多様性のある社会に必要とされる空間に関する考察 (空家再生 シェアハウス等)
■多様性のある社会に必要とされる空間
多様な働き方、多様な生き方、多様な暮らし方、多様性にあふれた社会にたいして それをどのようにして空間でサポートしていけるかに、事務所として、力をいれていきたいと考えております。核家族を主体とした高度経済成長期のしあわせの形は、もうすべての人が追い求めるしあわせの形ではなくなった なんて事も言われだしておりますが、
以下、様々な意見をまとめてみました。
■戦後の日本のから現在の日本のコミュニティの変遷(核家族から単身世帯へ)
戦後の日本は、大戦によって疲弊した国土を復興するために都市に産業を集積させ、環境の良い郊外に住居を開発し、それを放射状の鉄道網で結んだ。これは、地縁などを断ち切り、新しく環境の良い新天地で、家族がそれぞれ自分の意志で生活したいという国民の夢に応えたものであった。視点を変えれば、都心と郊外を鉄道網で繋ぐということは交通の利用機会を増やすということであり、核家族という最小単位を生み出したことは、住宅の着工数を最大化することになるわけで、私鉄やディベロッパーの投資が拡大するシステムが造り出されたともいえる。コミュニティの単位は、核家族となり、核家族を前提とした住まいは、成長する日本経済の部品のようなものである。
成長のための部品は、成長が止まれば当然不要になる。人口減少とともに経済成長が鈍化すると都市 郊外モデルの働く場と住む場の距離が、それを許容しにくい状況にしている。また、会社の終身雇用の可能性が減り、会社コミュニティが絶対の存在でなくなるとともに,会社からの収入を前提に役割分担が決まっていた家族コミュニティも連動して不安定化する。
いまや、私たちの社会は、単身世帯が非常に多い社会になってしまった。会社と核家族の時代が、個の成熟した社会の時代へと変化しつつある。(総務省の「国勢調査」によりますと、2015年、全国の単身世帯数は1842万世帯にのぼり、全国民の7人に1人(14%)が一人暮らしという状況です。30年前の1985年には、789万世帯、全国民の7%が一人暮らしでしたので、そのころに比べて大幅に増えました。 年齢階層別にみると、顕著に増えているのは中年層や高齢者の一人暮らしであり、今後もこの傾向が続くと推計されています)
こうした中で、都市の構造、ライフスタイル、建築を書き換える動きが生じてきている。災害が多いということも連動して、会社と核家族以外の社会縁のための場を作る必要性が生じてきている。
■個の時代から個がつながる時代へ
今日のWEBインフラの発達は、こうした動きを進める大きな力となってきている。核家族の時代の終焉とともに、迎えつつある個の時代を、個がつながる時代へと乗り越えるために、施設としてのプログラム運営とそれを支えるプラットフォームとしての建築の両方を生まれ変わらせる必要性が生じてきている。
■具体的に必要とされる施設 空間
そのため、具体的には、
高齢化社会、弱者に優しい社会に対応して、心的ストレスを抱えた人の保養所、障害者グループホーム、認知症高齢者グループホーム、認知症カフェデイサービス サービス付き高齢者住宅 在宅介護支援 訪問介護事業所等の福祉施設、
外国人専用のシェアハウス、シングルマザーシェアハウス、コンセプト型シェアハウス、シェアオフィス、カフェ、ゲストハウス、キッチンスタジオ等の施設
といった 様々な分野を横断して、社会の中に個がつながるシェアの場をうみだす必要性を感じている。
また、人と地域をつなげる活動も必要であると考えている。地域の魅力の発信し、人と地域がつながる回遊拠点となる施設。
半世紀しか続かなかった成長の時代の建築とは、異なる新しい時代の建築を我々は、考えていく必要性があるようである。