鉄筋コンクリート(RC)建築物の耐震補強

古いRC造建物の改修が必要な理由

1981年(昭和56年)以前に建てられたRC(鉄筋コンクリート)造の建物は、耐震基準が現行の法律を満たしておらず、大規模な地震が発生した際には倒壊や損傷のリスクが高いとされています。一方で、こうした建物を解体して新築する場合、法規制やコストの問題で延床面積が縮小することがあり、特に隣接する建物が多い地域では、オーナーにとって大きなハードルとなります。

さらに、以前の所有者による不適切な改修が行われていたり、梁や床の撤去が原因で構造に弱点が生じているケースも珍しくありません。こうしたRC物件の「見えない不安」は放置しておくと資産価値の低下につながるだけでなく、賃貸・売却時の支障にもなります。そのため、安全性を確保しながら古い建物を再活用するための計画的な改修や補強が今こそ求められています。

調査:現状把握が第一歩

RC(鉄筋コンクリート)建物の改修には、まず正確な現状把握が不可欠です。建物の強度や劣化状態、以前の改修履歴などを把握することで、無駄な工事を避け、必要な補強が明確になります。

図面が現存しない場合、建物の構造等の調査を一から行う必要があります。

診断:建物の安全性を評価する

調査結果をもとに、建物の安全性を定量的に評価する耐震診断が必要です。RC造の場合、耐震性能だけでなく、劣化による耐久性低下も考慮した診断を行います。

診断のプロセス

  • 一次診断:図面や目視で簡易的に安全性を評価、建物の大まかな状態を把握します。柱・壁の強度を断面積とコンクリート強度から求めます。
  • 二次診断:構造計算を行い、地震時にどの程度耐えられるかを詳細に分析します。柱や壁の部材強度や形状寸法などから各層ごとに耐震性能を評価します。
  • 三次診断(必要に応じて):非線形解析により、大地震の揺れに対する建物の挙動を詳細にシミュレーションします。柱・梁・フレームの解析を基本に、各層の耐震性能を評価します。計算量が多くなりますが、学校や病院の耐震補強を計画する場合には、この方法が用いられることが多いです。

補強:診断に基づいた改修を実施する

耐震診断の結果、耐震性能に問題がなければ、建築物を継続使用し、問題がある場合は、耐震補強・免震化・建て替え工事を行う。既存建築物の耐震性能の向上を図る改修方法としては「耐力の向上を図る方法」「靭性の向上を図る方法」等があげられます。

耐力の向上を図る方法。

耐力の向上を図る方法としては、場所うちの鉄筋コンクリート壁を増設する工法が一般的であり、建築物を鉄骨ブレースや 鉄骨パネルで補強する工法もあります。増設壁工法には、既存オープンフレーム内に壁を増設する方法、薄い既存壁の壁厚を増して補強する増打ち壁による方法、窓開口部を鉄筋コンクリート壁で塞いで補強する方法等があります。

靭性の向上を図る方法

既存の独立柱の周囲を巻きたてたり、接続する腰壁などとの縁切りを行うなどして、柱の変形能力、水平耐力、軸耐力を増大させることにより、建物の耐震性能を向上させることを目的とします。

耐震診断と補助金・助成金

昭和56年以前の建物は耐震基準が異なり耐震性が不足しています。無料で耐震診断を実施することができます。

神戸市では共同住宅の耐震設計費用の補助が戸あたり12万円まで支給されます。6戸の集合住宅では72万円になります。補助金の上限は設計費用の2/3までです。

耐震工事では戸あたり50万円、6戸で300万円が支給されます。

耐震改修とリノベーション事例

配筋検査
コンクリートの流し込み

圧縮強度の検査

キッチン仕上がり予定
2階床のコンクリートの打設作業
コンクリートの打設後

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