木造住宅が受けやすい被害(木構造講座⑤)

災害の種類 建物に被害をもたらすのは,主に地震 台風 大雪である。
特に日本は地震大国であり,被害をうけた反省から基準や設計法をたびたび見直してきた。
木造に関しての転機は①1950年建築基準法の制定②1981年新耐震設計法導入③2000年建築基準法改正である。①で、壁量が初めて規定され,少しずつ強化されたのち,②で現行の必要壁量となった。さらに③では、耐力壁の配置方法と接合方法が規定された。従って、耐震診断を行うときも建物の建設年代が大きな指標となっている。2000年以降ともなれば,壁量 接合共に問題ないが,2000年より以前であれば,接合に問題がある。1981年よりも前に建設されたものであれば,接合に問題があるのはもちろん壁量も不足している。

木造住宅の被害パターン
① 地震による被害
最も多いのが,地盤基礎に関するもので,基礎が束石程度や無筋コンクリートであったり,アンカーボルトの施工に不備があったために足元をすくわれて大被害になった事例が多い。従って,基礎はRC造として,アンカーボルトの打設前に柱から150-200mm以内の位置にセットするようにしたい。
次に多いのが,耐震要素の不足,及び偏在や接合不良である。耐力壁が偏って存在する場合は倒壊する被害が多くみられる。このような被害を防ぐには,耐力壁の量を確保するとともにバランスよく配置することが重要となる。
また、接合部が引っ張り力に対して無抵抗な接合だったため,建物が変形した際に部材がバラバラに離れ,倒壊につながったケースも多くみられる。さらに、腐朽蟻害による断面欠損が重なれば大被害は免れえない。この事から引っ張りが生じる耐力壁廻りや外周部の梁は抜けないように接合することと,躯体に湿気がこもらないように構法の工夫をすることが重要である。
床面の水平剛性不足が原因となる被害もある。2007年新潟中越沖地震では、細長い平面形で耐力壁の構面間距離が長いうえ,屋根面の水平剛性も不足していたため,水平耐力要素のない中間部が大変形して崩壊した。従って、耐力壁の構面間隔が長くなる時には,それに応じて水平構面の剛性を高める必要がある。
② 台風による被害
台風は毎年来襲するにもかかわらず,被害は繰り返し生じている。軒先が吹き上げられて屋根が吹き飛ばされる,屋根材が剥がれる,看板が飛ばされるなどいずれも接合不良が原因で起きる。納屋が転倒するという被害もアンカーボルトの不備が原因である。
風に対しては、特に軒先の垂木や小屋束を留めておくことが重要である。また、転倒を防ぐには,耐力壁を確保し,アンカーボルトで基礎に緊結することが有効となる。
③ 積雪による被害
大雪による被害は2年に1回は生じている。
普段積雪の少ない地域では,雪下ろしの習慣がなかったり,できなかったりする建物がある。雪下ろしに頼る設計はできるだけ避けたほうがよいだろう。


⇒ 耐震診断と補強実例

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