しあわせの村 冒険の森 森林を活用した遊具施設

神戸市のしあわせの村で、ツリーアドベンチャー等 森林を活用して 遊ぶアスレチック施設を、2019年の春より11月末まで当方の事務所が 担当しておりました。

株式会社 冒険の森様 が運営する 施設です。

施設概要

自然豊かな緑に囲まれた空間の中で 子供も大人も楽しめる施設
建物内部は木育をテーマにして
・遊戯施設(木製の滑り台、ボールプール、ラダー等)
・フリースペース(本を読んだり、玩具遊び、黒板絵描き)
・物販(絵本などの書籍、子ども向け玩具等)
建物上部は
・遊具(ハーネスを装着したアスレチック)


森林の中に遊具施設が存在するため、木々の合間に配置をしなければなりませんが、できるだけ、木を切らないで配置しました。建物は、鉄骨のコンテナでできています。コンテナ間にも木は存在しており、シンボルツリーとしての役割を期待しました。敷地には段差が1200mmあり、基礎の構造体もなかなかすごいものができそうです。その為、北側には、容易に建物にアクセスできるようにスロープも設けました。

当初の作図原案です。

上部構造を、解説した絵です。柱と柱を、丸太、スパイダーネット、ハーフスィング、スィングスィング、丸太と、いろんな伝わり方にチャレンジしながら、遊びます。

竣工した様子です。
南西から見た外観写真です。

東側から見た写真です。

西側から見た写真です。
鉄骨コンテナの北側には木製の階段があり、それを使って上部の遊具施設までいきます。土地の傾斜が結構存在するため、スロープをもうけています。福祉のまちづくり条例で義務付けられています。

上部構造の写真です。ハーネスを装着して、円盤から円盤へ渡ります。

上部からの景色はなかなか素晴らしいです。眺望の良い上部で、円盤を伝って遊びます。

ボウケンノモリ | しあわせの村 (shiawasenomura.org)

スイング スイングです。

ボウケンノモリ | しあわせの村 (shiawasenomura.org)

小円盤の上を歩きます。

ボウケンノモリ | しあわせの村 (shiawasenomura.org)

スパイダーネットです。

ボウケンノモリ | しあわせの村 (shiawasenomura.org)

ハーフスイングです。

ボウケンノモリ | しあわせの村 (shiawasenomura.org)

丸太の上を歩きます。

中庭の木は、既存の木を使いました。鉄骨コンテナとコンテナの間に設置することで、建物が映えることを期待しております。

内観です。木の感じを打ち出しています。


建物内部からも、南側の広場の眺望がとても良い感じで得られており居心地の良い空間となりました。

計画の概要

まずは、計画の概要を述べる。冒険の森様がしあわせの村で 遊具施設を計画することになり、設計監理の依頼をうけました。

当初の状況としては、m2数も100m2以下であり、平屋であるため、確認申請が必要であるかわからない状況でした。

神戸市建築安全課との協議により、小規模の4号建築物であるが、建築確認申請が必要であるとのことでした。

現場を確認すると、公園の中の丘のようなところに、建物を設置するため、資材の搬入等 いろいろ検討が必要であるということがわかりました。

建築確認申請を行うにあたり、様々な障壁が存在していました。

 

計画に対する問題点

①大きな問題は、敷地周辺の道路が、道路法上の道路であるかどうかということ。

②敷地の設定方法。

③市街地調整地域であるということ。

④測量が必要であるということ。

⑤地盤調査が必要であるということ。

⑥しあわせの村は、独自に景観条例を設けており、これをクリアしなければ工事ができないということ。

⑦福祉のまちづくり条例の範囲内での施工が必要であるということ。

⑧消防法上の対応

解決方法

①②

道路は、道路法42条1項五号の道路であった。よって建築確認申請を行うことができる。

 

市街地調整地域に関しては、神戸市が都市公園法第2条第2項公園施設である建築物であると認めれば問題なし。

測量は、敷地設定のため平板測量を行い、敷地の高低差を確認した。

地盤調査はスェーデン式の地盤調査を行い、非常に硬い地盤であることを確認した。

景観条例は、廻りの敷地の環境に合わせた色使い(茶色)や、設備関係を見せない等の配慮を行うことで対応。

福祉のまちづくり条例が一番重い問題であった。

・段差が75cmある場合はスロープが必要である。←今回は該当したのでスロープを設置
スロープの傾斜は1/12以下 幅は1200mm以上 手摺設置 踊り場は1500mm以上で 点状ブロックが必要である。

・階段も登る場所と降りる所に点状ブロックが必要であり、踊り場には側板 立ち上がりが5cm以上必要である。

・建物に入る通路は 幅が有効で800mm以上必要であり、ガラス部分には衝突防止シールが必要である。

・敷地内通路も、段差が75cm以上あれば、またそこでスロープを設けなければならず、滑りにくい仕上げとする必要性があった。

建築物の用途は 集会所であり、消防法上も集会場となり、特殊建築物に該当した。

よって、消防法上の 収容人員も 100人以上となり、避難口誘導灯と自動サイレンが必要であるという結果になった。

以上で 建築基準法その他の対応が完了したため、図面を記載し始めました。

竣工運営までの流れ

敷地設定→測量等→事前協議(景観条例)→神戸市安全課→建築確認機関→確認申請→工事着工→竣工→検査→運営

予算も工期もタイトであったが何とか工事にかかれるようになりました。

工事監理

以下現場の工事監理の状況です。

2019年10月16日
冒険の森 しあわせの村の 遊具施設の工事が始まりだしています。

しあわせの村の駐車場6の 東側の森の中に 遊具施設を配置します。南側には芝生広場が広がり、施設内部からみた眺望もよい場所に配置致しました。

施設の東側には、しあわせの村の公衆トイレが存在しており、お客様は、そのトイレを使用して頂く予定です。

電気をひくのが大変です。また、施設の場所までは、芝生広場を通って、車が資材を搬入するため、芝生の養生が必要な工事となっています。工事場所は、森ということもあり、廻りには、木が生い茂っていますが、できるだけ木を切らない方向で、工事を行います。

実際に 土を掘削しています。

工事看板を設置し、工事場所周辺には、ポールをたてて、周辺に人が侵入しないように対応しています。

来週は、配筋検査を行う予定にしています。

②2019年10月23日

2019年10月23日 しあわせの村 現場の配筋検査をおこないました。問題なく、しっかりと配筋されていました。

 現場の状況の全体図です


基礎の図面です。今回、コンテナは AB間 と CE間に 配置されます。独立基礎ではありますが、レベル差が大きいので、独立基礎を梁でつなぐ、構造体として、基礎設計をおこなっています。BC間はデッキが存在しており、コンテナはないので、つなぎ梁はなしとしています。また、DE間は、レベル差が緩いため、こちらもつなぎ梁はなくしています。レベル差に対応する基礎設計に苦慮しましたが、幸い、地盤が非常に硬い地山となっておりますので、現状の設計としました。地盤調査は、スウェーデン式を行っています。今回のもう一つの工夫は、コンテナが4つ搬入されてきますが、4つ搬入するとDD’の部分で、4つ目のコンテナのアンカーをコンクリ基礎に打つことができない為に基礎の打増しをして対応できるようにしています。

E通りF1配筋型枠状況

E通り配筋型枠状況

1通り配筋型枠状況

主筋4本D16(SD295) 帯筋D10@100 TOP2はD13@100隅部主筋は頂部フック付きとする。

2、D通り 基礎の増し打ち配筋状況

1通りAB間 基礎型枠状況

つなぎ梁は幅150mmのD10@150シングル配筋としています。

端から端までレベル差が1200mmもあるのですが、測量時はそれほど感じなかったのですが、実際にものが見えてくると1200mmが大きく感じました。スロープと階段でしっかりと対応していく予定です。

2019年10月30日

しあわせの村の遊具施設の工事が進捗していきます。

森林と一体となった遊具施設としてだいぶ形を表してきたように思います。


多くの木の間に遊具施設が存在することになります。


スロープが設置されました。今回、敷地がなだらかな勾配が存在するため、遊具施設と地盤面に1mほどの段差が存在しています。それを解消するためにスロープを設けます。
兵庫県の条例で福祉のまちづくり条例というのが存在していまして、段差が75cm以上ある場合は、高齢者や障害者に配慮してスロープを設けなければなりません。


スロープの勾配は1/12 幅は1200mm以上(踊り場は1500mm)手すりを 75~85cmに設置すること とあります。
これから、高齢者や障碍者に配慮した街づくりを我々はしていかなければなりません。

勾配が1/12のため、スロープの長さが15mほどになってしまいました。

駐車場からのアクセスを考慮に入れて、駐車場から横断歩道を渡ったすぐのところに敷地への入り口を設ける予定にしており、そこから敷地内通路を通って遊具施設まで誘導します。
敷地内通路は、120cm幅で、ぬかるみ等の道にならないように舗装していきます。


ツリーアドベンチャーといって、木を伝って遊ぶ遊具施設を設置していきます。


遊具施設基礎の状態です。
コンクリートが充填されて、養生されている状態です。しっかりとした基礎が出来上がると思います。

2019年11月14日

しあわせの村の遊具施設において、建物の構造躯体が設置されました。

廻りの森林の 紅葉と一体となって、茶色が とてもなじんでよい感じになっております。

しあわせの村は、景観条例というのが存在しておりまして、色や形態も廻りの環境になじむような状況を必要とされます。

色は、緑か、茶色を要求されましたが、今回 建築主様は 茶色を選択されました。

実は、建物の地面は、緩やかな傾斜となっており、実際は北から南まで1200mmの段差が存在しております。その為、基礎も構造体として、しっかりしたものを作っております。
西側から見た景観です。

これは、東側からみた写真です。東から西にかけても段差がかなりあることがわかると思います。


建物の南北にはウッドデッキを敷きます。鉄骨の構造体に対して、溶接した鉄板をのばし、それとデッキの土台となる木材をつなげていきます。

北側からの景観です。
構造体と構造体の間をデッキでつなぎ、中間に樹木が存在することになっております。もともと存在していた木を活かして、森林と建物の一体化を目指しています。


建物の内装を今頑張っております。断熱材を敷き詰めていきます。 完成まであと少しです。私は、軽微変更の確認申請機関と消防局の対応をしております。

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