。 東側の部屋を東側から見たパースです。 広々と過ごせるかと思います。 ■工事費用の概要
延べ床面積 約170m2
耐震計画策定費+設計費 220万円(税込み)
耐震工事費 400万円
設計工事合計費用 2200万円(税込み)
補助金(耐震+要配慮者改修事業) 972万円
実質負担額 約1200万円
建物の状態が非常に悪かったため、坪40万はかかるリノベーションでした。一般的に、リノベ工事の工事費用は、坪30万~です。 ※ あくまで、簡易予想ではありますが、家賃収入を考えますと、戸あたり4万円の家賃として、6戸で 月の収入が24万円 年間収益が288万円となります。 実質負担金額1200万円から考えますと 4,5年で 工事金を返せる計算となるようです。 要配慮者改修事業の補助金申請等を行う場合は、状況により補助金申請費用が必要になることがあります。 つづく

毎日無料相談実施しています!

弊社では住宅診断、耐震リフォーム、デザインリフォーム、新築注文住宅等、幅広くご相談に対応させていただいております。相談は一切無料です。また弊社では、個人のお客様だけでなく、リフォーム等される法人の工務店様へ構造的な側面からお力になれます。お気軽にお問い合わせ下さい。